カシラ文字U外伝 閃光のパッソル~RIDE ON ルシファーズハンマー!~
199X年代初頭。有害指定都市ツチューラ、極楽山。頂上付近。午前2時55分。
疾走する1台の大型バイク。
猛烈なパワーで登りのコーナーを抜けて行く!
乗車してるライダーの膝のプロテクターは終始スリっぱなしである!
マシンはカワサキZZR1400。
パワーをもて余した化け物エンジンは、やや不機嫌気味である。
乗車してる人物は、通称カワサキオヤジ。
この極楽山の主を自称している。
最近やけに耳にする都市伝説的な噂。
それは『閃光のパッソル』。
誠に不快である。
そのパッソルは、次から次へと、この山の最速ランナー達をカモるとゆう。
にわかには信じられないが、カワサキオヤジ自身が出ばり、バックミラーの点に変えてしまえばカタはつく。
頂上の駐車場でUターンし、信号待ちしていると・・・・
!?
いつの間に隣に付いたのか不気味な原付と不気味な男がほくそ笑んでいた!
この男は!
超絶殺戮過激團非行隊『罵多悪怒愚』親衛隊長タックンである!
以前のツーリングの時とは、まるで別人である!
そしてパッソルも!
タックンが挑発気味に中傷する!
「よう!カワサキオヤジさん!その節はお世話になりましたねぇ。今日は借りを返しにきたんッスよ!プシシシ」
狂人のように笑うタックン!
何処から付いてきたのだろう?まさかあのスピードにこのパッソルで?
カワサキオヤジは目線をパッソルに集中させる!
!?
これは!?
以前とは明らかに違う!
ボディは白ベースのファイヤーパターンに七色ラメ!
ハンドルはエグく下げられたセパハンにコカ・コーラのグリップ!
シートはエナメルで、三段シート風の背もたれ付き!
チョビハネパテ埋め!スルーステップには人工芝!
おもむろにケツアゲされたサスペンションはマルゾッキをカマしており、チャンバーは左一本右二本の三本出し!
S字の部分は、恐ろしく膨張している!
そしてタイヤはモンキー用のフロント3jリア4.5j!
スリック風に引っ張っており、ブレーキシステムはまさかのダブルディスクだ!
そしてあちらこちらに、『弥生』や『桔梗』などのヤンキー御用達ステッカーが張り付けられていた!
メーターは信じられない事に180キロスケールのフルである!こんな物、何処で入手したのだろうか?
チンケなキーには、猫の尻尾のようなゴージャスモフモフまで装備している!
完璧なまでに魔改造されていた!
まるでヤンキーの王様の玉座である!
しかしカワサキオヤジは心で笑う。
所詮、外装のみのハッタリチューンだ。
如何にもクソヤンキー共がやりそうな事である。
そんなカワサキオヤジの意図を読み取ったのか、タックンはリアのオモチャのようなスイッチをオンにした。
!?
ギュイイイイィィィイイイーン!
まさか!?
標準馬力が2.5psのパッソルが白煙を吹き、バーンナウトしている!
辺りを、カストロと排ガスとタイヤのゴムの溶ける匂いが充満してく!
これは、
これは悪い夢だ。
否。
夢ではない。
悪夢でも。
カワサキオヤジはわからないのだ。
このパッソルは、悪魔の心臓を持ち、悪魔の呪いがかけられている事に!
現にカワサキオヤジは外装にばかり気を取られ、主要部分のエンジンを見落としていた!
そのエンジンの中央部は卵形の膨らみがある。
これが『悪魔の鉄槌』だ!
言わずと知れたハーレーのピストンを組み込んでいる!
その上部には、蒼く輝くスーパーボール台の球体。
此処にユダとヒトラー、二体の悪魔を降霊しているのである!
人為を超越した、このパッソルは、悪魔の力を頂き、桁外れのパワーを叩き出す事が可能になっていた!
「プシシシ。信号が代わったら勝負だ!インキンクソクソタマキンクソジジイ!」
宣戦布告するタックン!
「上等だ!負けても泣き言言うなよ!」
受けてたつカワサキオヤジ!
ビボボボボビボボボボビビ・・・・・!
奇妙なパッソルのアイドリングが凍てつくアスファルトにこだまする!
信号が青に代わったその時!
ズドン!
!?
パッソルの呪われたピストンが爆発した!
一気に100メートル先へとぶっ飛ぶパッソル!
「ぬわーんでですかーー!」
タックンの雄叫びが、瞬時に遠ざかって行く!
呆気にとられたカワサキオヤジだが、急いでクラッチを離し、2速に繋ぎのアクセルを入れた!
その時!
ブシューン!
!?
まさかのカワサキオヤジ、痛恨のクラッチミス!
ハイパワーが仇となり、エンジン焼き付き御臨終である。
呆然自失になるカワサキオヤジ・・・・・。
こんな事が・・・・・
こんな事ってあるのか?
そんな事を考えながら、惰性で山を下って行く。
麓では、タックンが嫌な笑顔で待っている。
カワサキオヤジは改めてパッソルを見つめる。
ボディ全体からは、まさに『閃光』が放たれていた!
都市伝説ではなかった。
閃光のパッソルは実在した。
そしてカワサキオヤジ自慢のZZR1400は秒殺された。
完敗である。
タックンに激励の言葉を掛けようと、カワサキオヤジが振り返ったその時!
!?
タックンはおもむろに、チノパンからチンボをまさぐり出してZZR1400に放尿し出した!
「フーウ。便器がわりに丁度いいバイクですね。プシシシ」
・・・・・・・・。
カワサキオヤジはこの数日後、頭が狂ってしまい、数十年に渡り、私立松沢病院に入院する事になった。
しかし、『罵多悪怒愚』が暴力に頼らず、初めて勝利した歴史的瞬間でもあった。
これからタックンは死ぬまで、このパッソルに乗り続けてくのである。
※
そして現代。
有害指定都市ツチューラ、不明区域。『罵多悪怒愚』アジト兼梅豚邸(仮)。通称『エリア51』午後20時25分。
ストトトン!
ストトトトトン!
・・・・・・・・・。
ダメだ。
いくら調整してもエンジンがかからない。
落胆するユキヤ。
このバイクは、
そう、あの時のタックンのパッソルである。
タックンが亡くなって以降、このパッソルが再び目覚める事はなかった。
やはりタックンにだけ特化したバイクなのだ。
当時、幼かったユキヤは、そう考えながらこのパッソルを組み上げたのだ。
パッソルの面持ちは、ほとんど当時のまま。
ずっと死ぬまでタックンはユキヤとの約束通り、このパッソルを大切に乗り続け、そしてこの世を去った。
梅豚のCBX400Fが紛失してしまった今、ユキヤが当時組み上げたバイクは、このパッソルだけになってしまった。
感慨深いユキヤ。
其処に。
「やっぱり目覚めねぇか、そのパッソル」
梅豚が立っていた。
「ええ。色々試したんスけど・・・・・やっぱりタックンじゃねぇと」
息を吹き返さないのだ。
何故なら、タックンとパッソルは一心同体だったから・・・・・
「マナが呼んでるぞ、ユキヤ。今日も晩飯カレーだってよ」
「はい!」
こみ上げてくる何かを押さえ、元気に返事するユキヤ。
(このパッソルが真の『罵多悪怒愚』のフラッグシップ機だな!)
そう心で呟きユキヤは梅豚の後ろを小走りに付いていく。
そして先端が曲がった鉄パイプでシャッターを閉めるユキヤ。
すると、
一筋の閃光がパッソルから、天に向かって放たれた!
※
Blinding lights are fading out from the night
あどけない夢掲げた
痛みを知らない赤子のように
Thunders calling to my ears all the time
揺れる心隠した
痛みを覚えた子供のようにって
I’m scared to death and it’s so cold all the time
当たり散らし乱れた
認めたくない過去思い出して
Take the sword and get prepared for the fight
気づけばいつのまにか
新しい世界に染まりだしていく
Teach me how to fly
これ以上泣かないで
羽ばたけるように
“Just take one deep breath
And hold it still until you see your enemies inside your scope”
鳴らない言葉をもう一度描いて
赤色に染まる時間を置き忘れ去れば
哀しい世界はもう二度となくて
荒れた陸地が こぼれ落ちていく 一筋の光へ
Blinding lights are falling down from the sky
あどけない夢思い出す
心を落とした大人のように
Speak out the words and get prepared for the fight
今ならまだ間に合うよ
新しい世界を紡ぎ出していけ
Now I’ve learned to fly
これ以上泣かないよ
明日にはいないから
“Gonna take one deep breath
And hold it still until I see my enemies inside the scope”
くだらない言葉をもう一度叫んで
誰にも染まらない心抱いたなら
新しい世界はもうそこにあって
開け放たれた 碧すぎる空 一粒の涙
A long time ago there was a king of worlds
who led me down my path
Through night and day he showed the truths
of the worlds and the shapes that I need to be
But after all I cast a shadow under a light from my own sky
And I think that this is something that I want
OH OH OH OH…
鳴らない言葉をもう一度描いて
赤色に染まる時間を置き忘れ去れば
哀しい世界はもう二度となくて
荒れた陸地が こぼれ落ちていく 一筋の光
RESPECT SONG『閃光』by『Alexandros』




