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カシラ文字U  作者: 梅屋卓美
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令和餓狼伝 其の捌 覚悟完了

有害指定都市ツチューラ市 不明区域 『罵多悪怒愚バタードッグ』第二アジト現総本部 通称『エリア51』 午後22時34分





人里から遥かに離れた広大な敷地。


そして誰も知らないツチューラの深淵。


其処には無数の建物が立っており、ガレージ、車やバイクの整備場、怪しげな工場、研究所、そして事務所。


万全なセキュリティは本場の米国の『エリア51』を模倣している。


ここは万が一に備え、梅豚が考案しマナが設計して建設された。


罵多悪怒愚バタードッグ』主要メンバー達は、例の襲撃以来ここに移住し、身を潜めていた。


複数の建物があり退屈はしないが、もっぱら自遊人の集まりの

罵多悪怒愚バタードッグ』メンバー達だ。

徐々にストレスが溜まりだす。


罵多悪怒愚バタードッグ』と『狂犬連合』の膠着状態が続き、数ヶ月の時を得た。


昨日梅豚が持ってきた最後の決戦の打開策。


暴走族らしく国道を流してぶつかり殺し合う。


これには『罵多悪怒愚バタードッグ』メンバー満場一致で決定した。



副長であるアッチャンは武器の手入れを丹念にしている。嫁のマドカの腹もだいぶ出てきた。モタモタしてはいられないのだ。アッチャンは大型の鉈や日本刀などを熱しては叩き水に付けを繰り返し、ヤキを入れ直していた。



本部長のタケシは戦略を練る。相手はあのUチビである。いくら『暴力寺』住職の金蛇かなへびが間に入ってるとはいえ、何を仕掛けてくるかわからない。念には念をである。




そしてバイクや車の整備場。


あくせくと動き回る熊のような男。


特攻隊長のユキヤである。


数日後の決戦に備え、メンバーのバイクの整備に大忙しである。


カグラの実兄である行動隊長のカズキもサポートに当たっていた。


ユキヤが今回苦戦してるのは、総長である梅豚の愛機である。


数ヶ月前の『梅豚邸襲撃事件』以来、梅豚が少年期より愛機とし、またユキヤの実兄ユキオの形見であるCBX400Fの所在が掴めなかった。


家屋と一緒に爆破されたか。はたまた持ち去られたか。


ただでさえ希少価値の高いCBX400Fである。真相はわからない。


しかし、首領の愛機がないのはカッコがつかない。


ユキヤは整備場の奥から一台のボロボロの冴えないダサいバイクを引っ張りだしてきた。


このバイクは!?




CM250T。


CM250Tは、「アメリカンスタイルの軽2輪車」として、1980年10月に発売された。発売当時は「新感覚」とされたドロップ形状タンク(容量13リットル)が採用されたほか、シングルシートやリアキャリアを装着したタイプも選ぶことが可能だった。



・・・・・・・・。



といった物凄く冴えないマイナーダサダサバイクなのだ。

ブレーキシステムは信じられない事に前後共ドラム式である。



しかし



エンジンである。



驚くべき事にこのバイクのエンジンはCB250Tホークに搭載されていたバランサー付き空冷2気筒OHC3バルブエンジンが搭載されているのである!



そう、あの暴走族に大人気の通称『バブ』のエンジンだ!



見た目さえカッコよくしてしまえば、あの『バブ』特有の落雷のような排気音が純正装備されているのである!



ユキヤはまず外装をバラし、紫メタリックのラメラメに全塗装。


そしてイノウエのロケットカウル。アップハン水平絞り。三段シートはCBX400F用を加工。380テール。旗棒。司令塔としての拡声器。


仕上げにバブ用のショート管をタケヤリに加工したマフラーを取り付ける。


見事なまでのバブが完成した!通称『化けバブ』!



ずっと隣でケチをつけながら見ていたカグラも感慨の声をあげる。


「へーえ、あのクソダサバイクが旧車會デビューのアホガキが乗るバブよりカッコよくなっちまった!ユキヤオメェ天才か?」


当然と言わんばかりにユキヤはセルを回す!


辺りを落雷のような形容しがたい爆音がこだまする!



アッチャンもタケシも駆けつける!



「これが梅ちゃんの新しい愛機か。ユキヤ、よくやったな」


ユキヤの健闘を讃えるタケシ。


「何だ!?このバイクわぁ!俺に乗らせろ!」


と、アッチャンは颯爽と化けバブでカットンでってしまった!


慌ててユキヤが追いかける!


「待ってくださいよぉ!まだ会長も乗ってないんスよぉ!」


またいつもの『罵多悪怒愚バタードッグ』に戻ったようであった。










一方 梅豚とマナの部屋。



六畳のスペースにテレビ、監視モニター、ダブルベッド。


窓は一つもない。


梅豚とマナは、監視モニターで整備場の光景を見ながら久しぶりに腹の底から笑った。


「良かったじゃん、バイク出来て。ユキヤに感謝だね」


マナが梅豚の肩に小さい顔をのせ言う。


「ああ。そうだな」


そっけなく返事する梅豚。

マナはプーっとふくれる。

そして


「いいと思わない?」


「何が?」


「もう!ユキヤとカグラだょ!」


「別に。ただ仲がいいだけだろ」


「ちょっと何それ~、新米パパとしての意見?それともユキヤじゃカグラに役不足って言いたいの?」


「そんなんじゃないよ。ただ今はな、俺達もどうなるかわかんねぇ」


現実的な梅豚。


マナはキレイな眉間にシワをよせベッドから勢いよく立ち上がると、部屋の角に立て掛けてある日本刀を手に取り抜いた!


抜き身の刀身がヌメリと光る!


そしてマナは『ブン』と一振りすると梅豚に


「アイツら皆殺しじゃすまないよ!細切れにしてブタのエサにしてやる!」


セクシーな服と、刀のミスマッチさがマナの美しさに拍車をかける!


すぐさま梅豚はマナをベッドに押し倒した。














深い暗闇。



座り込む一人の男。



その男は慎重に自信の左腕に注射器を打つ。



それでも不安は消えない。



あの『罵多悪怒愚バタードッグ』と正面からぶつかる。


No2のケンゴもあっさり殺された。


勝てるのか?あのキチガイに。



Uチビは思案する。



殺す!


殺すのだ!


「待ってろよ!梅豚ぁ!」



Uチビは注射器を握り潰した!










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