令和餓狼伝 其の参 狂犬連合
197X年。後半。暴走族戦国時代。
この時代に、様々な暴走族が誕生し、80~90年代に引き継がれて行く事になる。
ツチューラと出解村でも例外でなく、暴走族が誕生した。
その名は『狂犬連合』。
初代総長の名は『タカシ』。
徹底して少数精鋭。
そして狂暴かつ残忍である。
結成時のメンバーは12名。
時代背景を考えると恐ろしく少ない。
この時代の暴走族は数百は当たり前で、この少人数は明らかに異様である。
この12名であっても、全員揃う事は稀であった。
メンバーの誰かが、必ず鑑別所や少年院に入っているからだ。
硬派を売りにする暴走族は沢山いたが、『狂犬連合』は違った。悪い事は何でもアリだった。
暴行、傷害、窃盗、薬物、強姦、そして殺人。
不思議な事に、比較的大人しい硬派な不良少年でも『狂犬連合』を名乗った瞬間、非行少年となり狂暴化した。
喧嘩では、少数を生かした徹底したゲリラ戦。跨がっているバイクは、余所の暴走族からの強奪車両。一対一のタイマンなどクソくらえで、すぐに日本刀を振り回す。
18才で引退後は、全員ヤクザになった。
そしてこの暴走愚連隊は八代続いたが、狂犬連合出身のヤクザは気性が凄まじく、ヤクザとして使い物にならなかった。鉄砲玉のヒットマンで使うか、もて余した組織が粛正するかしかなく、現在生存しているメンバーは一人もいない。
最後の『狂犬連合』総長『ジンギ』は、当時最も勢いがあった梅豚を九代目に指名した。が、梅豚は名前がダサいのと、引退後は、ほぼ強制的にヤクザになるのがイヤで、この話を一蹴した。それでもジンギは、かつてないほど狂暴な梅豚に惚れ込み、「じゃあ お前が無理に継がなくてもかまわねぇ。お前の目で『コイツは』って思うヤツが出て来たらコレを渡して復活させてくれ」と、梅豚に六畳旗と特攻服とZ400FXを託しヤクザになった。
そして梅豚は、ジンギへのせめてもの気持ちとして、自らのチーム名に『犬』を英訳した『ドッグ』を入れ『罵多悪怒愚』と命名し、代々受け継がれて来た、最初は白であったであろう、血塗れすぎてほぼ茶色く変色してしまった特攻服も『乱闘服』と名前を変え、梅豚が現役時代はずっと背中の『狂犬連合』の文字もそのままに着用した。
そして令和になった現代。
この眠り行く呪われた『死神部隊』を再結成しようと目論む一人の男。
Uチビ。
伝統ある六畳旗と特攻服。そしてバイク。
すでに旗は入手していた。
某ラブホ内。
パンイチで全身の刺青を晒してるUチビ。
そして全裸でベッドのシーツにくるまってるリサP。
あの例の『平凡住宅襲撃事件』から、UチビとリサPは、ずっとラブホをハシゴしてセックスヤリっ放しである。
お互い果てると、覚醒剤を追い打ちし、ヤリまくっていた。
UチビとリサPは『罵多悪怒愚』を裏切り、そしてシャブにまで手を染めていた。
タバコを吹かし悪辣な笑いを浮かべるUチビの前に正座し、家臣のように床に額を擦り付けている男・・・・。
!?
『罵多悪怒愚』親衛隊長タックンである!
何とタックンはあっさり『罵多悪怒愚』を裏切り、梅豚邸に自由に出入り出来るのをいい事に、大切に保管してあった「狂犬連合」の六畳旗を盗み出していたのである!
おまけにUチビに覚醒剤まで斡旋していたのだ!
『そんな事は当たり前』と言った感じでUチビが呟く。
「んで?乱闘服と、バイクはよ?」
「は、はあ。それが乱闘服は総長のプライベートルームにありますし、Z400FXはアッチャン家の庭にあってなかなか盗めなくて」
ドカン!
Uチビのケリがタックンの顔面に入る!
「総長だぁ?今のテメェの親方は俺だよ」
「すみません!殿下」
「その殿下っつーのもやめろ。次ヌカしたら殺す」
タックンは震えながらさらに床に額を擦り付ける!
「見てろよ。梅豚ぁ!」
そう叫ぶと、Uチビはさらにタックンを蹴り上げるのであった!




