表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カシラ文字U  作者: 梅屋卓美
28/42

令和餓狼伝 其の弐 邂逅

有害指定都市ツチューラ市 絶対安全農村区域 クサレガ丘一丁目 梅豚邸 ガレージ内 午後23時09分。



かなりの大きさのガレージ。


車二台。


梅豚のGX61。マナのGX71。共にマーク2である。


それでも、まだまだスペースがあり、余裕を持って造られている。


やはり旧車には現代の気候は非常にヤバく、青空駐車の直射日光には、当時の鉄とアルミは耐えられない。


それでなくとも害虫のような窃盗団がうようよいる。

旧車を守るにはガレージ必須である。



梅豚はあるバイクを暖気させてた。


たまには夜にバイクをかっ飛ばしたい時もある。


暖気させてるのは、マナのゼファー400だ。


今日はユキオのCBX400Fの気分ではない。


しかしマナのゼファー・・・・。


シートやホース類を除き・・・・、



ほとんど金メッキ加工が施されている・・・・。



良く言えばゴージャス。


悪く言えばド下品である。


ここではゴージャスと言っておこう。


今日はやっとマナを説得し、鍵を借り、外出許可ももらったのだ。平和に疾風(かぜ)となるのだ!



梅豚はゼファーに跨がりギアを一速に叩き込むと弾丸のように庭を飛び出して行った。



二速、三速、アクセルを全開で走って行く。


コーナーは火花を散らして抜けて行く!


速い!


だが全然カッコ良くない。


梅豚はいつものアディダスジャージに素足にクロックス。おまけにノーヘルだ。


しかもアッチャン()の屋根に乗っかってるような金の(しゃちほこ)のような下品なゼファー。


これではただの『暴走族の息子のバイクを乗り回す気がふれたジジイ』である。


・・・・・・・・。



そんな事は気にせず、赤信号を左右確認して悠々とシカトしていく。


このゼファーは、物凄い爆撃機のようなサウンドを響かせ、加速も暴力的である。きっとユキヤが何やら細工してるに決まっているのだ。


梅豚はヘアピンのコーナーをガードレールスレスレで抜けて行き、先の直線で暴風雨のようにスピードを上げた。



すると、




!?



真後ろにピッタリ付いてる一台のバイク。



このスピードに付いてくる?


メーターは180を振り切っている!


後ろのバイクもやはり四発の直管!

ゼファーよりもカン高いサウンド!


梅豚を抜きにかかって来た!


上等である!


梅豚は抜きにかかって来た後方のバイクの前に車線変更し、前ブレーキと後ろブレーキをおもいっきりかけた!


前後のタイヤがロックし、白煙を上げる!

追突は確実だ!

マナには悪いが、突っ込んだヤツから、バイクの修理代や慰謝料をたっぷりふんだくってやる!梅豚が勝利を確定した次の瞬間!




!?



ソイツは難なく梅豚をかわし、前に出ていた・・・・。


前方に道を塞ぐように停車している・・・・。


そのバイクは、



CBX400F。


フルビートに三段シート。


紫のグランデーションカラーに七色ラメ!



小生意気である!



梅豚はゼファーのスタンドを下ろす。



喧嘩である!


ここまで煽られて黙ってはいられない!


梅豚は腰の『乱暴ナイフ』を抜いたその時!



街灯に照らされたCBXの男。


梅豚はこの男を知っていた。



男は直立不動で梅豚に挨拶する。



「総長 ご苦労様です!」


男の名は、



罵多悪怒愚(バタードッグ)』平成犬士 武装単車隊『悪戯遊侠曲(ワルツ)』隊長の『カズキ』である!



やたらに筋肉質な体型がユキヤを彷彿させていた。


梅豚はナイフを引っ込める。


「相変わらず凄まじい運転しますね、総長」


カズキが微笑みながら言う。


「チッ、余裕で煽りカマシやがったくせに」


二人は反対車線にあるコンビニの駐車場にバイクを入れた。



カズキをパシらせ、梅豚はビールを買ってこさせると、グビグビ飲み始めた。


カズキはかなり珍しい改造を施された『マナ★ゼファー』に夢中である。


「何で後つけてきた?俺に話あんだろ?」


梅豚がタバコに火を着けながら呟く。


「はい。総長聞いてますよね。一昨日の『平凡住宅襲撃事件』は」


例の(ユウ)チビが起こした事件である。


「ああ。タケシに聞いたよ。一部始終な」


「じゃあUチビが『罵多悪怒愚(バタードッグ)』割って分裂させた事も耳に入ってますか?」


「大体はな」


梅豚はビールを喉に流し込むと、


「オメェはどーすんだよ?カズキ!テメェも俺に上等かよっ!オウ」


梅豚はビールが僅かに残ったカンを駐車してある車のガラスに投げつけた!


「俺は抜けませんよ。Uチビなんて好きじゃないし、元々はアッチャン先輩の直系ですから」


このカズキ。梅豚達より一回りは下だが、しっかりしている。梅豚相手にもキチンとものを言う。


「んで?どんくらい残った?『罵多悪怒愚(バタードッグ)』には」


「はい。俺の隊ともう一隊。令和犬士組の」


「ほう」


意外である。ヘタレしか居ないと思ってた令和犬士で残った隊があったとは。


「ソイツらの名は?」


「『梅姫一刀會(うめきいっとうかい)』。マナさんの親衛隊です」


梅豚は腕を組んで考える。


思いだせない・・・・・・。


「総長が覚えてなくても仕方ないです。最近出来たチームですし、総会も前回が初めてでしたから。実はさっき呼んだんですよ。そのチームの隊長を」



すると、微かに聞こえてくるバイクの排気音。


ヨレヨレの情けない直管サウンド。


消音器(サイレンサー)でも詰めているのであろうか?


罵多悪怒愚(バタードッグ)』らしくないヘタレなサウンドである。


やがて黄色いヘッドライトが、コンビニの駐車場にフラフラと入って来た・・・・・・。






!?





コルク半を被り、ポンコツノーマルゼファーに跨がる一人の小柄な女子!


バイクも覚えたてなのであろう、フラフラで、立ちゴケしそうになるも、カズキに助けられてる始末。



この『最近デビューしたッス系』女子は!



罵多悪怒愚(バタードッグ)』令和犬士 総長警護班『梅姫一刀會(うめきいっとうかい)』会長!


『カグラ』である!



・・・・・・・・。



梅豚はうなだれる・・・・・・。


何が総長警護班だ。


こっちが警護するハメになるであろう・・・・・・。



「あれ?総長?これが令和組残党のアタマの『カグラ』です。・・・・・・。あれ、おい!カグラ!挨拶しろよ!」


カグラは


「チッス」


と、梅豚に挨拶した。



・・・・・・・・。


男なら瞬殺レベルの挨拶である。


梅豚は優しいお巡りさんになります。



「ハイハイお嬢ちゃん、もう夜遅くてご両親が心配するからお家に帰りなさい。バイクは危ないから。押して帰ってね」


梅豚は優しいお巡りさんになった。


カグラは


「何それ?ムカつく!クソジジイ」


「グハッ」


慌ててカズキがカグラの口を押さえる!


梅豚は呆気にとられた。


こんな暴言を吐かれたのは久しぶりだ。


ようく顔を見てみたい!


自分をジジイと罵った小娘の顔を!


梅豚は近づいてカグラの顔を凝視する。


不釣り合いな『日章コルク』もスポッと取った。


「返せよ!クソジジイ」


また言った。


はて?



この小型の猫顔・・・・・・。


誰かに似て、




!?




若かりし頃の『マナ』に似ている!


髪のカラーもマナと一緒!

それでゼファーか!


完全にマナをリスペクトし、成りきっている!


が、ちょっとさっきから見てるとかなりの低スペックで何の役にも立ちそうにない。


お引き取り願おう。



「カグラっつったっけ?今から『罵多悪怒愚(バタードッグ)』は戦争んなる。そしたら真っ先にお前が狙われて殺される。悪い事はいわねぇ。帰れ」



カグラはめげない!


「エー!ケチ!クソブタジジイ」



!?


ヤバい!


梅豚はワナワナ震えている!


カグラの目の前に居るのはあの死刑部隊『罵多悪怒愚(バタードッグ)』総会長 恐怖の梅豚である!


殺される!


息をするように梅豚は人を殺す!


カズキが必死にフォローする!


「総長!何とかお願いできませんか?コイツ役にたちますから」


(かば)ってんのか?」


「へ?」


「テメェ そのガキ庇ってんのかって聞いてんだよ」


梅豚は残忍な顔でカズキに殺しの言葉を投げつける!


するとカグラは、


「ギャハハ!『都内走る車のカーナビ地図』みたいな顔ぉ ポンコツクソジジイwww」


・・・・・・。


確かに梅豚の顔面は傷だらけである!カーナビ地図みたいである!そしてポンコツである!



「もう辛抱たまらん!成敗!」


ゴン!


梅豚はカグラの頭部に特大拳骨(げんこつ)を食らわせた!



「帰る!」


ゼファーに跨がりエンジンをかける梅豚!激おこぷんぷん丸なのである!


「ちょっと待ってよ~謝るから」


カグラが引き留める。


何故か梅豚の『会心の一撃』を食らってもピンピンしてる!


カグラが続ける。


「お願いします。アタシずっとマナさんに憧れてて、やっと『罵多悪怒愚(バタードッグ)』入って、これからって時に役にたてないんじゃ悲しいですよ」


「憧れだけじゃ無理だ。お前に何が出来る?」


「情報収集」


「他は?」


「ハニートラップ」


「合格!」


・・・・・・・・!?


まさかの『暴言娘』の入隊決定である!


カグラは飛び上がって喜んでいる。


梅豚はどうゆう心境なのだろう?



ゼファーのアクセルを吹かしながら梅豚は


「カグラ。今マナは高校時代からの親友(ダチ)に裏切られてショックを受けてる。男の俺じゃどうにもなんねぇ事もある。毎日ウチにきて話し相手になってやってくれ」


「はい!お安い御用です!」


現金な小娘である。


「頼むな」


とゆうと、フル加速で去っていく梅豚。



「ヒヤヒヤしたじゃねぇか!もうちっとで俺殺されてたぞ!」


カズキが額の汗を拭きながら言う。


「でも結果兄貴も生きてるし、アタシもマナさんの側にいれるって事でいいぢゃん」



!?


何とこの二人・・・・・・・。



カズキ。


カグラ。


兄妹であった!



爆弾娘を抱え、抗争に突入してく『罵多悪怒愚(バタードッグ)』。


勝つか?負けるか?



血の雨が降り注ぐ!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 激おこぷんぷん丸 [気になる点] アッチャン家チの屋根に乗っかってるような金の鯱しゃちほこのような下品なゼファー。 [一言] 「ハニートラップ」が得意なカグラの活躍に期待してます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ