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カシラ文字U  作者: 梅屋卓美
27/42

令和餓狼伝 其の壱 襲来離別

有害指定都市ツチューラ市内 中立区域 並川町 平凡住宅 午後16時18分。



人々の悲鳴。


怒声。


嗚咽。


血と硝煙の匂い。




平和な住宅街に訪れた突然の悲劇。


男はナイフや日本刀でナマスに切り刻まれ、女、子供は人身売買の為、トラックに押し込まれている。

逆らう者は拳銃で撃たれその場で殺された。


あり得ない方向に足が曲がり、首が曲がった死体があちこちに転がっている。



襲撃している(ヤカラ)達は・・・・・・。



罵多悪怒愚(バタードッグ)』平成犬士 行動隊長 (ユウ)チビ率いる『友極會』並びに副総長補佐ケンゴ率いる『撲殺天使』その他、令和犬士キリト率いる『多利羅利乱(たりらりらん)狂走連盟』のメンバー達である。


ちなみにUチビは梅豚の甥である。


この地に乗り込んできて、まずUチビは町内会長宅に短刀を持って踏み込んで行き、


「逆らうなよ?女子供は売り飛ばす。反抗的な男は殺す。赤ん坊はブタの餌にしてやる。聞いてんのか?町内会長さんよ」


その家の長女が、スマホで警察に通報しようとしたその刹那・・・・・・!


ザクザクザク!



!?



無惨にも少女の顔面がUチビの短刀で切り裂かれた!


悲鳴と絶叫が室内を貫通しこだました!


「つまんねぇ事すんなよ。ブスがよ」


唾を吐き捨てるUチビ。



すると、娘を切り刻まれ、半狂乱になった町内会長は包丁を振り回しUチビにかかって行ったが、あっけなくかわされ、斜めの角度から短刀で腹を突き刺された!

突き刺した短刀を下にズリ下ろすUチビ!

すると、町内会長の腹から臓物が一気に飛び出し絶命した!

血と臓物で恐ろしい臭気である。



外に出て、愛車 セリカXX(ダブルエックス)の屋根に乗り、拡声器で唸りまわすUチビ!


《女子供はなるべく殺すな!金になるからよ!年寄りと野郎は殺しちめえ!財布も残らず抜け!それから一軒一軒、慎重に家捜ししろ!金目のモンはトラックにぶちこめよ!早くやれよコノヤロウ!》



・・・・・・・・。



非道すぎる。



そしてあまりにも残忍である。



襲撃メンバーは、目前の暴力や殺戮に酔いしれている。




これまでの、梅豚率いる『罵多悪怒愚(バタードッグ)』とは明らかに違う異質の集団である。


同じ『罵多悪怒愚(バタードッグ)』であっても『罵多悪怒愚(バタードッグ)』ではない。


まったく別物だ。




死角に隠れ、この光景を一部始終録画する1台のローダウンしたハイエース。


運転席にはユキヤ。


助手席にはタケシ。


罵多悪怒愚(バタードッグ)』最高幹部である。



「ヒデェな・・・・コレ どうすんスか?タケシさん。収まりつかないッスよ?こんだけやったら」


ユキヤが絶望的な台詞を吐く。


「そうだな。こりゃ ちっとやり過ぎだな」


タケシは冷静だ。


「そんな言い方ないっスよ!せっかく『罵多悪怒愚(バタードッグ)』も固まって安定してきたのにまた立て直さなきゃなんないんスよ?」


精一杯タケシに抗議するユキヤ。


「わかった。じゃあ、注意しに行くか 行儀の(わり)ぃガキ共に。行くぞ ユキヤ」


タケシは颯爽とハイエースの助手席を降りて行く。

ユキヤも後に続いた。



修羅場の最前線に踏み込んでくタケシとユキヤ。



そしてセリカのボンネットに座り、悠々とタバコを吹かすUチビの前にタケシは立った。


二人を見て、不敵に微笑むUチビ。そして


「これはこれは、本部長さんに特攻隊長さん お疲れッスゥ」



ザッ!





!?




ドスン!




タケシの猛烈なコブシがUチビのアバラに食い込んだ!


そしてタケシはUチビの左腕をセリカのボンネットに固定すると、迷わずアイスピックをUチビの手のひらに突き刺した!


「グウ!」


激痛に思わず声を漏らすUチビ!


タケシの制裁は続く!


「んだぁ?ガキィ、その態度はぁ!」


タケシがアイスピックにギリギリと力を込める!


アイスピックがUチビの手のひらを貫通し、ボンネットにコツンと当たる!

しかしタケシは力を緩めようとしない!


「オラ!もう一変言ってみろや、お坊っちゃん」


すでにアイスピックはボンネットにまで食い込んでる!


「フッ!」


タケシが渾身の力を込めた瞬間!


ベコッ!


・・・・・・・・!


ついにアイスピックはUチビの手のひらを貫通した挙げ句、ボンネットをも貫通してしまった!



Uチビは左腕をアイスピックごと車に縫い付けられてしまった!


ブチギレるUチビ!


「タケシィ!テメェコラァ!」


左腕を縫い付けられ、自由の効かない身体で短刀でタケシに切りかかって行くUチビ!

物凄い根性である!


タケシは難なく短刀をかわすと、コブシをUチビのアゴに叩き込み、左足を軸に空気を切り裂くような回しゲリをUチビの延髄に叩きつけた!


「誰がテメェだ?あ?コラ」


今度はプラスドライバーで、Uチビの頬を突き刺した!

貫通し歯茎をエグり、奥歯を吹っ飛ばした!


壮絶なヤキである!


さすがのUチビも、息も絶え絶えである!


タケシは


「テメェは姿形は若い頃の梅ちゃんにそっくりだが」


最後通告をタケシが告げる。


「梅ちゃん程じゃねぇよ」


!!



「行くぞ、ユキヤ。オイ!テメェら!人質は全て解放しろ!奪い取ったモンもその場に捨ててけ!以上!解散!」




・・・・・・・・。




そう言うと、タケシはまた颯爽と去ってしまった。



初めて見る『罵多悪怒愚(バタードッグ)』本部長タケシの恐怖。


梅豚、アッチャンとはまた違った怖さだ。


現に、襲撃メンバーはアタマのUチビがやられてるのに、手も足も出なかった。


Uチビは縫い付けられた左腕をそのままに、ガックリ膝をついてしまった。


ケンゴやメンバーが集まってくる!


「オイ!U!大丈夫(だいじ)かよ」


パニックになるケンゴ!


「フウ、フウ、フウ」


呼吸が荒くなるUチビ!


それはそうであろう。


常人なら目も開けてられない程の激痛だ!

Uチビですら、激痛を我慢し、唇を噛みきっていた!



其処に超絶爆音のレーシングカラーにロングノーズのGX71チェイサーが火花を散らして入って来た!


運転席から降りて来たゴスロリファッションで深キョン似の女は、マナの高校時代の同級生で、平成犬士幹部、リサPである!

死にかけたUチビを見て、リサPは


「ちょっとU!アンタ大丈夫?!」


リサPは涙を浮かべ、唸り飛ばす!


「誰だよ!誰がやりやがった?アア!」


この激しい気性はマナにも負けてない!

リサPは残忍なUチビに『特殊感情恋心』を抱いているのだ!


ケンゴが呟く。


「本部長のタケシさんです」


ビキビキビキ!


リサPの美顔に極悪嫌悪が走った!


「タケシの野郎」


リサPの怒りは最高潮に到達しそうだ!



「ちょっと黙ってろ。リサ」


そうUチビはたしなめると


「とりあえずこのアイスピックを抜かねぇと」


と、ボンネットに脚を掛け、右手にアイスピックの柄を持ち抜きにかかるUチビ!


「ぐおおおおおおおおおおお!」


人間の顔にこれだけ血管があるのか?と思うほどの血管を顔に浮かべ、Uチビはアイスピックを抜いた。


この場にいる隊員全てが息を飲んだ。


これが梅の血筋か・・・・・・!


そしてUチビは、長Tの袖を破った。鮮やかな刺青があらわになる!

破った袖をアイスピックに巻き付けライターで火を着けた!


「何すんだ?U!」


ケンゴが叫ぶ!


「これで止血する!このままだと死んじまう」


そう言うと、Uチビは燃え盛る炎を、手のひらの傷口に押し付けた!


人間の皮膚と、肉と骨が焼ける臭いが充満する!


「ぐああああああああああ!」


修羅の鬼子の狂った精神に、周りの隊員は恐れをなし震えた!あちこちで嘔吐する者もいる!


止血が完了すると、Uチビは忌々しげにアイスピックを投げ捨てた!


リサPは車にもたれ、泣き崩れている。

もうUチビの左腕は元には戻らないであろう。


「ケンゴォ、タバコくれよ」


冷静にUチビは言う。


ケンゴはタバコを取り出し、Uチビに咥えさせ火を着けた。


紫煙を旨そうに吐き出すUチビ。


そして



「俺ぁ『罵多悪怒愚(バタードッグ)』から離脱すんぞ」




!?




辺りを静寂が包み、そしてざわめく。



「平成犬士、そして令和犬士は俺について来い。『罵多悪怒愚(バタードッグ)』を叩き潰す!」


周りが息を飲む。


「『罵多悪怒愚(バタードッグ)』割って出て、そんで俺達は何になんだ?」


ケンゴが問う。


Uチビが答える。





「狂犬連合」





!?




ケンゴ、リサPが絶句する!




狂犬連合・・・・・・・・。





初代メンバーはみんな還暦過ぎだ。が、生きていればの話である。


初代から全盛期のメンバー含め・・・・・・、



全員死んでいる・・・・・・。



呪われた曰く付きの暴走愚連隊。




血の内部抗争の幕開けである。



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