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カシラ文字U  作者: 梅屋卓美
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~龍撃~編

有害指定都市 ツチューラ市駅前 喫茶『キャロル』。

午前7時26分。



古びた昭和の面影を残す風情の喫茶店。


駐車場にはバカデカイ新型のSクラスのベンツ。


店内は古いゲーム筐体が置かれ、壁には某カリスマロックシンガーのポスターに、『クリームソーダ』のドクロの巨大なタオルが貼り付けてあり、BGMは『チャイナタウン』が流れている。


テーブルにはあの・・・・



広域指定暴力団『七代目菱山組 五代目銀龍会』組長『龍二』と若頭の『シンジ』が座っている。

龍二は細身のグレーのスーツに腕時計はロレックスのデイトナに尖った黒のエナメルの靴。年季の入ったリーゼント。



そして・・・・



ラインストーンが散りばめられた『眼帯』。


龍二の片眼は、『罵多悪怒愚(バタードッグ)』の『梅豚』に奇襲を掛けられた際に100円ショップの包丁でくり貫かれた!

残忍かつ迅速な攻撃。

ふと龍二は眼帯に手を添える。

極道として長年生きて来た。

常軌を逸した曲者も数多く見てきた。


が・・・・



あれほどまでに狂悪な男を龍二はかつて知らない。

罵多悪怒愚(バタードッグ)』総会長の梅豚。

元はツチューラ市に合併される前の『出解村』という過疎の村で、その地に根をはる非行少年達で結成された暴走族『狂犬連合』がベースとなり、梅豚に代替わりしたと同時に『罵多悪怒愚(バタードッグ)』へとチーム名が変更された。

他のチームとの乱闘に次ぐ抗争。

数々の凶悪事件を引き起こし、警察もヤクザも物ともしないスタイルは、受け継げる人間がだれも居なく、約二十年以上たつ現在に至るまで、梅豚がその看板を守って来ている。


しかしこの集団は暴走族ではない。かと言って旧車會とも違う。半グレでもない。現在『罵多悪怒愚(バタードッグ)』は警察による指定も受けてない。カタギでもないであろう。

戦後の間もない頃、闇市で暴れまくった愚連隊。

それに近いのではなかろうか?


しかし、平成も終わりを告げ、新たなる時代を迎えようとする現代。


このような集団はいらない。


邪魔になるなら潰すだけ。


幼い頃からの梅豚との決着も着けなければいけない。


本家の『七代目菱山組』も早く何とかしろとうるさい。


そのような事を龍二が考えていると・・・・




轟音が鳴り響いてくる!



テーブルにある龍二とシンジの珈琲が揺れる!



まるで地鳴りだ!



古いマークⅡを先頭に、ケンメリ、ジャパンと続けて『キャロル』の駐車場に乗り入れて来た!


今時何処にこんな奴等が居る!?




登場である。






死刑部隊『罵多悪怒愚(バタードッグ)』である!




身障者用の駐車スペースに番長止めした古いマークⅡからは、白いクロコのセットアップを着た梅豚が降りて来る!


ケンメリからはアッチャン。


ジャパンからはタケシ。



死刑部隊『罵多悪怒愚(バタードッグ)』の最高幹部連。



しかし・・・・




三人共、キャロルの店内に入って来ない。



龍二が視線を替えると・・・・










!?









な、何と!!





龍二の現行Sクラスのベンツのボンネットにスプレー缶で『オマンコマーク』を書いている!しかもピンク!



頭が錯乱してくる龍二!



爆笑している『罵多悪怒愚(バタードッグ)』の三人!



龍二は立ち上がると、会計をレジに叩きつけ、駐車場に向かう!



もう殺す!




龍二が歩みよって行くと、




「いやぁ~、やっぱベンツっちゃカッコいいなぁ」


副会長のアッチャンが楽しそうに奇声を上げている!



その横で梅豚がご丁寧に『オマンコマーク』の隣に『オマンコ』と縦書きの文字を書いている!


龍二は気が変になりそうだ!



すると、




「あ!怖いオジサンだ!」



と、梅豚がはしゃぎだした!


するとタケシが大爆笑している!




「梅豚ぁ。テメェ何してんのか分かってんのか?」


龍二のコメカミからは血管が浮き、チャカでも所持していれば、射殺している!



しかし、



「それがどうした、暴力団!」




余裕綽々と薄ら笑いを浮かべ、挑発する梅豚!



「どうせ俺達に解散しろとでも言いたかったんだろ?甘ぇんだよ、テメェは」


氷室京介を意識してそうなタケシが吐き捨てる!




ギィィィィィイ~、



思わず耳を塞ぎたくなるような無惨な音・・・・。






!?






今度は助手席側のドアに、『十円パンチ』を食らわせている狂った梅豚!



龍二が梅豚を殴り飛ばそうとした瞬間!



腕がガッツリロックされた!



「オイ、その手で何しようっつーんだよ?指定暴力団」


アッチャンが龍二の腕を掴み唸る!




すると、身動きが取れない龍二の懐から札入れを引き抜く梅豚!




「今日はコレで勘弁してやっからよ!」


やりたい放題の『罵多悪怒愚(バタードッグ)』!



其処に若頭のシンジが梅豚に殴りかかる!



しかし、タケシに脚を引っ掛けられ、無惨に転倒する・・・・



またまた大爆笑の狂い屋『罵多悪怒愚(バタードッグ)』!




すると、





強烈なサイレンが鳴り響く!


警察だ!


ここは一旦退かなければ龍二達がパクられる!

悔しいが仕方ない!



梅豚達も車に向かって歩きだした。

そして、



「龍二ぃ、テメェ調子くれてっとハラワタ引き摺り出して、その口に突っ込んでやっからよぅ!覚えとけ、コラァ!」



すると風のように去って行く『罵多悪怒愚(バタードッグ)』。






このまま済ます訳には行かない!




抗争の準備だ!



殺意と憎しみを込め、固く心に誓う龍二。




天下無双の野良犬を皆殺しにする!




罵多悪怒愚(バタードッグ)』により激しく変貌を遂げた恥ずかしいベンツの後部座席で歯ぎしりをする龍二であった・・・・









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