UMEBUTA THE STORY〜ひとりの極悪人〜
有害指定都市ツチューラ市内 廃墟区域 午前11時12分。
街は灰になり、そして蠢く破落戸達。
無力化した国家や警察。
もはや何の役にもたたない。
元来、国家警察などそんなモンだ。
完全に世界から忘れられた『羅刹の街』。
世界では妙な疫病が蔓延し、有害指定都市ツチューラに気をとめてる暇もないのだ。
力のない正義ほど無様で情けないものはない。
それは只の偽善だ。
人間は所詮は『力』である。
暴力、金力、権力・・・・
そして武力。
残念な事に、この街では、その『力』を余す事なく暴発させるキチガイが頂点に立ってしまった。
超反社会的暴力武装団体
『罵多悪怒愚』
元々この地に根を張る暴走愚連隊で、構成員は最初は少数だったが『例の事件』(※羅刹の街参照)で一気に北関東のほぼ全域のアウトロー達を手中に納め今に至る。
其処に・・・・
!?
ダルそうに歩く中年男。働きもしないのに着用してる白い上下の作業服。そのベルトからは『ランボーナイフ』が皮の鞘に納められぶらさがっており、白髪混じりの『スーパーリーゼント』は若干後退し、眉毛は剃っているのか、そもそも生えてこないのかは不明だが、全部無い。シャープな眼鏡の奥には、爬虫類のような眼光が鎮座している。
ヤクザや半グレ、DQNともだいぶ違う。
このキテレツなオーラを放つこの男は!
『罵多悪怒愚』総代会長。
『梅豚』である!
ザッザッザッザッ
ちょっと値が張りそうなクロックスの踵を鳴らし、真っ昼間っからビールを片手に廃墟区域を護衛も付けずに徒歩で巡回していた。
梅豚にはこうゆう所がある。
物凄く気分屋なのだ。
周囲の者達はたまったモンじゃない。
気分で怒ったり、殴ったり、人を殺したり、街を壊滅させたりするのだ。
梅豚はあからさまな『ダルそなウォーキング』で、県道に捨てられた空きカンに『ランボーナイフ』で穴を開けたり、森林の中からカブトムシを二匹採取し戦わせたり、コンビニに停車された老夫婦が乗ってきたプリウスに『罵多悪怒愚』ステッカーを貼り付けたりと謎な行動を繰り返していた。
・・・・・・・・。
完全に『キチガイの向こう側』に旅をしてる。
しかし、こんな梅豚を憎々しげに睨み付ける一人の男。
その男は路肩に停車したパトカーに乗車してる。
助手席にはブサイクな女性警官。
ちなみに梅豚が普段乗り回してるクラウンは、ツチューラ警察署からかっぱらい、無様な赤色灯を外し、ツヤツヤブラックに全塗装してカスタマイズされた車両だ!
・・・・・・
梅豚を睨み付ける黒ブチ眼鏡の中デブ男の名はツチューラ署(仮設中)の『田中』。
年齢30歳。
童貞、彼女ナシ、低月給、趣味はフィギュア収集にコミケ。休日はエロ動画でオナニー三昧と恐ろしい位の低スペック。
しかし、田中には警察官としての責務がある!
真っ昼間っからビールを片手に『巨大サバイバルナイフ』を持ち歩く輩を野放しにはできない!
よせばいいのに田中は、歩いてる梅豚の真後ろにパトカーを停車させ、警察官として威厳アリアリな感じで『職質』をぶっかける!
「ちょっとそこのアナタ!身分証を拝見・・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
梅豚は振り向きざま、ランボーナイフで田中の顔面を真横に切り裂いた!
「あ?アナタだと?誰に口聞ーてんだ?テメェ」
そう呟くと、のたうち回る田中の脇腹にまたしてもランボーナイフを突き立てる!大型ナイフが、容赦なくグリグリエグり、血液が蛇口の水の如く噴出してくる!
「ギャァァァァァァァァァァァア」
田中の悲鳴が断末魔に変わってく!
「ギャアギャアウルセーよ。ん?テメェ、バイトの警察官か」
そう。
梅豚にとっては、同じユニフォームを着用し、同じパトカーに乗車する警察官は、時給いくらで雇われたアルバイト店員位にしか思ってないのだ!
「凶器を離して手を挙げなさい!」
よせばいいのに震え声で拳銃を不慣れな感じで構える女性警官!
ザクッ!
!?
梅豚はランボーナイフを女性警官の額目掛け投げつけた!
見事命中!
即死である!
そして梅豚は、女性警官に突き刺さったランボーナイフを女性警官の制服でフキフキすると、亡骸に握られていた拳銃を田中のと二丁奪い、警察手帳も没収し、タバコに火をつけ、何事もなかったかのようにパトカーに乗車して走り出す。
パトカーを運転しながら梅豚は
「この拳銃は俺が使お。もひとつはアッチャンにあげてぇ、警察手帳はメルカリで売ろ。このパトカーはハイブリッドだしマナのお買い物用だな」
・・・・・・・・。
狂人は凶器を抱え今日も行く。
屍を重ねながら・・・・。




