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宇宙を拓く者

作者: 橙色



 宇宙というのは、聞くところによると無限に広がっているらしい。





 この無限という言葉の真意をはかり知ることは、私には難しい問題である。


 もし仮に、本当に宇宙が無限に、文字通り限りが無く大きなものであったとしよう。ならば、宇宙のなかでは殊更に矮小な存在であろう、『人間』という器に収まってしまっているこの私の頭の中で広がる、それこそ限りが無いとも思えるような物語、そして世に溢れている千差万別の物語は、すべて宇宙のどこかで実在しているに違いないのだ。


 太陽系における太陽と地球のような絶妙な距離感(物理的な)は確かに奇跡的であるといえる。だがそれは『不可能ではない』証明でもあるのだ。なにせ地球は、我々は存在しているのだから。


 可能性が0でない事象ならば、無限の世界のなかではいくらでも起こりうる。むしろ、地球とは全く別の条件で生命が誕生していることも考えられる。そんな世界があるとするならば、地球における物理法則など通用するわけがない。手のひらからビームを打てるかもしれないし、手足がゴムのように伸びる生物が跋扈しているかもしれない。


 私たち人間如きに考え得る物語など、果てしない宇宙に存在しないわけがない。

 私には、そう思えてならないのだ。

 


 ならば誰が創ったという物語も、宇宙という第三者からすると二番煎じに過ぎない。


 しかしそう考えてしまうと、クリエイティブな活動はまるで無意味なように感じてしまうことだろう。




 ……自分でこんな説を提唱しておいて何だが、それは違うと私は確信している。


 自らの創り出した物語が、自分だけのものであると信じている世界が、多くの人に親しまれ、それでも実在するはずがないと誰もが知っている有名な物語の舞台ですら、この広い宇宙のどこかに実在し、呼吸をしていると思うだけで、どこか幸せな気持ちにならないだろうか。


 物語を創る度に、私は宇宙の開拓をしてるのだと、傲慢にも考えてしまうのだ。


 読者が一人もいない物語も。

 作者が志半ばで心折れてしまい、停滞してしまった世界も。

 多くの人に愛される大作も。


 そのすべては宇宙のどこかで息づいており、作者すら知らない無限のサイドストーリーがあるはずだ。


 そして、一人の例外もなく、物語を創った者、あるいは創ろうと思った者はすべて開拓者である。


 




 宇宙の開拓者に、敬意を。




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