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幼女に裸を見せる形式の銭湯

事案ですかねぇ

 冒険者ギルドへ寄ると、ジグルドとロイに後のことは任せて銭湯へすぐ行くことにした。

マーくんは銭湯に特に興味ないようなのでジグルドたちと一緒に残った。

よって銭湯行く組はモモと俺とディーナだけだ。


「こんなとこあったんだなあ」


 モモの案内で街を歩いて行くと、通りの両端にござをしいて何か色んなものを並べてるフリーマーケットみたいな場所に来た。

食べ物の露店もちらほら見かける。


「道の端に座ってる人たちは、前に置いてるものを売ってるのか?」

「そうですよーお店を持ってない人はああやって売りたいものをここで並べてるんです」


 モモの説明を聞いてやっぱりそうなんだ、と思う。


「あ、剣とか売ってるよヴォルるん、冒険者になったから装備も買わなきゃだめよね」

「そうだなー、ディーナはマーくんに借りてる木剣だし、俺に至っては何も装備ないしなぁ」

「何か買いたいなら朝のうちに来た方がいいです、この時間だともう帰ってる人の方が多いので」


 もう夕方だもんな、銭湯行ってたら買い物する時間はなさそうだ。


「銭湯は夜になってもやってるのか?」

「いえ、でも日が完全に落ちる前に入れば大丈夫です!」


 出るときに夜になってるのはセーフなようだ。

 

「でも夜道を帰るのは危ないので早く行きましょう!」


 そう言われたので俺たちは先を急いだ。

時間があるときにまたここへ来ることにしよう。


………


 銭湯は、フリーマーケットしてる通りの突き当りにあった。

日本にあるような高い煙突がついた和風の建物ではない、なんか美術館っぽい感じがする…

これ案内されなきゃ銭湯ってわかんなかったわ。


「先に出たらお店の前で待っててね!」


 ディーナはそう言ってモモと一緒に店に入っていった。

俺も後に続こうとしたら


「もー!ヴォルガーさんは男性なんだからあっちですよ!」


 モモに言われて、もうひとつの入り口があることに気づいた。

え、店に入る前から男女別なのか。

よくわからんけど言われた通り別の入り口から店に入る。


 中に入ると宿の受付みたいなカウンターがあって、エルフの女性が座っていた。

まさかこの人が番台なのか、美人だからちょっと恥ずかしいんだけど。


 カウンターに近づいてとりあえずいくらですか、と料金をたずねた。


「入浴は銅貨3枚、洗濯は2枚、荷物の預かりは1枚よ」


 なんだこのシステム、コインランドリーも兼ねてるのか?


「あの…初めて来るのでよくわからないんですけど、洗濯は今着てる服でも洗ってくれるんですか?」

「ええそうよ、着替えがなくても、お風呂から出るころには出来上がってるわ」

「濡れてる服を着て帰るのは嫌なんですが…」

「あはは、ちゃんと風魔法で乾かして渡すから心配しなくてもいいわよ」


 おお、乾燥機代わりに風魔法使えたのか、ゲームにない発想だ。


「じゃあお願いします、あ、荷物も預かって…ていうか預けない人いるんですか?」

「預かるっていうのは私が他の人の手が届かないところに保管しておくって意味よ、その必要がない人は脱衣所にある棚に適当に置いておくだけ、そこで何か無くなったとしても私は知らないけどね」

「はあ、じゃあとりあえず銅貨6枚出すんで全部お願いします」


 財布もあるから預けないと不安でしょうがない。

預けないやつはどういう神経してるんだ?入浴料だけしか持ってこないのかな。


「はい、確かに6枚ね、じゃあそこの奥がお風呂だから…あ、お客さん腰布は持ってる?」

「腰布?下着ですか?」

「下着は洗濯するでしょ?お風呂に入るときに巻く布よ」


 全裸はだめなのか、なんてこった。


「持ってないです」

「じゃ、はいこれ、銅貨1枚ね」


 ボロい布をわたされた、これも金とられるのか。

仕方なく追加で1枚払った、そしてこれは返す必要はないと言われた。

ゴミみたいなものを買わされた…仕方ない、勉強代だと思っておこう。


「洗う服は脱衣所にいるエルフの子供にわたしてねー」


 最後にそう言われてから、俺は通路の奥へと歩いていった。

突き当りまで来ると両開きのドアがあった。

そこを開けて中に入ると、裸のおっさんが何人かいた、ここが脱衣所か。


 木の棚が並べてあって、その前で服を脱いで下半身に腰布を巻いた。

エルフの子供って誰だよと思って辺りを探すと、衣類の入ったカゴをもってちょこちょこ走ってる耳の長い小さな女の子がいた、この子はちゃんと服を着ている。


 小さい女の子におっさんのパンツを洗ってって頼まなきゃいけないのかよぉ!

なんだこの高度なプレイは、俺は紳士だからいいけどこの子は普段、裸のおっさんに囲まれて身の危険を感じたりしないのだろうか。


「すいません、洗濯は君に頼んだらいいのかな」


 意を決して腰に布を巻いただけの状態で話しかける。

第三者から見て絵的に大丈夫かなこれ、通報されないだろうか。


 そんな心配をよそに、エルフの女の子はこくり、と頷いて俺の服を受け取ると、『3』とかかれた木の札を差し出して来た。


「風呂から出たらこれを君に渡せばいいのか?」


 女の子はまたこくり、と頷いた。

なるほど、そういうシステムなのか。

よしもう理解した、他の人に見られる前に風呂に入ろう。


 脱衣所の先にある扉をあけたら、そこはちょっと想像してたのと違った。

露天風呂みたいで天井がない、雨降ったらどうすんだろう。

周りは一応石壁で囲まれているけど。


 おっさんやおじいちゃんが数名、浴槽のふちに腰かけている。

あとは子供が二人、浴槽の中ではしゃいでバシャバシャやってるな。

子供の腰くらいまでしかお湯が無いからそんなに深くないみたいだ。


 他には桶が置いてあるくらいだったので、とりあえずそれで浴槽からお湯を汲んで、頭と体を洗った。

シャンプーはないだろうけど石鹸くらいあればいいんだけどな。


 その後は浴槽の中に座って足をのばしてみた。


 いやぁ…風呂めっちゃ久しぶりだわ…あったかい…

やっぱり水で体を拭いたり洗ったりするだけでは得られない何かがあるわぁ…

毎日ここ来きたいな、入浴だけなら確か3枚だよな…ああーでも入浴料だけ握りしめてここまで来るのもなあ、財布預けたいから4枚はいるなあ。


 あ、まてよ、モモは風呂付の宿はあるみたいなこと言ってたな。

高いからそんなところには泊ってないとかなんとか。

じゃあ銭湯以外でも風呂はあるわけで、個人で風呂を所有することは可能なんだよ!


 風呂付の家ほしいなぁ。

タイラントバジリスク倒したらラルフォイが報酬払うって言ってたし、その金があれば風呂付の家も夢じゃない…のか…?

いやさすがにそんな家が買えるほどの大金はくれないか…

ああでも毎日銭湯には来られるくらいは貰えるよな。

じゃあそれでもいいや。


………


 風呂を十分満喫して、脱衣所に戻ると、さっきのエルフの女の子がいた。

俺は持っていた木札を渡すと、入ってきたところとは別のドアをあけて女の子はどこかへ行き、すぐに俺の服を持って戻ってきた。


 ちゃんと渇いてた、すごいな。

この女の子が魔法で乾かしてるんだろうか。 

何人分もやって魔力的にきつくないのかな…?


 質問したかったけど俺に服を渡すとまたパタパタとどこかに走っていった、忙しそうだ。

俺は綺麗になった服を着て、預けていた荷物を受け取ると外に出た。


 外はもう薄暗い、結構長いことくつろいでしまったかもしれない。


「あっ、ヴォルるんーーーお金貸してーーー!」


 モモとディーナは先に出てたのか、しかしいきなり金を要求とはなんだ。


「私、お金持ってなかったの忘れてて、モモちゃんに払ってもらったの…」


 そうだった、こいつ金もってないんだった。


「いいですよーそれくらい!ディーナさんと一緒に入れて楽しかったですから!」


 モモは機嫌がよさげだ、服が綺麗になってるからかな。


「いくらだった?銅貨6枚?」

「もーだからいいですよー!前にお昼ごちそうになったからそのお返しです!」


 あれそんなに金かかってないんだけどな、でもそういうならしつこくするのはやめとくか。

まあそもそも俺がディーナの代金を出すのが当然になってきてる現状に疑問を感じざるを得ないが。


「わかったよ、ありがとうモモ」

「ありがとおおお」


 いい加減ディーナにも銀貨2、3枚くらいは持たせとくか…こいつの生活費はタックスさんから一応貰ってるし…


「今度からディーナにも少しお金持たせとくわ」

「えっ、わ、私はとうとうおこづかいを貰えるのっ!やったああああ!」


 お小遣い…まさにそんな感じだな、子供のような扱いをされても疑問に思うところは一切ないらしい。


「明日からな、今日はもう暗くなってきてるし帰ろう、モモは…泊ってるところまで送ったほうがよさそうだな」

「大丈夫です、ほら、迎えが来ましたから!」


 言われて通りの方を見ると、ロイがこっちに向かって歩いて来ていた。


「少し見ない間に綺麗になりましたねぇモモ」

「なんで口説き文句みたいに言うんだよ」


 ロイの台詞を聞いて思わずつっこんでしまった。


「あはははは、そんなつもりは全くありませんでしたが…ぶふっ、言われてみたらそうで…あははは!」


 自分で自分にウケるなよ。


「もーこんなとこで大声で笑わないでください!恥ずかしいです!早く帰りましょう!」

「あーじゃあ俺たちも家に帰るから、またな」

「あっ、はい!それじゃあ!」

「またねーモモちゃん!」

「いーひひひひひ!」


 キモい笑い方をし始めたロイから離れるように俺とディーナは家路に着いた。

少し歩いて振り返ってみると、ロイはモモにバシバシ叩かれていた。

それでもロイは笑っていたようだが。


 あいつにはうかつにツッコミもいれられんな。

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