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荷物持ち

いままで、ちょっとなろうの仕様を勘違いしてて変な部分で改行いれたりしてました。スマホでみたらかなりおかしかったので1話から全部、文の改行位置などをなおしました。

 さすがプロは違うな。

ジグルドたちの動きを見て俺はそう思った。

なんせ日が落ちる前にホーンウルフのボスを倒してしまったのだ。


 そして俺は特に役に立ってない気がするんだが、金貨1枚も貰っていいんだろうか?

最低でもそれくらい払うと言われたときは、金貨をまだ見たことがないので価値がよくわからず、銀貨だと何枚分か尋ねたらなんと100枚分だという、10枚分くらいかと思っていた。

銀貨10枚は聖銀貨1枚に、聖銀貨10枚が金貨1枚の価値らしい。

聖銀貨もまだ村で見たことが無かった。


 ホーンウルフのボスの死体を前にもう一度自分が何をしていたか考える。

まずジグルドは俺を雇って仲間に入れてくれた後、報酬の話をして、森へと出発した。

ゲームでパーティープレイをしてた頃を思い出して俺はちょっと楽しくなってたんだが、皆あまり無駄口を叩かず周囲を警戒して進むのを見て、やっぱりプロは違うんだなと感心した。

ただ、モモだけは話しかけてくれたから不安にならずに済んだ。


 俺は一応、後衛にあたるロイとモモの護衛を任されていた。

普段はミュセが後方警戒をするらしいが今日は俺がいるので、ジグルドと二人で前衛をしていた。

森で初ホーンウルフに遭遇したときは本当に角生えてる!と驚いたけど、ジグルドとミュセだけですぐに片付けてしまった。


 死体をそのままにして先に行くので、あれこういうのって素材として何か持って行ったりするんじゃないのかなと思って傍にいたモモに聞いたんだが、彼女もなんで皆が死体を放置して先を急ぐのかよくわかってなかった。

普段はやっぱり素材をとるらしい。


 その疑問にはロイが答えてくれた。

どうやら今回はボスの討伐が最優先なんだと。

早く倒して安全を確保したいので急いでいるらしかった。

ボスが倒されれば村に行くゴブリンも減る。

村のことを一番に考えてるなんて、親切な人たちなんだなと思った。


 そしてミュセがなんらかの風魔法を使ってボスの位置を探し当てた。

ほわオンではなかった魔法だった。

探査に特化した魔法のようだ。

ミュセが風魔法を使えるのもエルフっぽいな、と思った。

あと、ジグルドは火魔法が使えるらしい、森にいるから使わなかったみたいだけど。


 ボスは取り巻きなんだろうか10匹近いホーンウルフを連れて、森の少し開けた場所にいた。

一匹だけ体のでかい立派なやつがいたのであれがそうなんだろうなとすぐわかった。

さすがに獣だけあって俺たちの接近には気づいて待ち構えていたようだ。


 しかしこちらも既にロイ、モモには<ディバイン・オーラ>で完全防御。

ミュセとジグルドには<ウェイク・スピード>をかけてあった。

今回一応前衛二人には行動速度があがる魔法だと説明してかけた。

<ウェイク・パワー>はやめといた。

さすがにボスからは何か素材取ると思ったので、攻撃で敵がぐちゃぐちゃになる可能性がある魔法はやめた。

モモが<プロテクション>などの防御支援をしていたので俺はあんまり余計なことはせずに、これくらいで一旦様子見たほうがいいかなあと思って大人しくしておいた。

 

 交戦状態になるとロイがまず<アイスヴァイン>という、広範囲に氷で出来た植物のツルのようなものを伸ばす魔法で取り巻きの何匹かの足を氷漬けにした。

動きが止まったホーンウルフを次々にミュセが短剣で仕留めていく。

ジグルドは一気にボスのところに飛び込んでその相手をしていた。


 生き残りの取り巻きが3匹くらいこっちにきたけど<ディバイン・オーラ>にぶつかって、勝手に転んでいた。

それをロイとミュセが1匹ずつ倒し、あとはなんとモモまでメイスみたいな鈍器でホーンウルフを叩き殺した。

こんな子じゃないと思っていたのに!

いやまあ、俺の勝手な想像だが。


 残りはボスだけ、となった時にはジグルドが既に相手の体力をかなり削っていたようで、ホーンウルフのボスは特に見せ場も無く、加勢したミュセとロイの力もあって、とどめを刺された。


 結局俺は<ヒール>一回もしなかった。


「なあジグルド、俺の報酬だけど…」


 ボスの解体作業をしているジグルドに声をかけたら、ビクっとされた。

あ、刃物使ってるから急に声かけるのは危なかったか。


「ああ!報酬な!わかってる、金貨3枚でどうだ」


 いや…多すぎる気がしたからいいのかなって聞こうと思ったのに…

なんで増えたの?


「いやそれじゃちょっと多」

「5枚!金貨で5枚出す!これで何とか頼む!」


 まあくれるっていうならいいか…俺は黙って頷いた。

何か喋ろうとするとまた増える気がしたので…


 ジグルドの邪魔になりそうだから俺はその場を離れた。

他の人はどうしてるかなと思ってみたらロイは何か魔法で周囲の警戒をしていた。

木々の間に氷の壁を作って、この広場に魔物が来られないようにしている。

<アイスウォール>だな、ゲームで同じことやると他プレイヤーからかなり怒られる。

通行の邪魔なんだよ!って。


 ミュセとモモは取り巻きの解体をしていた。

ボスはもう倒したから余裕があるし、ここの取り巻き分くらいの素材は確保するのか。

俺も手伝ったほうがいい気がするがそんな獣を捌く技術はないしな…


 いやしかし女の子二人が頑張っているんだ、何かできることがあるはず。


「ミュセ、俺にも何か手伝えることは…」


 俺が後ろから話しかけるとビクッとしてミュセは飛びのいた。

しまった!さっきジグルドで同じことをやったばかりじゃないか!

俺は一体何を学んでいたんだ!

…でもそんな離れなくてもよくない?


「あ、ああ、どうしたの?何か用かしら」

「いや俺に手伝えることないかなって…」

「いいのよ!大丈夫!貴方は休憩してていいから!」

「え?でもなんか悪いし…解体とかはできないけど…他に何か…」

「魔法使って疲れてるでしょう!ほら、来る前にもすごいの使ったじゃない!」


 凄いの使ったっけ…?


「そんなすごいの使った覚えないから別に疲れてはない」


 正直に言った。

ミュセは何か俺から目を逸らして無言で作業に戻った。

あれ…なんだろう…疎外感…


 ………


 結局、俺は皆の作業が終わるまで見守っていた。

あまりに悪い気がしたので帰るときは手に入れた素材などの荷物を

せめて荷物持ちくらいはするよ、と頼んで持たせてもらった。

11匹分の毛皮やら角やら牙やら、それなりに数があるとずっしりと重い。

が、特にそこまできついとは思わなかったので全部持った。


 ジグルドとロイとミュセは帰りもあまり喋らず、やはりプロなだけはあるなと思わされた。

注意を怠らないんだな。

モモは相変わらず俺に話しかけて「なんでそんなに持てるんですか!?すごいです!」と褒めてくれたりした。

 

 力が上がる魔法もあるよ!皆にもかけようか?と言ったら


「いい、いいから、もういい」


 モモ以外の3人にそう言われた。

おかしいな、パーティー組んで一緒に戦ったから少しは仲良くなれたと思ったのに。

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