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肩こりに効く魔法

なんか今日2話目のアップしました。

「お前さんがヴォルガーさんか、カイムから聞いとるよ。なんでも回復魔法で二人を助けてくれたらしいのう」


 村長の家は宿から案外近かった、歩いて10分くらいか。

着いてキッツが「村長さんいるかー?」って普通に玄関のドアを開けて家の中に向かって叫んだ。

日本でも田舎のおっさんとかがやりそうな行為だ。

そして、うるさいのうーおるわいと出てきたじいさんが村長だった。


「それで、わしに何の用じゃ?」

「いやあ用ってほどのこともないんですが聞いたところ、最近ゴブリンが村の畑を荒らしに来るとか。それで村に怪我人がでてるんなら治療してまわろうかと思いまして」

「幸い死人はおらんが、たしかに怪我人は何人かおるのう。畑仕事に影響もでとるからそれは願ってもないんじゃが…」


 そこまで言って村長は口をつぐんだ。


「村長さん、代金は一人銀貨1枚でいいらしいです。ええと、僕もその金額で治してもらったんで…」


 キッツの背中をトン、と叩いて打ち合わせをした台詞を言わせた。

家に入る前に決めておいた。本当は違うけど合図したらそう言えと。


「カイムからはキッツは重傷だったと聞いておるんじゃが」

「確かにそうでした、でもご安心を村長。瀕死の重傷だろうが、タンスの角にぶつけた小指の痛みであろうが共に銀貨1枚で治療しましょう」

「タンスって…じゃあわしの肩こりも銀貨1枚でみてくれるのか?」

「ええ、いいですよ、もし治らなければ代金は結構」


 肩こりと聞いてキッツは呆れていたが村長は「この年になると小さな痛みでも辛いんじゃ!」と必死だった。


「で、では頼むぞ、本当に銀貨1枚じゃな?嘘ではないな?」

「はいはい銀貨で1枚ですとも<キュア・オール>」


 面倒なのでもう魔法をかけた、ココアの時と同じく魔法陣が村長の頭上に出た。


「お、おお…!これは…!」

「うわっ、凄い、か、肩こりにこんな魔法を使っていいのか…」 


 いいんだキッツ、これたぶん万能だから。

逆に肩こりにピンポイントで効く回復魔法なんて知らねえから。


「うっひょー!見ろキッツ!こんなことしても全然痛くないんじゃ!」


 魔法陣からあふれた光が収まった後

村長ははしゃいでバンザイしていた。凄いテンションあがってるな。


「治ったようですね」

「うむうむ、これで銀貨1枚か、安いもんじゃ!」


 村長は喜んで銀貨を払ってくれた。これが銀貨か。

なにげにこの世界の硬貨を持つのはこれが初である。


「では他の村人も見て回りたいのですが、いいですか?」

「ああ、わかった、いやあ助かったわい。そうじゃ、むかいのばあさんも腰痛持ちでのう、良かったら…」

「まずはそこから行くとしますか」


 そうして俺とキッツは村長の家を出た。


「あの、ヴォルガーさん本当に大丈夫なんですか?」

「俺?ああ魔法の疲労か、全然平気、問題なし」


 特に疲れは感じなかった。なのでさっそく次の家へ行ってノックする。


「すいません、どなたかいますかー」


 そんな調子で俺はキッツを連れて村を歩き回った。


 ………


「ああ、腰がこんなに楽なのは何年ぶりですかのう」

「あと半月は働けないと思ってたが助かったよ!」

「よしてくれ!この病気はもう半年もなお…なおったぁ!!」

「見て!クラちゃんが、クラちゃんが立った!」


 やはり村人は怪我や病気でも我慢している人が多かった。

最初は俺の言うことを信じてないが値段を言ってまあまあ試しにひとつと魔法をかけて、実際治ると喜んで金を払う。

そして家族がいれば、じゃあついでに他の家族もそんなに大した怪我はないんだけど見てほしい…と言い出したところもある。

最後のほうは何か子供の飼ってるウサギまで頼まれたが。


「はぁ、もう僕のほうが疲れましたよ、そろそろ戻りませんか?」


 キッツが疲れた様子で次の家に向かう俺に言った。


「まだ、銀貨15枚だから15人…いや14人と1匹しか治してないぞ」

「だけどもう日が暮れますよ…」


 本当だ、いつの間にこんな時間に。

途中でおばあさんの話に付き合ったり、昼食をいただいたり若い奥さんの夫婦生活の悩みまで聞いてたのがいけなかった。


 うーん、本当はもっと実験したかったんだが。


 俺はどれだけ魔法を使っても平気なのか。

俺の魔法はどこまでの怪我や病気に通用するのか。

そういうのを密かに村人を使って調べていた。

回復魔法は怪我人がいないと力が計れないのが難点だったのだ。


「村と言っても畑がある分、案外広さはあるし仕方ないか…」


 治療がてらいろいろ話を聞いたけどナクト村の人口はおよそ500人程度だという。想像より多かった。

勿論、全員が怪我や病気なわけはないので、俺が治療できる数は限られているがそれでも半分くらいは小さな悩みを含めていけるんじゃないかと思う。


 問題は時間だな。まあこの点は明日考えよう。


「あーっ!こんなところにいた!」


 宿に帰るか、と思っていたらケリーがこっちに向かって来ていた。

飯の時間だから呼びに来てくれたのかな?なかなか親切だ。


「もう探したんだから!!」

「どうしたんだいケリー?そんなに慌てて」


 あれ、キッツを探してたっぽいぞ。


「ちょっと早く来てよ!ああ、ヴォルガーさんもお願い!」

「何なんだ?教えてくれないとわからないよ」

「ウチの近くの畑にゴブリンが来てるの!お願いキッツ!なんとかして!」


 とりあえず飯の時間ではないようだ。

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