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最後の魔王

ここから九章

「それ何でござるか」


 教室の隅っこ、グラウンドの見える窓際の一番後ろの席にいる僕に、大きな体の男が話しかけてきた。

縦にも横にも大きい彼は、去年まで僕と同じ中学生だったとはとても思えない体格をしていた。

顔も老けてる、初めてクラスでその姿を見た時は留年してる人かと勘違いした。

それも2年くらい、もし本当にそうなら危ない人に違いないので絶対関わりたくないと思っていた。

  

 その彼に話しかけられた、何をしているのかと。

何と答えるべきか迷った「ござるって何時代の人なんだよ」と聞きたかったけどそれは言わなかった。


 だから正直に「プラモデル作ってます」と答えた。


「それくらい見たらわかるでござるよ、それがしが聞いてるのは何のプラモデルかということでござる!」

「あ…えっと、メタルアームガールズっていう、機械の女の子みたいなやつです」


 それがし、と名乗る人をテレビ以外で初めて見た僕は、彼の視線から少し隠すように机の上へ広げたプラモデルの部品を両手でかき集めた。

…まあ、馬鹿にされると思ったから、部品の中には美少女フィギュアみたいなものも混ざってるし…


 メタルアームガールズは美少女の足とか腕とかに機械のパーツをつけて武装させたシリーズのプラモデルだ。

顔とか胴体はほとんど丸出しだから、現実主義の人からすれば全然体の重要箇所を守れてないじゃんと言われるような姿をしている。

プラモデルでも割とマニアックな部類だと思う、流行ってるって話も聞いたこと無い。


 僕は人形が好きだった。

フィギュアも、プラモデルも、ぬいぐるみも好きだ。

だからメタルアームガールズだけが特に好きというわけでもない。

たまたまオモチャ屋で見つけて、こんなのあるんだって思って試しに買って作ろうとしただけ。


 わざわざ学校に持ってきて作ってるのは家だと作れないから。

万が一両親にでも見つかれば、また何時間も説教されることになる。

こんなもので遊ぶ暇があるなら勉強しろとかね、それが父さん母さんの口癖。


「そんなのあったんでござるなぁ、艦〇れとかア〇レン系統とは別でござるか?某にもっと詳しく教えてくれでござる!」


 壊されたりしないように片付けてさっさと帰ろうと思っていたのに彼は僕のことを軽蔑したような様子はなく、それどころか興味を持って楽しそうに話しを続けた。

見た目は怖いけど、他のクラスメイトみたいに僕のことを遠ざけたり、馬鹿にするような人ではなかったんだ。


 話をしてわかったけど彼はいわゆる美少女キャラに興味があるタイプの人で、特にプラモデルが好きということでもなかった。

たまたま、メタルアームガールズが美少女フィギュアの要素を含んでいたから目に留まったみたいだった。


 僕とは若干趣味が違うと言えば違うんだけど、今までそんな風に共通の話題で誰かと盛り上がったりしたことなんてなかったから、彼の話す美少女の出て来るアニメやゲームの話も相槌を打ちながらちゃんと聞いた。


 でも、途中でどうしても聞きたいことがあったから、彼の話を遮って一つ質問をした。


「あの、ごめん…実は僕クラスメイトの名前、全然覚えてないんだ、だから君の名前…えと…」

「もう二学期なのに名前も覚えられてなかったとか驚愕の事態でござるよ、まあそれなら改めて自己紹介するでござる、某は…魔王ロリコニアという名でござるよ」


 クラスメイトとしてありえない名前を名乗る彼の姿で僕はこれが夢だと気づいた。

…ああ、そうだった、彼は小さい女の子が大好きだったから、そんな名前にされたんだ。


 夢の中の僕が魔王ロリコニアに対し、自分の名前を名乗る。


「僕は…魔王ドールオタ、よろしくね」


………………


………


 僕以外、誰もいない真っ暗な部屋で目を覚ます。

ここは通っていた学校の教室でも、日本にある僕の家の部屋でもない。

リンデン王都の城内にある、僕の部屋だ。


 妙に懐かしい夢を見ちゃったな。

それはどうしてだろう、と考える。

やっぱり…ゴキ君が死んで、彼も死んでしまったからかな。


 少し前にゴキ君こと魔王コックローチを僕の手で殺した。

彼が死んだことで恐らく…かつて一緒にこっちの世界へ来た人たちは僕を除いて全て死んでしまっただろう。


 いや、もう一人いたか…元クラスメイトで、こっちに来て女神になってしまった女の子。

名前は武村玲子たけむられいこ…今は闇の女神とか女神レイコと呼ばれてるはずだ。

僕が彼女の名前を思い出せるということは、彼女は名前が変わっていないということ。


 僕は彼女のことをレイコさんと呼んでいる。

別に気があるとか、そういうことじゃない。

この世界に生きる大半の人間は名前で呼ぶのが当たり前の習慣だし、さんづけなのは僕は基本的に誰にたいしてもそうだからだ。


 彼女は真面目で誰に対しても公平で正義感が強く、見た目も可愛くて皆から好かれていた。

それはこっちの世界に来てからも変わらなかった。

でも僕は彼女のことを嫌っている。

早く死んでほしいと思う程度に。


 だってこの世界の女神になるなんて、明らかにルール違反だ。

そのせいであの人が始めたゲームを無茶苦茶にしてしまっている。

レイコさん自身はきっと、正しいことをしていると思ってるんだろうけど。


 あの人は言った、最後の一人になった時、再び僕たちの前に姿を表すと。

僕はどうしてもあの人にもう一度会いたい、会ってちゃんとお礼が言いたい。

それから名前…あの人の名前を…取り戻したい…

それだけなんだ、それ以外のことはどうでもいい。


 あの時この世界に呼ばれた人たちが僕以外死んでくれなきゃ僕はあの人に会えない。

だからレイコさんには消えてもらわなきゃいけないのに、僕ではレイコさんに勝てない。

おまけに…レイコさんは何度死んでも復活する。


 対抗するためにゴキ君たちと協力して僕も復活方法を生み出したけど、ゴキ君を殺してしまった今となってはもう、それもできない。


 でもいいんだ、たぶんそろそろレイコさんは勝手に死ぬ…いや、消えるから。


 レイコさんの精神はもう限界にきてる。

女神として転生を繰り返し、何度記憶をリセットしても魂がもう耐えられないんだ。

彼女は僕たちと違って、800年以上ずっと意識をたもったままこの世界にいる。


 人の心は永遠には生きられない。

特にレイコさんは罪悪感などを強く意識するタイプだ。

ルグニカ大陸で復活を続ける僕たちに対処するため、犠牲者を出してきたことが相当こたえている。


 女神になってしまったせいで、地上の出来事に直接介入するのが難しくなってしまった彼女は、かつて自らがそうだったように魔王討伐のため勇者を生み出して対処に当てている。

僕たちが復活する最初の100年目、200年目あたりはレイコさん自身も出て来てたりもしたんだけど、犬君…魔王ケモニストが復活した300年目に、魔王討伐のため一つの国まるごとレイコさんが滅ぼしたのが原因で以降は僕らの前に出てこなくなった。

正確には出てこられなくなったかな、レイコさんより上位の神がそういう風に決めたんだ。


 そのことを考えたらあの時の犬君はファインプレーだったね。

彼は<セカンド・トラッシュ・ボディ>という魔法が使えた。

名前を聞いただけじゃ意味がわからなかったけど、効果を見てなんとなく魔法名の意味がわかった。


 犬君の魔法は他の生物の体に自分の魂を移し替える魔法だった。

簡単に言えば憑依するってことになる。


 でもそれは元の自分の体が魂がなくなり空っぽになって死ぬってことだった。

そして死んだ生物には憑依できないって決まりがあったから、彼は最初に魔法を使った後、二度と元の姿には戻れなかった。


 憑依された側の意識は犬君の意思で封じ込めたり、共有できたりする。

犬君が体から出て行けば元に戻る。


 自分の体に戻れなくなったことがきっかけで吹っ切れたのかどうか知らないけど、彼は頻繁にその魔法を使うようになって、レイコさんの逆鱗に触れた。

300年目に彼が復活したときも、獣人族の国でやりたい放題したせいでレイコさんが出てきた。


 犬君は死にたくないからそうしただけなんだろうけど、レイコさんから逃げるために次々に体を乗り換えた。

そしてどれが本物の犬君かわからなくなったレイコさんは…とうとう自分の魔法を最大威力で使った。


 レイコさんの魔法名は知らない、だけど効果は知っている。

それは魔法をかけた範囲にいる相手を「喋れなくする」こと。

この世界では魔法を使う時、基本的に魔法名を言わなくてはいけない。

それが出来なくなるということは魔法が使えなくなるということだ。


 だから僕たちではレイコさんに勝てない。

そしてこの喋れなくするというのが、どういう現象かレイコさんが本気になるまで僕たちはわかっていなかった。


 最大威力でレイコさんがその魔法を使うと何百キロという範囲で一切の発声を封じることができる。

しかも喋れなくなる原理が…呼吸ができなくなるってことだった。

声を出すとき人は呼吸してるんだ、それを何十分と封じられたら人は死ぬ。

その時の犬君もそれで死んだ、レイコさんと共にいた勇者も死んだ。

他にも大勢死んだ、国一つ分の住民が。


 たぶんその時すでにレイコさんはおかしくなりはじめてたんだろう。

この世界の人を守るために勇者になって、それから女神になったはずだけど、いつの間にか魔王たちを殺すことが最優先になってしまった。


 だからこそ、400年目に復活した僕はレイコさんから逃れるために死んだ振りをしてこのルフェン大陸まで来たんだ。

ゴキ君たちにも一切のことは秘密にして。


 考え事をやめ、体をベッドから起こす。

ランプに火を灯し、カーテンを開けて窓から外を見るとうっすらと明るい景色が見える。

しかし、時計を見てそれが朝日のもたらす明かりではないとわかった。

どうやら今は朝ではなくて、一日の終わりだったようだ。

朝と夕方の区別がつかないことが増えた、時間の間隔がおかしい、睡眠時間も安定しない、僕もレイコさんのように精神に限界が来ているのかもしれない。


 レイコさん、随分もったなぁ。

500年くらいでリタイアすると思って様子を見ていたのに、とうとう800年も経ってしまった。

おかげで僕までこんな有様だよ、そもそも僕はここに来てなんでこの部屋で寝てたのかもわからない。


 でも最後に残るのは僕だよレイコさん。

今年、ルグニカ大陸に残して来た僕の人形を全部起動させたのに、レイコさんは何もしなかった。

もう限界なんだよね?

対処に来た勇者はどれもレイコさん以外の神から加護を授かっていたから間違いない。


 レイコさんが動かないことを知って僕はゴキ君をこっちに呼んだ。

彼女が生前一番仲の良かった土の女神にゴキ君をけしかけてみたけど、やっぱりレイコさんは出てこなかった。


 でも、なんだろう…何かおかしい。

ゴキ君はもともと捨て駒で、レイコさんの次に厄介だからはじめに殺すつもりではいた。

結果だけ見れば予定通りうまくいってるんだ。


 だけどゴキ君は、こっちにいる女神たちが全部出てきて必死に倒すものだと考えていたのに、土の女神どころか妙な三人組にやられたとか言っていた。


 まあどうでもいいこと…いやいや、もう少し考えるんだ僕。

あと少しなんだ、頑張れ。


 なんて思いつつも僕はいつの間にか眠ってしまっていて、次にそのことを思い出したのは何日かたってからだった。


 頭痛が酷い、ゴキ君に<ソウル・イーター>を使ってからだと思う。

魔力の量が今の肉体ではささえきれないのかもしれない。

犬君とロリコン君の分もあったはずだから。


 違う、そんなことは…今は問題ではないんだ。

もっと大事なことを、順番に、ゆっくり考えるんだ。


 そもそも、おかしいと感じたのはゴキ君が来るよりもっと前だったはずだ。

確か…ああそう、光の女神がおかしなことをはじめた頃、なにか変だなと思った記憶がある。


 僕がマークしていた巫女とはまったく無関係の人物に突然神託をして…商人を呼んでなにか貢物をさせていた…ような…そんなことあったっけ…?


 曖昧になってきた記憶を確かめるためにアイシャ教の神殿へと赴く。

そこにいる大神官を呼びつけて、直接話を聞く。


「街にいた娼婦の一人に神託を与え、以降彼女を通じて様々な物を要求しておった」


 神殿の一室に呼び出した老人が僕の目の前でそう語る。

彼はアイシャ教の大神官、僕の魔法が効いているためなんでも答えてくれる。


「なんのためにそんなことを?」

「わからぬ」

「以前も女神からそんな要求があった?」

「無い」

「他の女神がそういう行動をとったことは?」

「風の女神エストが何か、形あるものを要求したことは過去に何度かあったな」

「エストはサイプラスに神殿があるだろ、このことと関係あるのか?」

「わからぬ」


 くそっ!!もっと役に立つことを言えよ!!


 内心で腹を立てながらも、これが僕の魔法の限界だと諦めざるを得ない。

僕の魔法で操っている人物は単純な受け答えにしか対応できない。

集中すれば犬君のように一人を完全に操れるけど、それをしたところで、その人物の記憶まではわからないので結局無意味だ。


 それから辛抱強く、何日かかけて大神官から情報を聞いた。

日数がかかったのは僕の集中力がもたないからだ。

長時間話すとイライラしてうっかり大神官を殺してしまいそうになる、それはまずい。


 以前の光の女神は見返りとして特別な道具等をこちらに渡していた。

確かにそうだった、それ目当てに貴族連中がこぞって神殿に通っていたのを思い出した。


 でも今の光の女神からは変な要求はないらしい。

ほとんど干渉もしてこない。


 それと以前に神託を受けていた娼婦はもういない。

光の女神はその人物を知らないと言った、だからその娼婦は神殿を追い出された。

娼婦の名前を聞き忘れたな、いやどうでもいいか、娼婦の名前なんて。

僕にとって大事なのはあの人の名前だけだ。


 光の女神も精神に異常をきたし、おかしくなってリセットされたのかもしれない。

あれはこっち来てから確か…一度も転生してないはずだから時期的に考えてその可能性はある。

レイコさん以外の女神も人間とあんまり変わらない、結局はおかしくなる。


 ルグニカ大陸にいた時の火の女神だって、ゴキ君の魔法によるショックでおかしくなったもんな。

その時一瞬だけ僕の魔法で女神を操作できた、それで女神は精神の異常を治すため転生してることを知れた。

次に出てきた火の女神はもう、おかしくなった時の自分を完全に忘れていた。


 ああ…まただめだ、全然別のことを考えそうになってしまう。


 もう光の女神のことはいいや…記憶をなぞって次の気がかりな点を考えることにしよう。

次は…ええと…ああ、実験のことかな。

<ソウル・イーター>に何か変な現象が起き始めたことだ。


 いつ頃からかわからないけど、<ソウル・イーター>を使うと魔力が逆流することがあった。

普通は相手から魔力を奪うはずなのに、こっちの魔力が向こうに流れていく。

しかもどういう訳か、その現象が起きると<ソウル・イーター>を使った生物の形が変わる。

人間が魔物に変わったり、魔物が別の魔物になったりする。

魔物の場合は進化といってもいいかもしれない。


 いくつかの生物で実験して、その現象を制御できるようになった。

でもリンデン王国内で実験したのは失敗だった、バジリスクが巨大化して僕の操作を受け付けなくなり暴走して逃げ出したのでやむおえず放置するしかなくなってしまった。

どこかの冒険者が鉱山に住み着いてたそれを倒したらしいので特に問題にはならなかったけど。


 バジリスクのことがあったので、次は場所を変えオーキッドにいってダンジョンの魔物に魔力を注いでみたこともある。

オーキッドなら別にどうなろうと構わない、あそこは火の女神がどうせなんとかする。

あいつは神のルールをいざとなれば破ってでも人に介入してくるタイプだ。

そう考えてバジリスクの時以上に魔力を注いだら変な魔物になってしまった。

この世界で見たことのない魔物だ、地球の基準だとキメラとかキマイラとかそんな感じで呼ばれるようなやつ。


 あれも結局討伐されたみたいだ。

それも火の女神じゃない、地上に住む人の手によって。

こっちの大陸にも案外強い者が育っているんだなと思った。


 ゴキ君は油断していて、そういうやつらに倒されたのかもしれない。

復活したてで、ちゃんと<ソウル・イーター>で魔力を集めずにさっさと行っちゃうから、自分も雑魚だってわからずに雑魚にやられてしまったんだね、きっとそうだ。


 そういえばゴキ君復活に使ったアバランシュの、サウザンド…いや、違った、あれはもう潰れて、次の…また名前忘れた、とにかく次の貴族が勝手に継続して支援してた魔王教のことだけど。


 あいつら、女神の目を引いてくれるから完全に放置してたけど、なんで急にやる気になったんだろう。

僕のことは知らないはずなのに、魔王復活したとか騒いで活動を活発にしたみたいなんだよね。

ひょっとしてどうやってかルグニカ大陸の情報を得てるのかと思ってたけどそれも違うようだ。


 以前の魔王教を支援していたサウザンド家は、魔王復活とかよりも、人体移植に興味を持ってホムンクルス製造してたからなぁ。

この世界じゃ人体移植なんて技術、僕たちが来た時点でまったくなかったんだけど、ホムンクルスでその方法を実現しちゃってからは奇跡だなんだと騒がれてた。

実際今のアイシャ教もそれで金稼ぎをしてる。


 魔王教が流行ったのも、それが原因て部分がなくもない。

光の女神を信仰する宗教と魔王を信仰する宗教が同じことをやってるのは皮肉なものだね。


 あれ、僕はなんでそんなことを考えはじめたんだっけ?

また思考が途切れる、何のためにそれを考えていたのかわからなくなる。


 これってもうあれかなあ…更年期障害とか、痴呆と同じかもしれないなぁ…


 僕がなにより恐れているのは、僕をこの世界に呼んでくれたあの人のこと忘れてしまうこと。

それだけは絶対にだめだ。


 僕はこのままレイコさんが転生も無理だと判断されて、消滅するのを待つ。

そうだ、ゴキ君も消えたから、後はもう僕だけなんだ。

ここで諦めてはいけない。


 そうしてなんとか一番大事なことだけを忘れないように時が過ぎるのを待っていると、ある日サイプラスに潜入させていた僕の駒から連絡があった。


 そいつはシルバーガーデンにいるクライム一族とかいうエルフ族の一人。

詳しい名前は忘れた。


 しかし僕のぼんやりしていた頭をはっきりさせるようなことを言っていた。


 シルバーガーデンに勇者を名乗る男のエルフ族がいたと。

そいつは妹がいて、妹も勇者なのだと。


 まさか、ゴキ君をやったやつら…?


 そのまま放置しておくかどうか僕は悩んだ、勇者は寿命が短いので放置していれば出会う前に死ぬ。

だけど、今の僕にもあまり時間がない。


 兄と妹、二人という数が気になる。

もし万が一、僕のことが既にバレていて、女神たちがゴキ君と僕と、二人の魔王へ対処するために、勇者を二人用意したというのなら…僕はこのままレイコさんが消えるまで隠れていられるだろうか。


 どうすべきか、僕は再び思考のループに陥った。

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