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強くなる

不憫な人がでます

 ドリアードを先頭に森の中を駆け足で行く俺たち。

地面の上を滑るように移動するドリアードの足元は地面と繋がっていて、地中に足首から下が埋まってるような感じなのだがなぜかその状態のまま前進している。

地面がぼっこぼこになったりもしていないので不思議だ。


「マーくん何か聞いてる?」


 隣を行くマーくんに、今この状況についてどれくらい把握しているか確認する。


「何とはなんだ、お前が呼んでるというのは村人から聞いた、襲撃のこともな」

「あー…それ以外で、アイラからとか」

「土の女神に会うために話合いをしていたとは聞いてるぞ」

「そっか、いやあの別に隠してたわけじゃないよ?ただ会う方法について目処が立たなかったんでまだ特に言わなくてもいいかみたいなそういう」

「ああ、いい、別にどうとも思っていないから心配するな、それより今は襲撃者のことを考えろ」

「そうだな」


 謎の襲撃者について考える、守り人たちの話から察するにオフィーリアに恨みをもってそうなことくらいしかわからない。

恨みを買うような何かをしたのかなぁ、勝手にどっかから拉致して監禁するくらいのことをすれば恨みは買いそうなものだけど、向こうから来たってことは違うよなぁ。

あ、俺はもう恨みとかは特にないです。


「タマコ、敵らしき人を見つけてもいきなり飛び出すなよ、相当強いらしいから」

「………」


 反対側を走るタマコに声をかけたが聞いてないのか無反応。

ドリアードの尻を凝視している、気になるのはわかるがやめなさい。


 正確には尻じゃなくて尻の後ろでゆらゆら揺れる葉っぱにつられているのだろう。

ドリアードは両足の足元から体に巻きつくように植物の蔓が伸びている。

腰回りにぐるぐると何週か蔓が巻き付いてて、超ミニのタイトスカートのようになっているんだが、そこから所々生えてる細長い大きな笹みたいな葉が、移動と共に揺られているのだ。

上半身で胸の部分はその葉がブラジャーみたいに張り付いてて巻き付いた蔓がそれを抑えている。

正直ギリギリだと思う、言いかえるとセルフ緊縛プレイしてる人が縄の間に葉っぱを挟んで要所を隠してるだけだ、ありがとう。


 ギリギリアウトな気がしなくもないがタマコが葉っぱをむしろうとするので、ほっておくと完全にアウトな状態になる。

なのでタマコの頭を掴んでこっちにむかせ、やめさせた。


「んなああ?」

「何その声っ、じゃなくてドリアードの葉っぱをあんまり見るな、それから、敵がいても勝手に飛び出さないこと、いい?」

「わ、わかった、がんばる」


 少々不安だがいざとなったら尻尾でも引っ張って止めよう。


 しかしこれどこ向かって進んでるか全然わからねえな。

たぶんあのでかい木を目指してるんだろうけど…上を見ても木々に覆われており空が見えなくて確認できない。

案内ないと確かに迷うな。

いやでも木の上にのぼって神樹のある方を確認しながら行けば行けるのか?

今そんなことする必要はないからしないけど。


 どれくらい進んだかわからないが、ふいにドリアードが移動をやめた。

辺りの景色は代わり映えしない、ここがどうかしたのだろうか。


 ドリアードが両手を特に何もない空間にかざす。

すると景色がぐにゃっとゆがんだように見え、前方に突然茶色い巨大な壁が現れた。

いや壁ではない、これは木だ、あまりに大きいので壁だと思った。

その木の太い幹の一部にぽっかり穴が開いている、木の中に入るみたいだ。

木の中ってスペースそんなにあんのかな…この木が神殿ということなのだろうか。


 それにしてもドリアードが何かするまでこの大木のことが全然わからなかった。

結界は視覚的にもなんかごまかしてるみたいだな。

気づかずそのまま進んだらどうなっていたのか気になる。


「そこが入り口だったか」


 ふいに男の声が聞こえた、マーくんではない、どこからだ?


「なんかいる」


 タマコが耳をピクピクさせて辺りをキョロキョロと見まわす、そして俺たちの後方にあった一つの木の上を指さした。

と、思ったらすかさずマーくんが<ダークボール>をそこへぶち込む。


 枝が何本か砕けバラバラと、葉と共に落ちて来る中、それより一瞬早く何かが木の上から飛び降りて来て俺たちの前に姿を現した。


「適当に生かしておけば、必ず誰かが女神の元へ行くと思っていたぞ」


 全身を古びた茶色いローブで覆い、顔もフードを目深に被っているいかにも怪しいやつ。

こいつが襲撃者と見て間違いないな、怪しすぎるもの。

それと言動からして…どうやらこいつはほっとけば結界とやらで迷ってたのに、生き残りの慌てた誰かがこうして女神の元へ来るのをどこかで見張ってたのか。

フフフ…その策にまんまとはまってこいつをここへ案内してしまった俺たちはどうやらとんだ間抜けだったもよう、ごめんなさい。


 ドリアードも自分のしてしまったことに気が付いたのかものすごい悲壮な表情をしている。

元気出して、大丈夫、後で一緒にオフィーリアにあやまったげるから。


 入り口らしきところに立ちふさがるようにしてさりげなくドリアードの肩に手を置いて…違う、間違えた逆だ、ドリアードを励ますふりをしつつさりげなく入り口らしき場所に立ちふさがる俺。

 

「どけ」


 明確かつタマコにもわかりやすいシンプルな言葉を投げかけて来る男。

ここでどいたら何しに来たのかわかんないのでどくわけにはいかないんだけど一触即発な雰囲気だ。

マーくんもタマコもまだ様子を見ている、タマコ偉いぞちゃんと言うこと聞いたな。


 いきなり戦闘に突入してぶちのめしてやってもいいんだが(但し俺以外の誰かの手で)言葉を発しているので会話を試みたいところでもある。

気が短そうなのでこっちもシンプルでなおかつ相手の気をひきそうな言葉を言いたいとこだな。


「お前も女神に恨みがある者なのか」


 俺はない、ないし女神に恨みをもってる知り合いもいないのでなんのこっちゃという台詞ではあるが何かこういうぼっちかつ精神状態が不安定なやつは自分と同調してくれる者に興味があるかもしれないと判断してそう言った。


「…貴様…もしやオレと同じ存在か」

「それは、どうかな、まあ人には言えない秘密はあると言えばあるけどね」


 よしなんか食いついてきた!

ドリアードもマーくんもタマコも、何言ってんの?って感じで俺のことを見ている。

俺も何言ってるかわからない、つかマーくんは普段こういう意味不明な会話するくせに肝心なときは真面目になるんだから…


「だが、誰だ…?ロリコニアか?ケモニストか?」


 おい誰がロリコンでケモナーだよ、不名誉なことをスタイリッシュな感じで言われた気がする。

いや、待て、そんな単語がわかるのは日本出身の俺だけだ、こいつの言ってるのは単に人名?


「お前の名を言えば俺も名乗ろう」


 とりあえず名乗るか分からんがそう問いかけてみた、俺のことを知りたげなのでもしかしたら名乗ってくれるかもしんない。


「…オレは、魔王、魔王コックローチ」


 コックローチって…ゴキブリのことじゃねえか…ぶふっ、だめだ、まだ笑うな、こらえろっ…


「貴様、笑ったな?笑ったと言うことは名の意味を理解しているな?」


 全然こらえられていなかった、いや無理やろ、真面目な顔で魔王ゴキブリって名乗られたら。 


「名乗れ!貴様はどの魔王だ!」


 んっ、あれ、なんで今ので俺も魔王判定されたの?名前の意味に気づいたから?

しかしどうしよう、魔王かー…まったく心当たりがない、適当に名乗ってみるか。


「俺はえー…魔王…」

「え、まおうじゃなくて、ヴォルガーだよ?」


 と、ここでタマコ選手華麗なインターセプト、本名をあっさりばらしてくれた。

くっそ、くっそ、魔王バ〇モスとか名乗ってリアクション見ようと思ったのに。


「ヴォルガー…くく…ヴォルガーか、魔王ヴォルガーか!ははははは!」


 めちゃ笑われた、傷つくわぁ。

人の名前を笑うとかなんて失礼なやつだ。


「下品の魔王とはな!初めて聞く…オレの死後に名を変えられた口か」


 こいつ…ヴォルガーの意味を知ってやがる…英語がわかるんだ。

まさか俺と同じ地球から来た…?

でも名を変えられたってなんだ?


「さっきから何の話をしている?」


 マーくんが小声でぼそっと言ってきた、なんなんだろうね。


「いや俺もよくわからんけど相手の目的が知りたいので適当に話を合わせてる」

「そういうことか」


 とりあえずマーくんは理解してくれた、タマコには余計なことは言わないでおこう。


「ヴォルガー、お前ならわかるだろう今のオレの気持ちが」


 魔王ゴキブリさんが話を続ける、いやごめん全然わかんない。


「勝手にこんな世界に連れてこられ、殺し合いをさせられ、挙句の果てにふざけた名前を生涯名乗らされる…こんなこと許されるわけがない!」

「なっ、じゃあやっぱり日本人なのか!?」


 あっ、しまった、つい思ったことそのまま言っちゃった。

魔王ゴキブリさんが今の一言で表情を変えたのがわかる。

失言だったくさい。


「…お前、やっぱりってどういうことだ…さては魔王じゃないな…オレを騙したな…それらしい名前を名乗りやがって…女神についた側のやつか、名前はあの女の入れ知恵か!もう許さねえ!!」


 やべえバレた、口調も代わって完全におキレになられた様子。

かなり気になる発言をしてたのでもうちょい話をしたかったが無理そう。

マーくんとタマコも瞬時に戦闘態勢に入る。

あ、ドリアードちゃんは危ないから俺の後ろにいてね。


「死ねええええ!」


 魔王コックローチ、面倒だからゴキさんでいいか、ゴキさんは両手に炎をまとうと殴りかかってきた。

腕燃えてるぞ、熱くないのか、ていうかこいつ、死ねとしか言ってないよな?

魔法じゃないのか?


「<ライト・ウォール>」


 よくわからんが危ないので防いだ。

魔法じゃなかったら<ディスペル・オーラ>で防げない可能性がある。

なのでなんでも対応できる<ライト・ウォール>で一旦対処。


「なにい、オレの必殺魔法<バーニング・ファイヤー・ナックル>を防ぐだとぉ!?」


 …何かちょっとネーミングセンスにこれまでと違う物を感じるな。

バーニングとナックルだけでいいじゃん、ファイヤーいらんかったやろ。

ただ魔法って言ってるからやっぱり魔法なのか。


 ま、それはそれとしてマーくんに<ウェイク・マジック>、タマコには<ウェイク・スピード>をかける俺。


「こらーー!木にあたったら燃えるだろ!!ばかっ!」


 ああ全くその通りだタマコよもっと言ってやれ。

木々の間を跳ね回るタマコは、隙あらばゴキさんに飛び蹴りを放つが、かわされている。

やはり一人で守り人を蹴散らして来ただけあってそこそこ強いようだ。


 蹴りを外し、地面に着地するタマコ。

隙だらけではあるが、そこをマーくんの魔法が上手くフォローしている。

連発される<ダークボール>に対処しているゴキさんであったが、さすがに無視してタマコに攻撃はできないようだ、燃える腕で魔法をガードしている。


 そうこうしてる間に俺はどんどん強化魔法を二人に重ねていく。

タマコの蹴りは<ウェイク・パワー>によって威力があがり、防御面も<プロテクション>や<レジスト・マジック>で燃える腕に触れたときのために備える。


「マーくん、封印解いていいよ」


 そう言って俺はマーくんにさらなる強化<ダブル・スペル>と<バースト・マジック>をかけた。

マーくんはニヤリと笑うと詠唱をはじめ、黒狼を二匹呼び出す。

召喚魔法の<シャドウ・サーバント>だ。

<ダブル・スペル>によって数が二匹になり、<バースト・マジック>で性能が強化されているのでたぶん結構強い。


「ちい、なんだこのクソどもはっ!いつの間にか狼みてえなのが増えてる上にどんどん強くなりやがる!」


 タマコに加え黒狼による襲撃も増え、ゴキさんに焦りが見えてきた。

こいつ魔王とか言ってたけどそんなたいしたことないな。


 まあ一人の時点でこうなることはある程度予想できた。

だから俺はマーくんとタマコだけを連れて、無策でここまで来たのだ。

俺が自由に動けて支援に専念できるならば、なんとかなると思ったのだ。


「うぜええええんだよおおお!」


 燃える腕から火の玉を投げるゴキさん。

それは自信がある魔法なのか、威力はすさまじい。

火の玉があたった地面が高熱でぐつぐついって溶けてるほどだ。

皆に防御魔法かけてるけど食らったらやばいかもしれない。


 だが当たらなければどうということはないのだぁ!

タマコの動きは速すぎてゴキさんは補足できていない。

また二匹の黒狼にも俺は強化魔法をかけているので火の玉くらい避ける。

マーくんは遠距離攻撃に今回は専念していてターゲットにされていない。

ドリアードちゃんは当たると死ぬので戦闘開始直後に女神のところへ行けと伝え、逃がしておいた。


 不安と言えば、森に引火することだが…


「てめえなんで魔法を消してんだよぉ!?」


 そういう炎は俺が壁になって全て防いでいる。

<ディスペル・オーラ>で魔法そのものに体当たりして打ち消してもいいし<ライト・ウォール>で壁を作ってもいい。

嫌がらせにゴキさんの目の前に<ストーンピラー>を出してみたがそれは普通に殴って破壊された。

土1程度の魔法ではさすがにダメか。


「ありえねえ…この世界のやつがここまで強いなんてありえねえ…」


 なんかぶつぶつ言ってるけどあり得るよ、普通に。

魔王だか何だか知らんけどマーくんなんかどんどん強くなってるからね。

<ダークボール>乱れうちとか前はできてなかったのに、今は一回<ダークボール>って言うだけで5個くらい一気に球でてるからね。

キマイラと戦ってたときはそんなことできなかった。

あの戦いを経て、レベルアップしたに違いない。


「ごっっっっ!?」


 ゴキさんの後頭部に思い切りタマコの蹴りが入った。

魔法によって強化された蹴りは常人であれば容赦なく首をへし折るか、もしかしたら頭が胴体から離れる威力だ。


 それを地面に顔面から倒れるだけで済んだのはゴキさんの身体能力の高さが原因か。

しかし顔面で地面の上をすべる様子は無茶苦茶痛そう。

おまけにそこをマーくんが容赦なく蹴り上げた。


「ぼえっ」


 腹を蹴られ、変な声だしながら木に激突し、そのまま木をへし折って飛んでくゴキさん。

…やべえなマーくん、戦い方が漫画とかアニメの戦闘民族とあまり変わらなくなってきた。


「死んだかな?」


 ゴキさんが飛んでった方向を見つつ、タマコが一度俺とマーくんの所へ戻ってくる。

こいつ本能で強化魔法の切れる瞬間を理解してるっぽい。

俺は魔法をかけなおしたが飛び出すのは少し待てと言っておいた。


「まだ生きている、見ろ」

「ぜ…っ…い…ゆる…ねえ…」


 口から血を吐きながらこちらへ歩いてくるゴキさん。

身に着けていたローブはやぶれ、フードもなくなっていた。

ハッキリ見えたその顔は、黒髪、黒目でどうみても日本人の顔だちをしていた。

血と苦痛で歪んだその顔からは年齢がよくわからない、でも俺よりは若そうにも見える。


「くそがぁ…こうなったら女神は今度だ…でもお前らはぶっ殺す‥」


 タマコが身をかがめ、跳躍しようとした。

俺はそれを咄嗟に尻尾を掴んで止め、後ろに放り投げた。

ゴキさんが何か今までとは違うことをすると直感的に思ったから。


「<ソウル・イーター>!」


 はっきりとなんか中二くさい事を叫んだのが聞こえた。

魔法が来る、と確信した瞬間にゴキさんの燃えていた腕が片方…伸びた。

黒い、大きな闇となって。


 本能が危険を告げていた、マーくんを狙ったその魔法はタマコの動きよりも速かった。

俺はマーくんを突き飛ばし<ディスペル・オーラ>でそれを受け止め…られねえええ!?

バリンバリンバリンと一瞬で三回分の魔法を打ち消す効果が消費された。

それでも黒い腕は止まらない。


「おおおおおおなにこれやばい!?」


 俺を握りつぶそうと巨大な手が眼前に広がる。

その指を二本掴んで俺はその場に踏ん張る。

それでも勢いを止められず、さっきのゴキさんみたいに今度は俺の背が木と衝突した。


「ぐへえ」


 木をなぎ倒して押し出される俺、背中痛い。

こうなったらもう力勝負だ!!


 自らに<ウェイク・パワー>をかけてさらに踏ん張る。

もう一本背中で木をなぎ倒した頃、ようやく勢いが止まって黒い腕は消失した。


「「ヴォルガー!!」」


 マーくんとタマコがすぐ駆け寄ってきた。


「平気だ、でもあれを連発されたらやばいな」


 今の魔法…<ソウル・イーター>とか言ってたっけ?

そこはかとなく<イロウション>に似てたな…威力がはんぱないけど。


 俺たちは体勢を立て直しゴキさんのところへ散開しつつ戻る。


 あれをもう一度ぶっぱなしてくるかと警戒していたが、ゴキさんは呆然とした表情でその場につっ立っていた。


「おま…おまえ…なんだよ、おかしいだろ、このチートや」


 最後まで言葉を続けることなく、ゴキさんの首は体から離れて、落ちた。

マーくんが闇の剣で斬り落としたのだ。

今の隙を見逃すマーくんではなかった。


 ゴキさんの体もドサリ、と地面に倒れる。

…さすがにこの状態になると死んだみたいだ、ピクリともしない。


 特に可哀想という気はしないが、かなり気になるやつではあった。

でも仕方ない、俺たちの命が優先だ。

まだ切り札持ってたら危なかったしな…


「マグナすげー」

「フッ、タマコもなかなかよくやっていたぞ」


 人ぶっ殺した直後に笑顔で健闘をたたえ合う二人、メンタルすげーな。

でもまあ俺もそこに加わろうと思う、二人に礼を言わなきゃ。


「二人ともありがとう、助かったよ、ていうかマーくんすごい強くなってない?あった頃みたいに手合わせしたらもう防げる気しないわ」


 俺がそう言うとマーくんは不思議そうな顔で俺を見た。


「何を言ってる、我の遥か上にいるくせに」

「はぁ?マーくんのが成長してるだろ確実に」

「…もしかして自分で気づいていないのか?」


 なんのことやらさっぱりだった。


「我やタマコがそこまで強くなっているのではない、ヴォルガーの魔法が強くなっているのだ」


 …そうなん?


 俺の能力はほわオン依存だと思っていた。

ほわオンでレベルカンストしてたから、これ以上強くはならないんだろな、みたいなことを考えて。


 でもなんか違うらしい。

朗報、俺、知らない間にレベルアップしてた。

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