これからのこと1
長くなりそうなので一旦切りました。
「予想以上にたけえええええええ!」
只今俺は空から真っ逆さまに落ちつつ叫んでいるところ。
クソ犬フォルセに啖呵切ったけどまるで勝てる気はしなかったのでアイシャを抱えて咄嗟に島から飛び降りた。
アイツに殺されるくらいならこっちのがマシだ!とか思ってたけど、やっぱ嘘、無理だわ、死にたくねえ、あばばばばあ。
空の上とは聞いてたけど何だよこの高さ!!
一瞬、昔テレビで見た、ヘリから楽しそうに飛び降りて、スカイダイビングする人たちの映像が脳裏によぎった。
あいつらとは一生理解しあえないなと思った。
体にものすごい風圧を受けて思わずアイシャを抱える腕に力がこもる。
アイシャは気絶していた。
おそらく飛び降りる前から。
抱きしめる力を緩めたらどこか飛んでいってしまいそうだ。
アイシャを抱えているという感覚が俺を現実に戻した。
ああ、ちくしょう、地上はまだ遠いけど時間にしたら到着はすぐだろう。
その時が来たら万が一にも俺たち二人が助かる見込みはない。
しかし俺はさっきほわオンの魔法が使えた。
光の壁を出してフォルセの稲妻を防いだんだ。
もしかしたら違う魔法も使えるかもしれない、それだけが今の希望。
ヴォルガーとして習得した数々の魔法を思い出す。
が、ほわオンで空を飛ぶ魔法はなかったことにすぐ気づく。
ゲーム中こんな空から落ちる状況になることはない。空中戦闘もない。
あれ、早くも詰んだ?
「のおおおお!フライ!レビテーション!」
適当にそれっぽいことを叫んでみた。
落ちる速度に変化が…まるでないとしか言えない。
「うああああなんとかウィングとかあああ!」
なんとかってついてる時点で無理な気もしたが一応言ってみた。
無理だった。人生最後の言葉がこれは嫌だあ!
「<プロテクション><ディバイン・オーラ><イモータル・アーマー>!!」
もう飛ぶのは諦めて自分が覚えてる限りの防御魔法をかけまくった。
それらがきちんと発動したのを感じた、俺とアイシャを光の膜が包む。
「…<ハード・ボディ>えーとあとなんかあるか、あ<レジスト・マジック>!」
思いつく限り10個以上はかけた。
最後のほうは状態異常防御や魔法防御を強化するやつで意味ないかもしれなかったがとりあえず唱えた。
俺とアイシャの周囲を固める防御魔法がさながらカラフルなガラス玉の中に俺たちを閉じ込めているようにも見える。
地上に激突したとき果たしてこれがどれくらい役に立つのか。
腕の中のアイシャを見る。
「アイシャ、ごめんな、助けるつもりだったけど無理かも。思えば今までアイシャにはいろいろと…」
気絶したアイシャに伝わらなくとも何か最後に言っておこうと思った。
ただ、それどころではないほど地上が既に近かった。
「いろいろとあああダメだ覚悟できねええ!」
俺は目を閉じてその瞬間を待った。
………………
………
…?
俺死んだ?
「無茶するのう」
ジジイっぽい声が聞こえたので目を開けてみた。
「だ、誰だ…?」
「ワシは創造神、この世界の神じゃ、会社で例えたら社長じゃ」
俺の目の前にいた白髪で長い白髭をたくわえたじいさんはそう言った。
神様…浴衣っぽいものを着てラフな服装をした神様ってなんだ。
あとなんで会社で例えた?
「俺は死んだのか…?」
「地上にぶつかる前にワシがここに転移させたので死んではおらん」
ここどこ?転移系は毎回、事前に説明ないからホント勘弁してほしい。
今回は命が助かったからありがたいけど…
あたりを見ても何もない、ただ白い部屋の中といった感じがする。
一日いたら気が狂いそうなやつだ。
「あ、俺の持ってたアイシャがない!」
「持ち物みたいな言い草じゃな、お主マジうける」
アイシャがいないことに気づいて、どこかに落っことしてきた!?
と思ってつい変な言い方したけど、それよりマジうけるとか言う言葉遣いのじじいにつっこまれた事に複雑な気分になる。
「アイシャは生きておる、今ここにはおらんがの」
「そ、そうか…無事ならとりあえずはいい…」
よかった、しかし今まではほぼ常にアイシャがそばにいたから急にいなくなるとそれはそれで落ち着かないな。
「そろそろワシの話してよいかの?」
「あ、はい…」
俺はこの創造神とやらから大人しく話を聞くことにした。
つっこみたいことはひとまずおいといて。
「まずお主をここに呼んだのはワシが話をしてみたくてのう。何せアイシャはお主のためにいろいろやらかしたようじゃからな」
それはまあ…そうなんだが…
「ちなみにワシが社長ならアイシャは専務くらいかのう。あ、社長より会長のほうが偉いんじゃったか?ワシ会長のほうがいいかの?」
「いや良く知らないならいちいち会社で例えなくていいよ!」
「お主にわかりやすいように例えてやったというのに」
「そもそもなんで日本の会社の役職を知ってんだよ!!」
あまりにどうでもよすぎて黙っていられなかった。
偉い神様相手にこれはまずいかもしれない。
「まあそれは置いといてじゃ」
俺の疑問は軽く流された。
俺の態度も特に気にしてないようだ。創造神軽いな…。
「アイシャの処分とお主のこれからについて話をしようかの」




