9. ネタばらし
昨日のが中途半端な終わり方してるのでその続きです。
「ね、ねえ、ああの話って、うう嘘でしょ?嘘よね?!」
本当にシフォンはそういう系の話がダメらしい。
全身に冷や汗を掻き、手や口は震えてまともに喋れていない。
だがその様子を見て、尚もニヤニヤとするルクス。
無情にも車は夜の森を走っていき、湖が近づいて行くのだった。
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「お、おい、あれ……」
「え?へ?何?」
唐突にルクスは左に見える湖を指して言う。
「あの白い影、なんだ?」
ルクスの言うように湖の上に一つ、白い影がある。それは心做しか此方を見ているようで、
「なななななんでもいいじゃない!さっさと進んで!早く!」
声が裏返りながらもシフォンは叫ぶ。
その様子が本当に面白いのか、ルクスはこんな演技もしてみる。
「あ、やべ。」
「何よ!」
「エンジン止まった……」
そしてタイミングを見計らったように湖の上の白い影が二つに増え、終にシフォンの顔が絶望に染まる。
「ちょっと見てくるわ」とルクスは車から降りるとシフォンは「ちょっと待ちなさいよ!」と止めようとするが無視する。
影はアルムであるシフォンの方へと近づいて行く。
シフォンは後退り、躓く。
「…………」
シフォンはもう失神寸前。
そこにルクスから助け船が出る。
「退散呪文だ! 唱えろ!」
と何やら折り畳まれた紙をシフォンへ投げる。
シフォンは震える手で紙を開き読む。
その紙にはたった一言こう書かれていた。
『ドッキリ大成功!!』
さっきまで恐怖で震えていた手は、今度は怒りで震え出す。
シフォンの顔は怒りと羞恥でみるみる赤く染まる。
そして大きく息を吸って、
「ドッキリ大成功!!じゃないわよ、馬鹿ー!!!」
その声は森中に響いた。
その後数時間、シフォンは口を聞かなかったという。