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70話 ボッチ ママには勝てなかったよ

どうも皆さん、一年ぶりくらいですね。


え、おまえ誰だっけ?という読者さんのために改めて自己紹介致します。


清楚担当の猫又 寝子と申します。


私の作品を読んだ人なら分かると思いますが、作者は変態的な文章なんて一切書けない純情な心を持った人物です。純文学とか得意です。


清廉潔白が服を着て歩いてるような人物が作者だということを思い出して頂けたでしょうか?


いやー我ながら完璧な自己紹介でしたね。

これが人狼ゲームだったら完璧に村目をとって白置き間違いなしですよ。

(・ω≦) テヘペロ


内容は忘れた人は作品を読み返すのじゃ!

え?面倒臭いだって?

じゃ代わりにあオプーナを買う権利をあげますね!(ゲス顔)


 こはるちゃんと一緒に修行することになって、一週間が経過した。

 彼女も俺も夏休みであることを存分に活用し、毎日、朝から夕方まで修行に勤しんだ。


 夏休みの宿題はちゃんとやっているのかって?


 俺は初日に速攻で終わらせ、後顧の憂いなく遊ぶタイプだから問題ない。

 逆に彼女は毎日こつこつと計画的に消化していくタイプだから大丈夫だそうだ。


 それで修行結果はどうなったのかというと、俺の予想を上回る良い結果を出している。 


 以前、スライムテイムガチャ爆死事件の少し前に、彼女に鞭の扱いと歩法術を少しだけ指導したことがあった。

 あのときも凄まじい早さで技術を吸収していく様に驚嘆させられたのを覚えている。


 そして今現在も彼女は武の才能を遺憾なく発揮し、砂漠に水を吸わせるように成長していく様は圧巻の一言に尽きる。


 今回、俺が彼女を育成する上で定めたコンセプトは『カウンター型タイプ』。


 それを行うためにも重要なのが――『せん』という技術だ。


せん』というのは、例えば相手が先に攻撃を仕掛けてきたが、その動きを読んで動作を起こし、相手の攻撃を避ける押さえるなどして、応じ技を決めることを言う。


 剣術用語で相手が仕掛けてきた技に合わせて掛ける技。ボクシングで言うところのカウンターに相当する。

 また剣術に限らず剣道でも使われ、柔道、相撲、空手などでも使われたりする。


 では、あえて相手に先手をゆずるメリットが何かわかるだろうか?

 

 例えば剣術同士の闘いでは、相手が斬りつけ体勢の修正が効かない段階で、相手の刃を避け、相手に斬り返す。これが後の先。


 相手が人間である以上、身体的構造を上手く突き利用することで、相手の動きを大幅に制限できる。


 攻撃が来ると理解できても避けられなくする。逆に避けられる道筋をあえて残し、誘導したところに必殺の一撃を見舞うことも可能だ。


 このように、『せん』という技術には多くのメリットが存在する。

 だが、この技術はそう簡単に習得できるものではない。


 相手の一挙一動を正確に見極め予測する力。

 相手の動に対応する柔軟な思考、発想の豊かさ。

 相手からのプレッシャーを正面から受け止められる胆力、精神面の強さ。


 例をあげればまだまだあるのだが、容易に習得できるものではないということは伝わっただろうか。


 こうした能力を身につけるには長い間、武に傾倒し経験を蓄積して技術へと昇華する事によって得られるものだ。


 だが彼女は常人が登るであろう階段を悉く無視して、背中に翼を生やして飛び上がり天頂へと至ることが当たり前のように成長していくのだから恐ろしい。


 まあ俺の友達は見た目も中身も天使みたいに可愛いから、もし現実世界で翼が生えたとしてもなんら違和感なく受け入れられそうだけどな!


 ……失礼、俺の友達が天使すぎて話が脱線してしまった。大天使コハリエルの信者ゆえ仕方なし。


 さて今回は彼女の成長を存分に見てもらうとしよう。


「よし、こはるちゃん。今回は相手のレベルと人数を少し増やしてみるから焦らず冷静に対処していこう。いつもどおりやれば問題ないはずだ」


「はい、ししょー! こはるがんばります!」


 そう言って彼女は金髪のツインテールを揺らし、蒼く透き通る綺麗な瞳に闘志を宿し、小さな両手をぎゅっと握りしめて俺へと気合いをアピールする。


「ししょー。れべるをあげるなら、ごほうびのれべるあっぷをようきゅうします!」


「……ほう、言うようになったではないか我が弟子よ。なんでも言ってみるが良い!」


 彼女の要求に対して俺は悪ふざけしつつ答えてみる。


 あれから彼女と俺はより仲良くなって、彼女は少しだけ我が儘を言ってくれるようになった。とは言っても内容がとても可愛らしいものだから別に困ったりしたことはない。


「頭なでなでを五分から十分にれべるあっぷすることをようきゅうします!」


「いいだろう、無事にクリアすることができたら許可しよう」


「やったぁー!」


 彼女はぴょんぴょんと跳ねて喜びを全身で表現する。

 ほら、ただの可愛いらしいだけの要求だった。そんなことで喜ぶならもっと我が儘言って欲しいくらいだ。


「ただし、失敗したら罰ゲームだからね。ほっぺぷにぷに一時間の刑に処します!」


「それは……お兄ちゃんが、ほっぺさわりたいだけじゃないのかな?」


「そそそそ、そんなことあるわけないじゃないですか……こはるさん。今は師匠の立場ですから、そんな下心を抱くわけないじゃないですかー、ははは」


 と言いつつも背中に隠した俺の両腕は震えている。禁断症状だ。その名も『ぷにぷに症候群』。


 その人物の手に馴染む柔らかいものをぷにぷにしていないと手が震え、長時間ガマンすると理性を失いゾンビのように「あー、うー」と叫びながら徘徊してしまう恐ろしい病だ。


 俺は近くで飛び跳ねていた師匠スライムを掴むと、揉みしだき冷静さを取り戻した。


「じゃあ修行を始めるとしよう――【カオスゲート】」


 スキル名を唱えると、俺の顔半分を覆っている髑髏の仮面がカタカタと揺れ「開け、死の門よ」と言葉を発する。相変わらず不気味な仮面だ。


 彼女を囲うように数メートル離れた位置へ六つの漆黒に染まり髑髏で彩られた扉が出現する。

 やがて扉が開き、中から白い固まりが飛び出した。


 それは人体模型を彷彿とさせる二メートルくらいの白骨死体――スケルトンという名のモンスターだ。


 全員、武器は持たせず素手の状態にしている。


「今回はスケルトンの数を四体から六体に増やしてみた。練度を一般人レベルから、街でちょっと喧嘩なれした不良くらいの強さで操作するからよろしくね」


「……すぅー…………はー」


 彼女からの返事はない。独特な呼吸方法で身体から余分な力を抜いて脱力し集中力を高めているからだ。


 やがて幼げな無邪気な顔つきから一人の戦士へと表情を変化させていた。

 

 彼女を囲んでいたスケルトンの一体が襲い掛かる。上体を前よりに上から下へと叩きつぶすように右腕を彼女へと振り下ろす。


 彼女は冷静に相手の攻撃線から逃れるように躱すと同時に、相手の死角に直線的に踏み込んで行く。

 ――入身いりみ


 そのまま相手の振り下ろされた腕を掴むと円の動きで同方向へと力を導き無力化する。

 ――転換。


 さらに相手の前傾姿勢に合わせて自身の身体を密着するように滑り込ませ、その小さな足をスケルトンの足へと軽く添えるように置き――投げ飛ばす。


 スケルトンはグルンッと凄まじい速度で一回転し地面へと叩き付けられる。


 彼女自身の力はほんの少ししか作用していない。その殆どがスケルトン自身が生み出した力によって己へと返ってきたのだ。


 相手の力の流れを瞬時に利用し導き己の支配下に置く。これが彼女の戦闘スタイルだ。


「……すぅー…………はー」


 そして彼女はまたあの独特な呼吸方法で身体を脱力させる。


 その独特な呼吸方は合気で用いられるものだ。彼女の闘い方においてこの"脱力"は大きな意味を持っている。


 主に相手との接触点を通して、相手に呼吸を合わせて接触点が離れぬよう保ちつつ、「円の動き・らせんの動き」など「円転の理」をもって、相手の重心、体勢を崩れる方向に導いて行く。


 しかしこのとき無駄な力が入っていると、相手の反射的な抵抗を誘発し、接触点が外れてしまう。力がぶつかって動きを止められるなどの不具合が生じ、技の流れを阻害する。


 そのため"脱力"するということが特に大事なのかわかるだろう。

 また脱力により、リラックスして動ける自由性や、技中に身体の重さを効果的に使うことが可能になる。


 スケルトンは人骨だから呼吸してないじゃないですかー、と思ったそこの貴方! 大丈夫、そこはボッチさんによる操作術で生身の人間と同じ様に見せかけているから問題ナッシング。


 独特な呼吸法をしている彼女の元へ左右からスケルトンが襲い掛かる。

 

 彼女は右方向から襲撃してきたスケルトンの元へ自ら近づく。左側から襲撃してきたスケルトンとの距離を取り、右側のスケルトン相手に技を掛ける時間を稼ぐためだ。


 右側のスケルトンは彼女に肉薄し、蹴りを放つ。

 彼女は放たれた蹴りを入身で回避し、そこから相手の手首を持つと転換の体捌きによって相手の体勢を崩す。


 そして両腕を振りかぶりつつ180度背転し、“刀を斬る”ように腕を振り下ろすことにより、相手の肘を頭の後ろに屈曲させ脇を伸ばし仰け反らせて倒す。


 ――四方投げ。

 ちょうど剣を振りかぶって、四方に切り下ろすように見えるところから、この名称がつけられている。


 続けて左側のスケルトンが彼女に追いつき、彼女は自身の腕をスケルトンに掴まれて引き寄せられてしまう。

 しかし彼女に焦った様子は微塵も見受けられない。

 

 彼女は相手に片手を掴まれた状態から掴まれた手と同じ半身の足で、相手の足の外側に半歩入身し、さらにその足を軸に水平方向に180度背転し、相手と同方向を向き、力を丸く捌いて前方へ導き流し崩すことで逃れる。

 ――入身転換。


 さらに相手の腕を取ったまま肘関節を可動限界まで伸展させ相手を腹這いにさせ抑える。

 ――一教。


 今の一連の流れで彼女が使った技の数々は合気道で使用されるもの。

 無駄な力を使わず効率良く相手を制する合気道は彼女にとって非常に相性が良い武道だ。


 合気道による独特の力の使い方や感覚を会得することにより、“合理的な”身体の運用を用いて“相手の力と争わず”に相手の攻撃を無力化し、年齢や性別、体格、体力に関係なく相手を制することが可能になる。


 子供である彼女は闘いにおいて不利だ。

 身体ができあがっていないゆえに体力が少なく長期戦は不向き、力もなく、その細い身体に相手から一撃をもらえば致命傷になりかねない。


 武術を教えるにしても技に対して肉体が耐えられないという点で選択肢は限られてくる。

 その点、合気道は年齢や性別、体格や体力に関係なく相手を制することができるというのは大きい。


 それでもここまで実践的に戦えるのはごく一部に限られる。やはり彼女の天性の才ゆえだろう。

 たったの一週間だけ教えてこの動きだ。彼女は将来化けるだろう。


 その後も残りのスケルトン達が彼女に襲い掛かるが、彼女にダメージを与えることは終ぞなかった。


 スケルトンの攻撃を誘導して同士討ちさせ、スケルトンを投げ飛ばして違う相手にぶつけたり、多対一の状況下に関わらず「結び、導き、崩し」を徹底し常に優勢な立ち回りで勝利をもぎ取った。


 今回は使用することはなかったが、他にも柔術や中国武術の攻防一体のカウンター戦法も彼女に仕込んでいたりする。


 合気は呼吸による脱力が重要なこともあり、他の武術と併用するには彼女自身の練度がまだ足りないのだ。

 いずれはそれらを臨機応変に切り替えながら戦えるようにするのが目標だ。


「お兄ちゃん、こはるがんばったよ!」


 そう言って、彼女は戦士の顔つきから一転し、へにゃりと笑みを浮かべてこちらに走りよってくる。


「よく頑張ったね! こはるちゃんならできるって信じていたよ」


「……ん」


 彼女に賞賛の言葉をかけると、彼女は期待の眼差しを浮かべて自身の頭を差し出してくる。

 ご褒美の催促だ。


「よしよし、えらいえらい」


「……えへへ」


 俺は彼女を労るように優しくゆっくりと頭を撫でてあげる。すると彼女は溶けてしまいそうなほどに表情を緩めて満面の笑みを浮かべた。


 俺はそんな彼女を見つめていて思う――ほっぺぷにぷにしたいと。


 だってですよ、ただでさえ柔らかそうなほっぺがさらに緩んでいるんですよ!

 この感情は下心などでは決してなく、自然の摂理なので俺は悪くない。


 そうだ俺は悪くねぇ! ほっぺ先生が悪いんだ!(某親善大使)


「こはるちゃん、次は俺と組手しようか! 負けたら罰ゲーム、ほっぺぷにぷにの刑ね」


「やぁー。おことわりします」


「え!? じゃあスケルトン一体だけならどうかな? ほんの少しだけ、ちょびっとだけ本気で操るだけだからね? こっちが負けたら、なんでも言うこと聞くから!」


「ダメです」


「そんなー」


 馬鹿な!? 合法的にほっぺぷにぷにする完璧な作戦が敗れただと?(知能指数低下中)


「……お兄ちゃん。ほっぺをさわるのは一日一時間って、やくそくしたよね? やくそくはちゃんとまもらないと、めっ、だよ」


「…………はい」

 

 俺はすでに今日のほっぺぷにぷに権を消化してしまっていたのだ。

 ……こはるママ、ゆるして。


「やくそくをやぶろうとするお兄ちゃんに、こはるはきずつきましたー。頭なでなでに、おぷしょんとして、ひざまくらもようきゅうします!」


「イエス、マム」


 結局、俺は彼女に膝枕をして頭なでなですることとなった。


 そして彼女は、俺の太ももに乗せた頭をマーキングでもするかのようにグリグリと押しつけ、どこか悪戯めいた笑みでこちらに微笑んでいたのだった。


 ……どうやら彼女の方が一枚上手だったようだ。


 ――こはるママに勝てなかったよ!


こはるちゃんに新しい属性が増えましたね。

天使属性

ママ属性 NEW

小悪魔属性 NEW


一年ぶりに書いたので上手く書けているのか少し不安ですが、楽しんで貰えたのなら幸いです。


もし続きを読みたい思いましたら、ブクマ、感想、評価して貰えれば作者のテンションがあげあげになってキーボードを叩く速度があがるという噂がありますの!


そう言えば評価ボタンの仕組みが、いつのまにか【☆☆☆☆☆】に変わっていますね!

あと最新話じゃなくてもボタンを押せば評価できるようになったのは運営さんグッジョブと言わざるをえないですね!


そして奥さん、ちょっと耳寄りなお話があるので聴いていってくださいませ。


なんと今、下のお星様(評価ボタン)を押して黒く染め上げると、天使ちゃんが12人の妹になってお兄ちゃん呼びをしたボイス収録CDを抽選でプレゼント!


シスターエンジェルのお兄ちゃん呼びは以下の12種類!


「お兄ちゃん」「お兄ちゃま」「あにぃ」「お兄様」「おにいたま」「兄上様」「にいさま 」「アニキ」「兄くん」「兄君さま」「兄チャマ」「兄や」


耳が幸せになること間違いなし。さあ押すのだ!


抽選が外れたかたも安心!作者の収録した社畜洗脳ソングをプレゼント。

作詞:猫又寝子

回せ、回せ、社会の歯車!おまえら奴隷に人権なし!今日も今日とて死んだ眼で感情殺して機械のように動け!うーあー、うーあー、休み欲しい。有休?なにそれ美味しいの?独りは苦しい?じゃあ皆を巻き込めよ。あいつもこいつも社畜でハッピー!おまえも今日から社畜の仲間入り!!


とまあ茶番はここまでにして、モチベ維持したいので復帰祝いに☆を投げつけてくれると嬉しいです!

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[一言] 続きはまだかなー?
[良い点] 面白くてつい一気読みしてしまうこと [一言] 最近作品を漁っててこの作品を見つけました!とても面白くて少し読むつもりがつい1話から最後まで読んでましたw最近暑いので熱中症やコロナに気をつけ…
[良い点] ずっと待ってます [一言] 主人公と同じレベルの化け物が出てきたらもっと面白そうwww
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