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66話 ボッチ 高速で掌返し

 あれから『スケルトン』を様々な体勢にして操り、重心にブレが生じるたびに修正を加えていった。

 その成果もあって、今では寸分違わず思い通りに操ることができる。


 よし、『ホーンラビット』さんに再戦を申し込むぞ!


 そうと決まれば行動も早い。【探知】のスキルを使用し、『ホーンラビット』さんの位置を探り当てると、意気揚々に向かう。


 お、発見!


 俺は少し離れた岩の影に隠れ、『ホーンラビット』さんの眼前にゲートを開き、『スケルトン』を一体召喚する。


 『ホーンラビット』さんは、突然出現したゲートにギョッと驚き、大きく後方に飛び跳ねた。

 対して、『スケルトン』は警戒心を露わにする相手にも紳士の如く優雅に一礼して見せる。


 その隙を見逃すほど『ホーンラビット』さんは甘くはない。

 一礼する『スケルトン』に向かって助走で距離を詰め、大地を蹴り上げると大きく跳躍した。


 『ホーンラビット』の急襲に対して、『スケルトン』は一礼から上体を持ち上げ、その場で半歩回転しつつ一歩後ろに下がるだけ。


 たったそれだけの動作で攻撃を躱し、すれ違い様に『ホーンラビット』さんの胴体に骨の長剣を一閃した。


 ダメージを負いつつも『ホーンラビット』さんは地面に着地。そこから再び飛び跳ねて『スケルトン』に襲い掛かる。


 しかし、そこには骨の長剣をバットに見立ててバッティングポーズを構える『スケルトン』選手が居るではないか!

 更には持っているバットを空に掲げて見せ、ホームラン宣言を行っています!


 これにはボールである『ホーンラビット』選手の心境は複雑極まりないのではないだろうか!

 ボールは愚直なまでのストレート。いや、このままいけばデッドボールか!?


 おっと、それでも『スケルトン』選手は冷静だ!

 体勢を整えるとボールに向かってバットを構え、斜め上に打ち放つ。


 バットと接触の瞬間、『パリィ』が発動して上空へと『ホーンラビット』選手が舞い上がる。やがて錐揉みしながら落下し、光の粒子を撒き散らした。


 ――さよならホームラン!(物理的に)


 『スケルトン』選手が、客席に手を振りながら一塁、二塁、三塁と駆け回り、ホームベースを踏んだ。


 いやー、両者ともに白熱した素晴らしい試合でしたね!


 そしてスポーツマンシップに則り、華々しく殉職した『ホーンラビット』選手のご冥福をお祈りします。黙祷。



 ……ついつい楽しすぎて変なテンションで語ってしまった。

 だがこれで俺の操り技術は確かなものだと証明できたな。


 今まで俺は、あらゆる独り遊びをしてきた。


 独りオセロ、独り将棋、独り囲碁、独りチェス、独りカラオケ、独り焼き肉、独りパーティーゲーム、と語れば切りが無い様々な経験だ。泣きたい。


 そんな独り遊びのプロフェッショナルな俺の勘が囁きかけてくる……この【カオス・ゲート】を極めれば最高の玩具になると!


 一体だけでもこれほど遊べるのだ。十体ともなれば、さぞ楽しいことになるに違いない。

 善は急げという気持ちで早速行動に移ることにした。


 俺は【カオス・ゲート】を使用し、ゲートを二つ開き、『スケルトン』を二体召喚する。

 そしてお互いに手と手を繋ぎ合わせ、ダンスをさせてみることにした。


 ……ぐっ、一体増えるだけで操る難易度が飛躍的に上がっているようだ。


 今の俺の状態を例えにするならば、右手でピアノを弾き、左手で絵を描くような技術を要求されていると言えばわかるだろうか?


 だがこの程度ならば……まだ大丈夫。

 二体の『スケルトン』は制御を失うことなく、片方をお姫さま抱っこしてクルクル回転している。


 俺は以前、左右の手足を別々の生き物のように動かす武術修行をしたことがある。その時の経験が生かされ、事なきを得たのだ。


 調子に乗った俺は、次に『スケルトン』を四体召喚して操ってみることにした。


 ぐぬぬぬ、これは想像以上にキツいぞ。

 三体までは何とかイメージ通りに動かせているが、もう一体がフラフラと揺らめいて安定しきれていない。


 ……ふう、落ち着け。全神経を集中して気合いで乗り切るんだ。

 今こそ思い出せ――あの辛酸を舐めた日々を。


 友達が居ない俺は中古で安く買ったゲームを独りで遊んでいた。しかもパーティーゲームだ。

 コントローラーも四つ揃えて準備は万端。


 え、パーティーゲームをどうやって独りで遊んでいたのかって?

 そんなのコントローラーを四つとも同時に使って遊べばできるだろう?


 右手に一つ、左手に一つ、右足に一つ、左足に一つだ。

 ね、簡単でしょ?



 俺は内なる黒歴史を呼び覚まし、あの時の辛い経験を思い出す。


 すると、記憶が鮮明になっていく度に『スケルトン』の制御が安定した。ただし、俺のメンタルも相応にダメージを負っていくが。


 ふはは、だがやり遂げて見せた!


 よしゃあ、次は六体に挑戦だ。

 俺は十体全てを操るまで決して諦めないからな!



 ◆



 ……そんなこんなで徐々に『スケルトン』の数を増やし、一週間経った頃には十体とも完璧な精度で操れるまでになっていた。


 その過程で様々な遊びをしながら操作技術を上げていったのだ。


 『スケルトン』十体を後ろに並べてドラ○エごっこした。


 『スケルトン』十体で組体操して、ピラミッドもつくった。


 『スケルトン』十体でチーム『スカル・ダンサーズ』を結成して一緒にブレイクダンスも踊った。


 『スケルトン』十体と一緒に空を飛び、空中戦を繰り広げたりした。


 いやあ楽しい日々だったな。

 【カオス・ゲート】は難易度は高いが汎用性が高い故に、まだまだ更なる独り遊びが模索できるだろう。


 次は何して遊ぼうかと考えていると、メールが届いた。


 ――こはるちゃんからだ!


 内容は『お兄ちゃん! お時間あったら、いっしょにあそんでくれませんか?』といったものだった。


 友達からの遊びのお誘い……嬉しさのあまり俺の目から涙が零れ落ちる。


『スケルトン』なんかと一緒に遊んでいる場合じゃねえ!

 こんな骨野郎どもより、友達と遊んだ方が何十倍も楽しいに決まっているだろ!


 俺は高速で掌返しすると、急いで友達に返信したのだった。 

今回の話を八割ぐらい書き終えていた時に、パソコンが突然フリーズしてデーターが消えました。


思わず悲しみと怒りが己の中を支配し、両手で壁ドンしました。

あ、と気づいた時には遅く、治りかけていた左腕にダメージが入り、悶絶して転げ回るアホな作者。


その後、泣きそうになりながら何とか書き上げることができました。

バックアップ大事、絶対!


睡眠魔王と怠惰魔王と左手首激痛魔王が作者を虐めてくるので、よろしければ元気玉(評価ポイント)送ってくれると嬉しいです!


  ジー

 ∧,,∧/\

(´・ω・/ ,,ゝ ペラッ

 (つ//

  /

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