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64話 ボッチ 新たなスキル

どうも一ヶ月ぶりくらいですね。

作者が何をしていたかと言いますと、「昔は小説を書いていたが腕に矢を受けてしまってな」という状況でした。

冗談です。正確には左手首を骨折です。

両手でブライングタッチして文を打ち込み、PCから投稿している身としては致命的なダメージでしたので更新休んでました。てへぺろ☆


 イベントを終えて数日。

 アップデートとメンテナンスの都合でゲームにログインできない間、ひたすら武術の鍛錬を行っていた。

 

 いくら仮想世界で自由に動き回れたとしても、現実世界での肉体は寝転んだままなのだから、身体が鈍ってしょうがないのだ。


 肉体も機械と同じようにメンテナンスしてやらなきゃ錆び付いてしまう。

 なので一通りの武術の型を回しつつ、適度に身体を解しながら重心を意識する。


 僅かな感覚のズレが、刹那の攻防において命取りになるからこそ念入りにチェックすることが大事だ。


 無心で動く。


 やがて……周囲の音すら聞こえなくなるくらいまで集中して続けていると、あらかじめセットして置いたタイマーが、音を上げて鳴り響いた。


「よし、ゲームの時間だ! アプデ楽しみだな」


 俺は身体の汗をタオルで拭き、意気揚々とベッドまで駆け抜けてダイブする。

 いざ、仮想世界へ。


 ◆


『はじまりの町』。


 目を開くと、いつものごとく人の視線の多くが俺に集まっていた。

 ただいつもと違うのは、その視線の中に好奇心の色が見え隠れしていたことである。


 まるで『有名人』でも見たかのような、興奮と驚きが入り交じった表情を浮かべているのだ。


 どういうことだ?

 何か注目を集めるようなことをやった記憶は――あった、な!


 ぼっちでイベント攻略できたことに満足して、すっかりと忘れてしまっていた。

 ランキング一位~十位までの攻略風景を公式が動画化したんだっけ?


 そういや公式の動画まだ見ていない。


 自分のプレイが周りにどういった反応されているか気になるところだけど、批判的なコメントがあったら心にダメージ負いそうで怖いな。


 もしも、『こいつ協力イベントなのに、ぼっちで挑んでいるとかワロスww』とか、『友達いないんですか?^ ^』とか、『イベントのルール理解している? 字よめまちゅか? 幼卒かな?』とか、そういうコメントがあったら泣いて部屋に引き籠もる自信があるから見るのは止めておこう。


 そんなネガティブな思考をしつつ歩を進めていると、人波がモーゼのごとく割れる。

 

 ひょっとしたら話しかけてくる人がいるかもしれないと警戒していたが、杞憂に終わった。

 相手も警戒しているのか、遠目で様子を窺うだけで近寄ってくる気配は無い。


 ……よかった。人見知りの俺が、沢山の人間に囲まれて話すとか拷問です。

 相手の気が変わらない内に逃げるが吉だ。


 割れた人波を黙々と進む。

 その中で遠巻きに、ひそひと話し声が聞こえた


「おい、あれってランキング一位の人外生物さんだよな?」


 いや、人間だから。泣くぞ!


「馬鹿野郎、本人に聞こえて気に障ったらどうするつもりだよ。何されるかわかったもんじゃない。変態的な動きをするヤバい奴だぞ、思考回路がイカれているに違いない」


 ……お前の方が失礼だよ! 泣くぞ!


「誰か、話しかけてみてよ。勇気ある男の子には……お姉さんがデートして、あ・げ・る」


 ……お姉さん?

 筋肉ムキムキの男性にしか見えないんですが。罰ゲームかな?


「あの死神に誰か話しかけるか賭けをしようぜ!」


 人を賭けの対象にしないでくれ。


「あそこにいるのって実は人工AIって聞いたんだけど、マジ?」


「えっ? 僕は遺伝子を扱う科学研究所から脱走した人造人間って聞いたけど?」


 紛れもなく正真正銘の人間だよ! 何で皆そろって俺のことを人外にしたがるんですかね?

 いぢめですか? むぅーりぃー。


 それからも、聞こえてくる会話に何度も豆腐メンタルがブレイクしそうになりながら、何とか外のフィールドへと逃げることができた。


 幸いなことに、話しかけてくる人はいなかった。

 正確には、俺の全身から溢れ出る『話しかけてくるな』という雰囲気を察したのかもしれないが。


 俺は疲弊した心のケアも兼ねて師匠スライムを召喚すると、ギュッと抱きしめて頬ずりをする。


 あー、癒やされる。この柔らかな弾力、ひんやりとしたボディー、全てを包みこむ優しさがここにある!

 師匠スライムの半分は優しさで出来ている違いない。


 幾分か精神疲労を回復した俺は、師匠スライムを枕にして仰向けに寝転がる。

 高級羽毛枕なんて目じゃない素晴らしい感触に酔いしれつつ、システムウィンドウを開いた。


 そして、驚きに目を瞬かさせる。


「嘘、だろ……?」


 フレンド申請の欄がピコンッと点滅していたのだ。

 俺は興奮と混乱のあまり早鐘を打つ心臓を押さえつけ、恐る恐る指で触れた。


 次に更なる驚愕が俺に襲い掛かる。


 俺にフレンド申請しているプレイヤーが大量に居たのだ。

 画面を下にスクロールしてもしても途切れないプレイヤーネームの一覧。


 目の前で起きている事実に理解が及ばず、夢でも見ているのではないだろうかと錯覚して仕舞いそうになる。


 一体何があったんだ? 現実だよ、な?

 麻痺しかけている脳内で思考し、しばらくして原因に思い至る。


 そう言えば、イベント終了時にコメントを打ったのだ――『友達募集中』という俺の願いを。


 まさかここまでの影響力があるとは想像すらしていなかった。

 ……どうしよう?


 だが果たして、この中に本気で俺と友達になりたいと思っているプレイヤーはどのくらい居るのだろうか?


 全部が全部、善意のあるものとは素直に考えられない。

 悪戯。面白半分。利用目的。中にはそういった悪意あるものも含まれている可能性が大いにある。


 ……とりあえずこの件は保留にしよう。

 精神が疲弊した今の状態で考えても上手く纏まらない。一度、間を空けよう。


 気持ちをリセットするためにもゲームのことを考えようか。


 今回のアップデートで『装飾品』が新たに装備できるようになった。


 あのイベントの報酬で、ランキング十位以内のプレイヤーにはユニーク装備の『装飾品』がもらえたはずだ。

 ……早速、確認してみるか!


 俺はウキウキした気分でシステムウィンドウを切り替え、イベントの報酬ページに移る。


 DPダンジョンポイントでのアイテムや武器防具の交換は後で考えるとして、まずは新要素である『装飾品』に興味を向けた。


 報酬リストを開く。結構な種類があるようで、どれにするのか悩む。


 指輪、ペンダント、ネックレス、仮面、などといった身に着ける『装飾品』が多々ある中で変わった品物も存在した。

 それは『オーラ』を装備できるという一風変わったものだ。


 ……ふむ。この『風のオーラ』とか、マントを風の無いところで靡かせて「待たせたな!」と台詞を吐きながら颯爽と仲間がピンチの場面に登場する遊びが出来そうだな!


 ……なお仲間はオプションに含まれません。ぼっちには高尚な遊びだったね。


 この『光のオーラ』も気になるな。

 俺の装備から溢れている邪悪な瘴気と組み合わせれば、『光と闇が合わさり最強に見える』という遊びが出来て心躍るね!


 それから色んな装備の効果を見て妄想に花を咲かせていたが、もの凄く気になるものを見つけて黙り込む。


 それは……縦半分に罅割れ片側しかない不気味な髑髏の仮面。

 効果の内容を確認し、面白そう! といった理由から即決でコレにすることにした。


 早速、不気味な髑髏の仮面を顔に被る。

 それは不思議にも留め具も無いのに肌に吸い付くようにピッタリと嵌まった。


 見た目が不気味すぎることもあり、呪われて外せなくなるかとも警戒したが、簡単に取り外しができて安心した。


 この『装飾品』の効果は、被っている間――『この装備限定のスキル』を行使できることにある。


 スキル名を叫ぶ。


「【カオス・ゲート】」


 俺の顔半分を覆っている不気味な髑髏の仮面がカタカタと揺れる。

 そしてどこからか、声が聞こえた


 ――『開け、死の門よ』。    

仮面をつけたことでボッチ君の見た目が更に禍々しくなりましたね!

主人公はどこに向かっているのでしょうか?


前書きにも書きましたが、左手首を骨折してました!

まあ、頭に落ちてこなかっただけ良かったということにしましょう。

危うく物理的にこの小説がエタナールするところでしたからね(笑)


骨折したから仕事が休める!と、内心淡い期待をしていまいたが――。


会社「左腕が使えないなら、使わなくてもいい仕事をすればいいじゃない」

猫又「(´・ω・`)そんなー」


現実は甘くなかったよ!

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