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5話 ボッチ 妄想する

 次の日の朝、目を覚ますと早速VRゲーム機具を装着する。

 朝起きて、いきなりゲームできるとか贅沢の極みだな。今は学校が夏休みで、両親は旅行で家に居ないから遊び放題。

 この幸せの一時を俺は全力で味わってみせる。


 ゲームの起動スイッチを押して目を開けると『はじまりの町』が見えた。

 さてと、まずは昨日、師匠スライムを倒したときのシステム音声を聞いてなかったから確認しとかないとな。

 ログのボタンを押すとメッセージが再生された。

 

『レベルが1上がりました。影法師ドッペルゲンガーのため職業ボーナスはプラスされませんでした。FPを10P獲得しました。SPを10P獲得しました』


 ああ……レベルアップしたのか。

 どれどれ、FPとSPが手に入ったことだしステータスの更新をしておくか。


職業<影法師ドッペルゲンガー

LV:01

HP:150

MP:150


攻撃:25(+10)

防御:0

魔攻:0

魔防:0

速さ:0


e:初心者のローブ(防御+0)

(耐久:無限<初期装備>)

e:初心者のナイフ(攻撃+5)

(耐久98%)<初期装備>


FPフリーポイント0P

SPスキルポイント10P


スキル:【パリィ】New



 もちろん、FPを消費して攻撃に全振りした。

 で、次のSPの使い道だがもう決まっている。防御手段は【パリィ】を習得してカバーできるようになったが、速さのステータスが0だから機動力が欠けているのだ。


 だから、ある二つの職業スキルを使用して、その機動力を補おうと考えている。

 ……そのためにはSPが全然足りていない。影法師ドッペルゲンガーの特性でSP消費が倍になることを計算に入れると、後3レベルは必要になりそうだ。


 とりあえず『はじまりの草原』で適当にレベル上げするとしますか。


 ◆


 それから……色んなモンスターと戦闘を行った。

 

 緑色の肌をしていて粗末な武器や防具を身につけた小人族――ゴブリン。

 一メートルほどの体長で身体全体から針を尖らしているネズミに似た生き物――ニードルラット。

 全身真っ黒で角と尻尾があるコウモリに似た生き物――デビルバット。

 捻れた一角を持つウサギに似た生き物――ホーンラビット


 これらのモンスターを練習相手にして、攻撃をしてきたところを【パリィ】で隙をつくって、とどめを刺す……という流れで経験値を稼いだ。

 おかげで目標であったレベルが4になった。


 さあ、ステータス更新タイムが始まるよ!


職業<影法師ドッペルゲンガー

LV:04

HP:300

MP:300


攻撃:55(+30)

防御:0

魔攻:0

魔防:0

速さ:0


e:初心者のローブ(防御+0)

(耐久:無限<初期装備>)

e:初心者のナイフ(攻撃+5)

(耐久78%)<初期装備>


FPフリーポイント0P

SPスキルポイント40P


 もちろん、FPは全て攻撃に振りましたよ。

 そして、お待ちかねのスキル習得いってみよう!


 スキル取得画面を開くと一覧から選び決定キーを押した。


『【カウンター<瞬空歩>】を習得しました。影法師ドッペルゲンガーの特性によりSP消費10Pから20Pになりました』


 一つ目のスキルは【カウンター<瞬空歩>】。

 その名のとおり、これはカウンター系のスキルである。攻撃判定が発生した時に上手く自分の攻撃を当ててやると発動するスキル。

 そしてカウンターに成功すると、自身の攻撃力を2秒の間だけ50%上昇させ、宙に浮きながら真っ直ぐに加速して移動する。


 そう……成功すればね?


 やっぱりこいつにもデメリットがあるのだよ。

 まずは【パリィ】と同様に受付け時間の短さは1秒以下、コンマ数秒の世界。それとカウンター失敗時にはプレイヤーの身体が10秒の間、完全に硬直してしまう。

 さらに、硬直時間内に相手からの攻撃をくらうとクリティカルヒットが必ず発生、自身が受けるダメージが二倍になる。


 ハイリスク、ハイリターン!

 だが、速さのステータスが0の俺には貴重な移動手段になるだろう。また【パリィ】の時みたいに苦労するだろうが極めれば俺の戦闘力は跳ね上がるはず……頑張ろう。


 もう一つのスキルも取得画面から選んで決定キーを押した。


『【エクスプロージョン】を習得しました。影法師ドッペルゲンガーの特性によりSP消費が10pから20pになりました』


 これで、手に入った40pは全て消えてしまった。影法師ドッペルゲンガーさんの特性が無駄に仕事をしてくれますからね!


 この【エクスプロージョン】というスキルは魔法陣を設置して、そこから爆発を発生させることができる。またMPを込める量によってその大きさを調整できるらしい。

 今までの他2つのスキルに比べたらデメリットがないぶん、かなりまともなスキルだ。


 さて、なんで魔法攻撃力0の俺が魔法を習得したか疑問に思っただろう?


 それには理由がある。

 魔法はプレイヤーの魔法攻撃力を元に計算が行われダメージを算出している。魔法攻撃力0の俺がいくら魔法を使用してもダメージは0だ。戦闘で使用したってモンスター一匹も倒せない。

 だが、それをもし()()に放つ場合はどうだろうか?


 そう――俺は爆発した時の爆風を利用して、自身を強制的に宙に飛ばそうと考えているのだ。自分に放っても魔法攻撃力が0の俺はダメージを一切受けない。

 そして、この爆発には()()()()がある。そこで……さっき習得した【カウンター<瞬空歩>】を爆発に当て上手く発動させると――


 ――宙を飛びながら高速移動することが可能なのではないだろうか?

 

 やばい、考えただけでも楽しすぎる! だって、宙を飛べるんだぞ!

 ああ、影法師ドッペルゲンガーにして初めて良かったと実感している。


 職業<サムライ>のスキル【カウンター<瞬空歩>】と職業<魔法使い>【エクスプロージョン】のスキルは剣士系、魔法系で制限されていて、本来ならば同時に使うことができない。

 だが、影法師ドッペルゲンガーにはその制限がない。つまり、このコンボは影法師ドッペルゲンガー専用といってもいいだろう。


 ……まあカウンターが成功すればの話だけどね?

 失敗時のリスクは大きいが、俺はロマンのためならリスクなんて呑み込んで咀嚼してやるぜ。


「イヤァッホォーイ!」


 さあ、さっそく練習だ!

 俺は宙を翔る自身の姿を妄想しながら、奇声を上げて草原を歩くのだった。

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