表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/73

番外編 もしもスライム師匠が主人公だったら~

※注意事項


今回の話は本編の話ではありません。本編とはまったく関係ないので興味のない方飛ばして下さい。作者が突如湧いてきたスライム師匠の妄想を書き殴っただけのお話です。

パラレルワールド、パロネタなどが含まれています。

 幼気な少女が、数十人にも及ぶ男達に追いかけられていた。

 

「だれか、たすけてーっ!」


 悲痛な声の懇願(こんがん)が草原に響き渡る。

 辺りに人影などなく、その行為は無意味に思えた。


「――ったく、手こずらせやがって。逃げんじゃねえぞっ、大人しくしやがれ!!」


 追いついた男の内一人が、少女の体を(つか)むとそのまま地面に押し倒す。

 仰向けに倒れた少女の上に男は(また)がり、その周りにも他の男達が囲う。

 少女の顔は絶望に染まり、瞳からは涙が零れていた。

 そんな少女の表情に、上に跨がった男は下卑(げび)た笑みを浮かべると、欲望に塗れたその手を伸ばした。


「いやっ、やめてっ!!」


 少女は嗚咽(おえつを漏らすと、恐怖に瞳を閉じる。

 そんな絶望的な状況に一筋の光が差した。

 突如、少女の上に跨がっていた男の顔に、青い塊がぶつかると吹き飛んだのだ。


 少女は突然の出来事に目を白黒させると状況の確認に努めるために視線を動かす。

 男を吹き飛ばした正体は、水滴状の身体に、くりくりとした目と半開きの口というとぼけた風貌(ふうぼうをした――スライムだった。


 スライムが振り返り、少女と視線が合うと微笑む。


「安心しろ。俺が必ず守ってやる!」


 頼りになる力強い言葉を少女に向けると、背を向けて男達と対峙する。


「なにかと思えば、最弱のスライムじゃねぇか」


「弱者のくせにナイト様気取りか?」


「くはははは、笑わすんじゃねぇよ。それとも俺らを笑い殺すつもりか?」


 最弱のおまえに何ができるかと、スライムを嘲笑う。


「……たしかに俺は最弱かもしれねぇ。だが――心まで最弱になったつもりはない! おまえらが弱者を食い物にして嘲笑うって言うのなら、俺が――その幻想をぶち壊してやるっ!」



 そう宣言すると、半開きの口から詠唱が唱えられる。



「――― 体はスライムで出来ている


 器は歪で、心は鋼


 幾たびの戦場を越えて全敗


 ただの一度も勝利はなく


 ただの一度も理解されない


 彼の者は常に最弱、敗者の丘で咽び泣く


 故に、その生涯に意味はなく


 この体は、

 

 無限アンリミテッド)のスライムで出来ていた 」



 すると不思議な出来事が起こった。

 空間が(ゆが)み、景色が移り変わり、新しく世界が構築されていく。


 さっきまでは快晴だった空が黒く染まり、夜の闇におおわれていたのだ。

 だが、辺りの様子を視認できるほどにこの場所は明るい。

 あるものが上空から地上へと光を照らすように射している――それは水滴上のスライムの形をした蒼い月だった。


 地上は隙間なく緑色に染まっている。

 それは、一つ一つが四枚の葉に裂けている四つ葉のクローバーに似た植物の集まり。

 その様は大地の上を緑色の絨毯(じゅうたん)が敷かれているようだ。


 そして、何よりも目を引くのが天にも届かんと高く(そび)え立つ大岩。

 それは近くで見るとあまりにも大きいため気がつけないが、距離をとって全体を見渡すと人型の形をしている。

 人の形をしているが、それは生を一切感じさせず、肉がなく骨だけ。

 その上から隙間だらけの体を隠すようにローブを羽織り、死の象徴ともいえる大鎌を手に携えている姿は死神の彫像だった。



「くそっ、いったい何がおきやがった?! ここはどこだ? お前、なにをしやがった!!」


「おい最弱野郎、ここからとっと出しやがれ!!」


「くっそ、薄気味悪い場所だ。あの女はどこにいきやがった?」


 唐突の変化に男達はパニックを起こしながら怒声を上げてスライムを睨み付ける。

 そんな男達を一瞥(いちべつするとスライムはぴょんと跳ねると叫んだ。


無限(アンリミテッド)のスライム。これは俺にゆるされた、たった一つの固有能力(チカラ)だ。見せてやろう、これが最弱の戦い方だ!!」


 スライムが全力で男達に向かって――ではなく、正反対の方向に全力で飛び跳ねる。

 全力の一撃は死神の彫像をした大岩に向かって放たれたのだ。

 死神の彫像はビクともせず、スライムは自身の攻撃にダメージを負って傷つく。


「あいつなにをやっているんだ!? 気でも狂ったのか?」


 男達が疑問の声をあげた直後、唐突にスライムが体をプルプルと震わせると――二つに分裂したのだ。

そして、地面に生えている四つ葉の植物を(むさぼ)り食うと、傷を負っていた体がみるみるうちに回復していく。

 そう、この植物の正体は薬草と呼ばれ、食した者の傷を癒やすという変った力を持つのだ。

 

 傷が癒えるやいなや、また死神の彫像に向かって今度は二匹で突進する。

 同様に自身に傷を負うと、体をプルプル震わせて四匹に分裂した。

 それが何度も繰り返され、四匹が八匹に、八匹が十六匹とその規模をどんどん膨らませていく。


 やがて、あのビクともしなかった天にも届かんと聳え立つ死神の彫像が揺れ始めた。

 一匹、一匹は最弱でも、その数が万を超えたならどうだろうか?

 気づけば(おびただ)しい量のスライムが辺りを埋め尽くし、一つの海と化していた。


 恐ろしい数のスライムが死神の彫像に突進する度にヒビが入り、大地が世界を揺らす。

 そして、ついに死神の彫像が限界を迎え、形を維持することを放棄して――崩壊(ほうかい)した。


 この世界に連れてこられた男達は、その奇っ怪な光景に目を奪われて全員が口を阿呆(あほ)みたいに大きく開けて驚愕(きょうがく)している。

 そんな男達に万を超えるスライムの視線がいっせいに突き刺さった。


 ――――次はお前達だと。

 


「小便はすませたか? 神さまにお祈りは? 最弱(スライム)の前でガタガタふるえて命乞いをする心の準備はOK?」


「ま、まて、待ってくれ!! 俺達は二度とあの女に手をださないから……許してくれ」


「ママ、助けて……」


「な、なにが欲しいんだ?! 金か? 女か? 欲しいものはなんだってくれてやる! だから命だけは勘弁してくれ!!」


「い、イヤだ! 童貞のままで死んでたまるかっ!!」 


 数十にも及ぶ男達の命乞いが辺りに響き渡る。

 その表情はどれも真っ青で、後悔と恐怖に(ゆが)んでいた。


「おまえ達は、そうやって命乞いをしてきた弱き者達の願いを、一度でも聞き届けたことがあるのか? いや、答えなくていい。その苦い表情を見れば分かる。なに、巡り巡って自分達の順番が回ってきただけだ。さあ、ここでお別れだ。――最弱スライムの海に呑まれて溺死しろ!」


 その言葉を皮切りに、スライムの海が男達を呑み込んだ。

 男達は必死に手に持っている武器で抵抗する。


 一匹一匹は最弱だ。一振りすれば十匹は消えていなくなる。だが、それは無駄な抵抗にすぎない。仲間(スライム)の屍を乗り越えて、空いた隙間はすぐに埋まる。

 数百にも及ぶスライムが犠牲になった。


 だが、それも十秒にも満たない短い抵抗だ。

 やがて、男達が対処できる許容量を超え、十数人の悲痛な叫びが聞こえると静かになった。



「この勝利のために我が手足となって戦ってくれた仲間スライムたちに感謝を!! 犠牲となった全ての思いに感謝を!! エル・プサイ・コングルゥ」


「プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルゥッ!!」


 海がプルプルと波打ち津波となる。

 数万を超える最弱達の勝利の雄叫びが世界にとどろいた。




 この日から世界は大きく変る。

 弱者が強者に(しいた)げられる世界。だが、そこに弱者よりも最弱の存在が世界に牙を剥いたのだ。









 

  

『この物語はフィクションであり実在する人物、団体、事件、その他の固有名詞や事象などとは何の関係もありません。嘘っぱちです。どっか似ていたとしてもそれはたまたま偶然です。他人のそら似です。え? もう一度言うの? この物語はフィクションであり実在する人物、団体…………』


まず始めに、更新遅れていて申し訳ありません!

いざ、PKどもどう料理してやろうか!ヒャッハーって書いてたら、突如スライム師匠の妄想が邪魔してきて、なかなか本編を書けないので、先に妄想を書きました。300文字くらいで終わらせるつもりが、10倍の3000文字オーバーとなり唖然としております。


実は五作品のアニメネタの台詞が混じっていたのは気がついたでしょうか?


分かった方は作者と趣味が合うと思います(笑)

よければ感想欄などで、答え合わせなど頂ければ嬉しく思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一日一回、ポチッとしてくれると嬉しいな
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ