亮太の初めての学校
ガヤガヤとした音が響きわたる。
こんなにも、笑い声で包まれた騒がしさの中にいるのはいつぶりだろうか。
亮太は、そんなことを思いながら目を開けた。
そこは、箱のような部屋だった。その中に、大勢の自分と同じぐらいの歳頃の男女が、収容されているのである。
それが、『がっこう』という寺子屋のような場所だった。
「あ、やっと起きた。もう昼休みだよ。ここは、眠る場所じゃないんだけどなぁ。」
「・・・すまん。あ、すみません。」
一人の女子が、亮太に話しかけてきた。
女子は、この箱の中で一番偉い『きゅうちょう』という役職にいる人だった。
「別に敬語じゃなくていいよ。・・・相模君だっけ?来たばかりで何も分からないでしょ? 学校案内してあげるよ。」
そう言って女子は笑った。朗らかな、綺麗な笑顔に亮太の顔はみるみる赤くなっていった。
・・・三百年前には、絶対に見ることのできない笑顔だった。
「・・・あり・・・がとう。」
その顔を隠すように亮太は頷いた。
その心の中の葛藤を知ってか知らずか、女子はもっと屈託のない笑みを浮かべた。
「よかった!!じゃあ放課後案内するよ。
・・・あ、あとさ、一つ言い忘れたんだけどさ、」
「?」
「ネクタイ、結び方違うよ。それ、ちょうちょ結びだよ。」
そう言って女子は、亮太のネクタイを指さした。
すると、この部屋にいる全員が大笑いした。
・・・今までで、一番恥ずかしかった。
放課後になり約束通り案内してもらうことになった。
「よし、じゃあ案内していくね。」
「よ、よろしく。あの・・・」
「なに?」
女子が首をかしげる。
「名前、何?」
それを聞き、女子はプッと吹き出した。
「あはは。なんだ!そんなことか!びっくりしたー。すごいむずかしいこと聞くのかと思った!
私の名前は、白江咲良。改めて、これからよろしくね!」
咲良がまた笑う。その度に、亮太の心臓はドキドキと高鳴ってしまった。
「じゃあ、案内を開始するね!付いてきて!」
咲良は廊下の奥を指さして歩いていってしまった。
亮太は、この時間がずっと続けばいいのに。と思いながら咲良の後に続いたのだった。
to be continued・・・
二話目です。
三話目は、学校案内から始まります。
続けて読んで頂けると幸いです。(あとコメントも書いて頂けると・・・笑笑)
楽しんで頂けたら幸いです。