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再会と始まりの言葉

お待たせして申し訳ございません。

短いです。(;ω;)


腕の温かさも、シトラスの香りも知らないです。



でも、しっているです。



わかったです。





「……シリル、、」


わたしの呟き声に反応した腕が痛いくらいに抱き締めてくるです。

やっぱりシリルです。シリルです。シリルです。



う、ゔゔぅ〜〜っ。



目からポロポロ涙が出て止まらないのですよ。

流れ落ちる涙が心にポッカリと空いた隙間に入り込んでだんだん満たしていくです。

寂しさが無くなった代わりに別のあたたかい何かが胸の奥から込み上げて、涙が止まらないです。



「………マスター…やっと、やっと…っ」



言葉を詰まらせたシリルの声に堪らず振り向けば、フードの下から現れたのは絶世の美形さん。

銀色のフレーム眼鏡の下、漆黒の瞳から透明な雫を落としながら、これ以上ないくらい幸せな顔で微笑んでたです。


「シリル、、」


初めて見る涙がとても綺麗で雫を受け止めようと伸ばした手を急にシリルが引き、そのままわたしごと身体を移動させた瞬間、



シュンッ



と鋭い風をきる音がして、ちょうどシリルの頭があった辺りを何かが横切った後、誰かの舌打ちが聞こえたです。


「おまえーーっっ!! 抜け駆けしたなっシリルっ! マスターが見つかったら連絡取り合う約束だっただろ!!」


いきなり現れたフードを被った小柄な人物は、手に湾曲した大きなカトラスを持ちながら悔し気に地面をダンダンッと踏んでるですけどーーあれ?


「…はぁ…やれやれ、もう見つかってしまいましたか。 早過ぎますよ」

この声は。

「あんたが超ド最っっ低な奴ってのは、よーく知ってた「…バッツァ?」…け…ど…あ、あ、」

勢いよく取ったフードから零れ落ちる銀糸。

わたしより一、二歳幼い顔立。 琥珀色の瞳をまん丸に開け、グシャリと顔を歪めたです。

「マスター! …っ、アンタ今まで何処に居たのさっ、み、皆んなで探して、、急に居なくなって、っっ、」

ツンデレの意地っ張り屋さんで、滅多なことでは泣かないバッツァが声を詰まらせ涙を流してるです。

ごめん、悲しませてごめんです。

でも会えて嬉しいのですよ。


「全く、皆んな協調性に欠けるよね〜。……おかえり〜、マスター」

泣きながらバッツァたちを抱きしめてると、どこかのんびりとした声が聞こえると同時に、ふんわりとわたしを抱き締めて来るです。

「…ソーカ……ぐすっ…ご…ごめんです………ただいまですよ」

青い髪の儚げな印象の青年は、わたしの言葉に嬉しげにふんわりと笑うと、おかえりと呟き少しだけ震える手でソッと髪を撫でてくれるです。


四百年という月日がどれだけ長いか想像もつかないです。 それでも探していてくれた家族達ファミリーにゴメンとありがとうをずっと、彼らが安心するまでずっと言い続けるですよ。


でも心の中で決意した思いは、ソーカの言葉を聞いてちょっとだけ早まったかな、と思ったです。



「ずっとずっとずーーっと待ってたんだよ〜。 でもあんまり遅いから外に出て探してたんだ〜。 もう迷子になっちゃダメだよ?」

「はい、です」

「今度居なくなったら〜、鎖で繋いで〜 家に閉じ込めて〜、一歩も外に出さないからね〜」

………あれ?こんな事を言うキャラでしたですか?優しいお兄さん設定何処いったです? おーい、ソーカが病んでるですよー。

「…それもいいですね。 後ほど検討しましょう」

「もともとマスターは敷地内から出たくないっていつも言ってたからいいんじゃない」

…全員病んでたです。

でも怖いはずのセリフに、離れ離れにならないならそれでもいいかな、と一瞬でも思ったわたしも病んでるのです。


でもいいです。


だってもう寂しくなんてないです。





「…フ、ファム姉ちゃん…」


トム君?…ゔゔ??

皆んなギュウギュウと抱き締めるので、体が動かないのですよ〜〜! いい加減は〜な〜す〜で〜すぅ〜〜!!

ムギギギギッ、と何とか首だけ後ろに向けば、トム君たちが呆然とした顔でこちらを見てるです。 中には助けようかどうしようかと迷ってる人もいるです。


…うちの家族ファミリーがお騒がせして申し訳ないのです。


現在進行中で結界の向こうではまだ皆さんが戦ってるですのに。

今はまだ、再会を懐かしむ時ではないですね。



落ち着くためにギュッと目を閉じれば、体を締め付けていた腕が急に無くなったです?

目を開け家族ファミリーの方を見れば、目の前には並んで片膝をつき、こうべを垂れている三人の姿でした。



ーーああ、懐かしいのです。



わたし的にはほんの数ヶ月前な筈なのに。



皆んな特別なイベントの時には、こうしてわたしの指示オーダーを待ってたですね。



ゲームを始めたばかりの頃は、ステータス画面からいちいちタップして攻撃コマンドを実行していたです。

レベルが上がるにつれて、音声認識で命令を出来るようになって。




あれはいつの頃だったですか。



確か言い始めたのはエカテリーネ姉さんだったと思うです。

その言葉はいつしか仲間が全員集まるような特殊イベント攻略のみで使われるようになり、仲間内では特別な合言葉ごうれい になってたです。



今では多分わたししか使わない合言葉。



胸を過ぎったのは懐かしさなのか、もう戻れない寂しさなのか。




でも今はーー。






「rock 'n' roll《さあ、みんなやっちまいな!》ですよっ!!」



「「「Yes、Mymaster!!」」」










ロックンロールの言葉には色々解釈がありますが、ここでは『やっちまいな』、『はじめようぜ』的なものを使ってます。

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