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<prologue>
……忘れられない、どうしても忘れることのできない夢がある。
それはとても幼い頃に見たものだから、正確にいつ見たのかは覚えていない。けれども、何故だかその内容は細部まで妙にはっきりと記憶している。
目を閉じれば今でも鮮明に思い出せる。
脳裏に焼き付けられた光景。耳にこびり付いて離れない誰か大切だった人の言葉。匂い、感触、場の空気。「今」よりもリアルに感じられてしまう世界。
それは季節が何度と巡ろうとも、決して消えない呪いのように。
……いつまでも。