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*終わりの覚悟

 キリアの気配が消え、再び虫の声が辺りに響く。ベリルは去った危険に、張っていた気を緩め溜息を吐き出した。

 目を閉じ、心を落ち着かせるために何度か深く呼吸してゆっくりと目を開く。

 エメラルドの輝きは損なわれる事もなく、暗い宙を見つめた。その面持ちに感情の色は示されてはいない。

 自身への脅威が無くなった訳ではないが不安がっていても仕方が無い。

「そろそろ終わりか」

 震えの治まった手を見つめ、薄い笑みを浮かべる。

 受け入れがたい運命は唐突に訪れるものだ。奴が手に入れたその情報を、どうするのかは解らない。

 それでも、今まで通りとはいかないだろう。覚悟していた終わりのときが来ただけだ。むしろ、よくもここまで好きに生きてこられたと考えるべきか。

 私は、自分の持てる力を充分に活かせただろうか。それだけが気掛かりだ。

 ──そのとき、地面のこすれる音に振り返る。そこで、ようやく人がいた事に気がついた。

「ミレア」

 岩陰にでも隠れていたのか、よくも気がつかなかったと自分のふがいなさに眉を寄せる。

「ベリル……。あなたは──!?」

 ふと目を覚まし、見かけたベリルの背中を追った先に現れたキリアという男が怖くて岩陰に身を隠したミレアは、聞こえた会話に自分の耳を疑った。

 会話の内容の半分は理解できなかったけれど、ベリルが普通の人間でないことだけは、はっきりと解った。

「聞いていたのか」

 奴はミレアの気配に気付いていたのだろうか。正体を知られた事よりも、それが気になる自分に呆れる。

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続編
【箱庭の螺旋】
SF
明かされるベリルの過去


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