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*馴染み

 ──戦闘を放棄した男たちの武器を全て奪い、手際よく拘束していく。そうして、張り詰めた空気は落ち着きを取り戻した。

 しかし次の瞬間、

「各自、行動しろ」

「イエッサー!」

「移動準備、急げ」

「掘った穴はちゃんと埋めておけよー」

「明け方近くで良かったよな。こんな所に昼間に埋まっていたら、そのまま墓になってたぜ」

「そのときはこんな作戦、とらねえよ」

「それもそうか」

 数人が塹壕用ざんごうようシャベルを持ち、穴を埋めていく。

「なんだ?」

「これは一体?」

 アレウスとミレアは現状を理解出来ないまま、突如として活気づいた場に目を丸くした。

 ベリルを見やると、彼はさしたる驚きもなく、近づく男たちにそれぞれ握手や挨拶を交わしていた。

 仲間であろうことは窺えたものの、こちらにひとまずの説明はあってしかるべきなのではないかとアレウスは顔をしかめる。

 ミレアにとってはまるで高い壁のように大きい者も多く、ベリルの仲間だと解っていても素性の知れない相手では多少の怖さがある。

 それから、数人が離れた場所にあるジープやトラックにかけられていたシートを外してエンジンをかけた。

 乾燥した大地はすっかり太陽の光に包まれ、まばらに生えている背の低い木々や大きめの岩に、無いよりはましだと寄り添い隠れるように車を寄せて駐める。

「ベリル!」

 先ほどハンドガンで脅しをかけた男は、懐かしい友人に再会した笑顔でベリルに手を上げる。

「ジェイク」

 同じくベリルも笑みを返し、成功の喜びに互いの拳を軽く当てた。

「電話のやつか」

 ベリルが呼んだ名前にアレウスは眉を寄せる。

 ガタイの良い三十歳ほどの男は無精髭ぶしょうひげたくわえ、ブラウンの髪はバサバサで彫りの深い顔立ちに青い目が小さくも見える。

 茶褐色のミリタリー服を着こなし、それがジェイクという男には実に相応しく思えた。ベリルに比べれば、あれこそが傭兵なんだろうと納得する。

 男と並ぶとベリルはまるで子供のようだが、青年の体はそれなりに鍛えられていて小柄ではあるものの決して小さいという訳ではなかった。

 仲間の中にあって、ベリルの存在感はその体格にあまりあるほど一際ひときわ、強烈に放たれている。

「お前の読みが当たったな」

 ジェイクは褒めるようにウインクし背中をポンと叩く。ベリルは敵の動きを予測しジェイクたちに待機場所を指示していた。

 しかし、ここまでぴたりと当てたのは驚きだ。本人はこの結果をどう思っているのか、その表情からは読み取れない。

「こいつら、どうする」

 拘束した男たちをあごで示す。

「ふむ」

 ベリルは男たちを一瞥していき、一人の男の前にしゃがみ込んだ。

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続編
【箱庭の螺旋】
SF
明かされるベリルの過去


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