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お寿司の為に

「お前のせいで大量に作らなくてはいけなくなったわけだが、何か申し開きはあるか?」


巡、狐、葵、動物たち十二体。それにここまで来たらサフィも同じようなものの方が良いだろうと、計十六人前を作らなくてはいけなくなった巡。そのきっかけを作った狐に、大量生産に適し、なおかつ美味いものが何か考えさせる。


「美味いものか。ラーメンやパスタはどうじゃ?あれは一度にたくさん作れるって前に言うておったじゃろ?」


「パスタは言ったがラーメンは言ったか?どちらにしろ、茹でるのに時間が掛かるし、トッピングが無いと物足りない感が残る。それにあれだけの数が最低必要数であり、おかわりとかされたら倍で足りるか」


「そんな無遠慮におかわりする奴なんていないじゃろ」


「どの口が言うんだよ」


自分の事を棚に上げ、動物たちに根拠のない信頼を得ているようだが、初対面から大盛りを何杯もおかわりし、その後しばらく大人の何倍もの量を食べてきたやつは言う事が違うな。


「ラーメンでもパスタでも、それこそうどんやそばでも、麺類は専門店のお店の厨房を借りても時間が掛かる。もっと気軽に大量に作るためには、全自動とまではいわないが、半自動で作ってるようなものがいいか」


半自動で食べ物を作っている店って何があるか。パッと思いついたのは回転寿司だ。何かで見た時、切り身は店員が捌いていたが、シャリは機械だし巻物も機械で作っていた。何より、作ったものをレーンに流すだけで勝手に食べてもらえるなら、これほど楽なことはないんじゃないだろうか。


「欠点としては、生で食べられるほど新鮮な魚が残っていないこと。たとえ残っていても均一には捌けないこと。それと機械の動かし方を知らないこと。座り順で不満が出そうなことも問題か」


巡の回転寿司の呟きを拾い、狐が反応を返す。


「魚かの?新鮮なものとなると、海で獲ったほうが早いかもしれぬの。妾も久しぶりに海を見たいと思っておったし、そこの畜生が役に立つ時が来たぞ!」


狐の言葉に即座に反応し、狐の頭に移動し爪を立てる紫猫。

そして始まる狐と猫の小さく騒々しい争い。


「美味しいものを食べたいなら協力は必須か。頼んだら手伝ってくれるか?」


喧嘩している狐よりは手伝ってくれるかもしれないと、わずかばかりの希望を持って葵たちの元に戻る。


「早いね。早速狐が自慢するほどの料理を振舞ってもらおうか」


何も持っていないのを分かっているはずなのに、料理を出せと言ってくる葵に少しイラっと来た。

そして葵がそんなこと言うもんだから、動物たちも料理が出来たんだと大盛り上がり。

無いと言って攻撃されなきゃいいけど。


「まだだ。これだけの数が満足できる食材が無くてな。美味し物が食べたいなら食材調達を手伝ってくれ」


巡がそう告げると、騒いでいた動物たちは静かになり、葵の方を向く。

どうやら葵の返答を待っているようだ。

動物たちの協力は得られそうだと思っていると、葵が困ったように告げる。


「そうしたいのはやまやまだけど、僕たちは守護者でこの建物の外に出られないんだ」


「嘘つけ。葵は他の動物たちと同じか分からないから、本当に出られないのかもしれないが、動物たちは出られるだろ。猪が壁壊して外に出たの目の前で見てんだこっちは」


巡がそう言うと、黄色い雷模様が入っている小さな猪が青い眼キョロキョロと彷徨わせているのが見える。

葵に見られていることが分かったのだろう。足元に駆けていき必死に頭を下げている。


「大量に作るためには人手が必要なんだ。誰かが食べている間に他の奴を待たせるのも嫌だろ?だからといって全員分揃うのを待っていると料理が冷める。だから、みんなで食べられるように協力してくれ。葵の分だけでいいなら、一人分しか増えてないし、協力は必要ないけど」


巡がそう言うと自分たちの分が貰えないと思ったのか、動物たちは我先にと葵の元に集っていく。紫猫だけはマイペースに巡の頭の上だが、他の子たちの手前、お前だけにあげるというのも出来ないからな。


自分の分だけなら余計な手が必要ないと聞いたときに少し嬉しそうな感じを出した葵だが、詰め寄られた動物たちの圧に負けたのか、最終的には動物たちの協力を許可した。

しかし、自分は世界の守護者としてこの場所から動けないという事で、食事場所はこの建物の中という事になった。

出来上がりを持ってくるには入り口前の黒い生物たちが最大の障害になりそうだが、この子たちが居れば楽に蹴散らしてくれるだろう。


「それじゃ食材調達に行くか」


改めて動物たちを連れ一階ロビーまで下りる巡一行。

寿司にするなら魚が必須だが、果たして誰が海まで行って魚を取って来てくれるのか。


「とりあえず空を飛べるものたちは魚を獲ってきて欲しい。俺も捌くの初めてだから数があると練習出来て美味い物が提供できると思う。種類は鮪や鮭、海老や雲丹、帆立に蟹なんかもあれば最高だが、俺の腕によりゴミになりそうだから数だけは獲って来てくれ」


指示をするとすぐさま飛び立つ空を翔る者たち。


「次に冷凍の海鮮を確保するか。さっき行った子たちが獲って来れない可能性。獲って来たものを俺が全てダメにする可能性がある。だから、冷凍保存されている物の確保が必要だ。これは嗅覚の強いものと数で人海戦術を出来るもので行ってもらう」


赤鼠の無限増殖には期待したい。嗅覚の鋭いものを引き連れ行ってもらう。


「卵もあれば種類に幅が出来るか。養鶏場は近くにあったか?人が居なくても元気に育っていればいいが」


卵を穏便に獲って来れるものたちが向かう。蛇は行って大丈夫か不安があるが、何とかなるか。鳥たちを襲うわけじゃないから我慢してほしい。


「白猿たち力自慢は周囲からテーブルや大量の炊飯器などを持ち込んで欲しい。調味料だったりは寿司屋の中にあると思う。余裕があれば回転寿司やの機械ごと持ち込んでもらえたらありがたい」


ひとまず必要だと思うものをメモし、白猿たち力自慢に葵の待つ建物内に運び込んでもらう。

あと、人型の白猿には寿司自体の準備にも役立ってもらいたい。人と変わらぬ賢さがあるなら教えれば寿司を握ることも出来るかもしれない。魚を捌く動画を見せたら、捌けるようにならないか?


「残った俺たちは他のこまごまとしたものを得ながら、葵が肉が良いというかもしれないから、冷凍の肉でも確保しに行くか。肉寿司なんてものもあるからな」


紹介されていない者たちも、流れで指示を出していることで仲良くなれそうな雰囲気を感じながら、ご飯の為に動き出す。


「握りより手巻きの方が楽か?」

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