世界誕生秘話
それじゃあこの世界が創られた理由から話そうか。
端的に言えば、この世界が出来た理由は君の為だ。
この世界の創造主が、とある理由で時間を巻き戻していた。しかし、その巻き戻しに限界が来た。
巻き戻し過ぎて、原形が無くなりかけてしまったんだ。
昔のビデオテープみたいだなって?
そうだね。巻き戻しなんて普通じゃ出来ない大掛かりなことだ。
時間を巻き戻した時に擦れて消えてしまう部分が出来る。その消えた部分を書き直すことで、望む結果になるようにする。これが時間巻き戻しになるんだが、書き直す前には戻せない。それこそ、書き直した部分が消えない限りね。
そうやって何度も何度も巻き戻して、最後の世界に居たのが今の巡君になる。
で、どうして巡君だけこの世界にいるのかという事なんだけど、正直分からないんだよね。
僕はこの世界の創造主に、守護者予定者が逃げたから代わりによろしくって言われただけだから、君がここにいる理由までは分からないんだ。もしかしたら、狐が何か知ってるかもしれないね。
この黒い生物に関してだけど、これは僕が生み出した。守護者、つまり僕を守れって命令を出してる。
だから君や、そこの犬に襲い掛かって行ったんだ。もう察してると思うけど、狐は守護者予定者だった。だから襲われなかったんだね。
黒い生物はそのほとんどを僕が生み出した。動物型って可愛いでしょ?特に気に入ってるのはこの兎や、そこの猫なんだけどね。まさか、君に懐くとは思わなかった。今も帰っておいでって念じてるのに、全然聞いてくれないし、酷いよね。僕が親みたいな物なのにさ。
あ、鬼だけは僕じゃないからね?鬼を作ったのはあの狐。あの狐が眠っているときに勝手に作られたものだと思う。無意識に制作したから、角があり、力が強くて、好戦的なんて鬼と言えばみたいな特徴になったんだね。もしもっと時間があったら、つまりあの狐がもっと眠っていたら、無意識で別の物も作っていたかもしれないね。それこそ、天狗や九尾、鬼でももっと強い奴とか出来ていたかもしれないね。風神雷神って知ってる?あれも鬼だからさ、もしあれらが創られていたら、君は守護者に辿り着けずにこの世界で一生を過ごすことになっていたかも。台風や雷に勝てる人なんて、僕は知らないからね。
そういう意味では、狐が早く起きてよかったね!
この建物の中と外で黒い生物に違いがある?
そうなんだよ!僕が丁寧に作ったのはこの中の子たちでね!外の生物はこの子たちの劣化と言えばいいのか。量産するときに少し情報が乱れたらしいんだ。そう!さっきのビデオテープと同じ!あれは巻き戻しだけど、こっちは複製って感じ。増やすときに同じ箇所が乱れたから、同じように少しおかしい状態で増えたんだ。だから、同じ種で連携は出来るし、相性が良ければ他の種を利用という形で連携が出来るけど、出来ないものは出来ないし、仲間意識も無いから他を巻き込んで君たちを襲うこともあった。
馬?あぁ、他のもの巻き込むように突撃してたね。あれは、同じ種以外を仲間と認識してなかったんだね。少し違うのが、猪であれは他の種を自分たちの仲間と認識してたんだ。そのうえで、自分たちの突撃くらい避けるだろうと楽観的に突撃を繰り返したんだ。そこらへん、外の黒い生物でも考えてることが違ってたんだ。蛇は他を利用して静かに近づいてたし、
猫は死角を狙うのが好きだし、猿は怯えて距離を取ってただろう?
中の子と全然違っただろう?それが情報が乱れる前と後ってことだね。
そのまま複製されてたら、いくら狐に鍛えられてても、猿の集団に襲われたときに生き残ることも難しかっただろうね。もちろん大きさが違うのも複製の欠点だから、大猿が外に何体もいて、囲まれたらって考えてよ。厳しいでしょ?
そもそも、中の子たちは君の為に調節したんだ。僕の役割は世界の守護者であり、君が外に出ても大丈夫かを判断する者。だから、君が僕の前に現れたことで、君はもう外に出ても問題ないと僕は考えている。
だったら早く元の世界に返してくれって?
まぁ焦らないでよ。まだ話すことがあるんだから。
さっきも言ったけど、君が居た世界は、ある人物が巻き戻しを繰り返した世界の最後の世界だ。そして、それ以上巻き戻しが出来なくなった。けど、その人物にとって望む結果は得られなかった。
望む結果が得られていないけど、同じ方法は使えなくなった。同じ立場に立ったとき、君ならどうする?
そう!同じ方法が使えないなら、別の方法を考える。そうだよね。
その人物も別の方法を考えたんだ。そのうえで実行した。
その結果出来たのがこの世界で、この世界は、いわゆる待機場所なんだ。
何の待機場所だって気になるよね。
それはその人物が実行した別の方法の結果、君が居た世界と似たようで別の世界になってしまった。巻き戻しのように、少しの変化が繰り返されたという感じではなく、根本から変わってしまったんだ。
そこで、その世界でも生き残れるようにこの世界で鍛えるのを目的で作られたのがこの世界なんだけど、それだったら、君の居た世界の全てがこの世界に居ないとおかしいじゃない?君だけがいる理由は本当に分からないんだよね。
だから、君がこの世界から出たときに行く先は、君が元居た世界ではなく、君が元居た世界を巻き戻したうえで、別の世界と合体した世界なんだ。だから君が知っていることもあるかもしれないし、全然知らないこともあるかもしれない。
少しだけ新しい世界の事をするなら、君の世界だと妖怪は幻想の物として扱われているけど、その新しい世界だと実在するからね。この世界で戦った鬼との戦闘経験、役立つね!
元の世界に帰る方法はあるのかって?それは僕でも分からないよ。でも、新しい世界にも僕みたいに世界の守護者がいるんじゃないかな?おそらく元の世界にも居たと思うし。だから、どうしても君が元居た世界に帰りたいというのなら、世界の守護者を探し出して聞いてみるしかないんじゃないかな。
他に聞きたいことは無いかな?
無ければ僕の用事を聞いて欲しいと思うんだけど。
もちろん、この後に聞きたいことが出来たら、気軽に聞いてくれていいよ。
無い?そう。それじゃあ。
「最後の試練と行こうか!」
微笑みはそのままに、刀に手を掛け、圧を発しながら葵少年はそう言った。
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