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葵と名乗る少年

「狐が誘導してまで会わせたい奴は一体どんなものかな」


「な、何の事じゃ!妾は上に居るヤツの事なんか知らんぞ!それに誘導などしておらん!岩場に行くときに本当に人影が見えたんじゃ!じゃから何の手がかりも無くなったお主に提案しただけじゃ!」


後ろをついて来るけもみみ幼女がごちゃごちゃうるさいが無視して階段を上がる。

全ての守護者を倒し、最後の戦いのために体調を整えた昨日。しっかりと休息をとり、朝起きた時は気力十分、体力回復。その回復した体力を朝から消費したくない。


「無視するでない!」


「猫、行け」


体力を消耗しないために、頭の上でくつろいでいた猫を幼女に投げる。

猫は軽やかに幼女の頭に着地し、すぐさま強パンチを繰り出す。ある程度髪にへこみを作った後、元気に穴掘りを開始した。


「や、止めるのじゃー!妾の、妾の頭に穴が開いてしまうじゃろがー!」


幼女の意識が猫に向かったのでこれで良し。

騒がしい二匹を放置し、サフィと並んで最上階に足を踏み入れる。


「ようやく来たね。待ちわびたよ」


最上階で待っていたのは、黒髪に黒目の少年。白い和装で胸元当たりで紐で結ばれいる着物を着ている。腰には刀と見られるものが二振。そして足元にはいつか上階に逃げていった真っ黒な兎がじゃれついている。


「なかなか来ないからこの世界が気に入ったのかと思ったよ。急に回って来た仕事で、返れないかと思った。それもこれもあの狐が逃げ出したから……って、狐は?一緒に居たんじゃないの?」


困ったような顔から、急に眼から光が無くなりブツブツと呟き始めた。と思ったら、一瞬憎悪に染まり、顔を上げたと思ったら、困惑の顔。

この少年の表情の移り変わりが怖すぎる。顔が整っている人の憎悪の顔とか一番怖いんだから、本当にやめて欲しい。自分に向けられたものじゃないと分かっていても、体がビクッと反応してしまったよ。


「これは強敵だ……」


「わぅ」


サフィと共に戦慄していると、後ろから階段を駆け上がって来る音共に何やら叫んでいるのが聞こえる。


「妾を置いて行くなー!!!」


最後の段差を特大のジャンプで飛び、巡たちの目の前に着地したけもみみ幼女。そして、巡の頭の上に着地する猫。


「全く!畜生を妾に投げるだけでなく、そのまま置いて行くとは何事かっ!?」


幼女が巡たちに文句を言っていると、扇を仕舞い刀に手を置いた少年が、にこやかな微笑みを浮かべながら近づいてきたのが見えた。先ほどの怒り、憎悪から目の前の幼女が目的だと分かる為、何をしても巻き込まれないよう幼女の正面から外れたうえで少し距離を取る。


少年が幼女の後ろに立ち刀を握ったと思った次の瞬間幼女が吹き飛び、階段から転げ落ちた。


「さっ!君も聞きたいことがあるだろう?奥で座って話し合いをしようじゃないか」


幼女吹き飛ばしてこの笑顔。あの狐一体何をしたんだ。知っている風ではあったけど、この少年を怒らせることをしておいて、長い間放置。あの怒りはごもっとも。しかし、刀を振っている瞬間が見えなかったが、鞘で殴ったで合ってるよな?吹き飛んでいるし、斬っては無いと見ていんだよな?


階段を転げ落ちたけもみみ幼女を心配して、下を覗き込む巡。


「何をしているんだい?こっちで話し合いをしようじゃないか。どうせ狐はあれくらいじゃ死なないし、この世界の事とか知りたくない?」


「それは知りたい」


少年からの思わぬ提案に狐の事など忘れたかのように踵を返す巡。

狐の事は確かに心配だが、斬られたわけじゃないのなら、猫に殴られても無事だった狐を信じよう。

それに、知り合いのような少年が死なないと言ってるなら、死んでいないのだろう。きっと問題ない。


「それじゃ、まずは自己紹介しようか。僕の事は葵と呼んでくれ。この国を守るために、この地で眠っていたんだけど、急に起こされてね。どこかの逃げ出した狐の代わりに、この世界の守護者を任されたんだ。だから、僕はこの世界の事なら大抵の事を知っているよ」


「私は巡。ある日目覚めたら人の居ないこの世界に居ました。元の世界での約束を果たしたく、元の世界に戻る方法を探しています」


葵が世界の守護者だというのなら、神様みたいなものなのだろう。悪い印象を持たれて元の世界に帰ることが不可能になると困るし、丁寧に接しておこう。怒らせて狐の二の舞になりたくないしな。


「固いなー。もしかして、僕が怒って狐と同じことすると思われてる?そんなことしないよ?あれはあの狐のせいで僕の仕事が増えたからだよ。そのくせあいつは自由を楽しんでる。そんな事許されて良いと思う?思わないよね!一発殴らないと気が済まないよ。斬らないだけありがたいと思って欲しいよね!」


この少年、見た目はおとなしそうな感じなのに、中身はだいぶ武闘派だった。


「本当にあの狐のせいで。僕はこの国を守るためにこの地で眠っていたのに、無理やり起こされたあげく、守りたい国じゃ無い所を守れって言われて。しかも、本来守るはずのあの狐は悠々と出歩いているしむかつく。今からでも斬って良いような気がしてきた」


一発殴って気が済んだと思ったが、全然済んでない。しかも今度は本当に斬りそうだし。

刀に手を掛け階段の方に行こうとする葵を止め、気を逸らすために話し掛ける。


「葵さんはこの世界の事なら何でも知ってるんですよね?だったらこの世界の事を教えてくれませんか。どうして人が居ないのかとか、その兎もそうですけど、黒い生物の事とか」


すると刀から手を離し、椅子に座りなおしてくれた。狐から話を逸らすことに成功。


(今だけは戻って来るんじゃないぞ!)


狐にそう念を飛ばしながら、少年の話を聞く体制をとる。


「この世界の事かい?そうだな、それじゃあまずはどうしてこの世界が創られたのかを話そうかな。世界誕生秘話だ。面白そうだろう?」


世界が出来た理由を知ってるのは、それこそ神様だけじゃないのか。なのに、この少年はこの世界の守護を「任された」と言っていた。つまり、この少年より上がいるという事だ。

その上がこの世界を作ったというのなら、なぜ自分で管理しないのか。この少年より先に守護者にしようとした狐がなぜ味方になっているのか。その狐が慕うサフィって何なのか。


全ての疑問に答えを得られると思うと、前のめりになってしまうのも仕方ない。

少年が微笑みを浮かべて語りだす。この世界の誕生とそれに隠れた秘密を。

ご覧いただきありがとうございます。


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