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バールのようなもの

大猿に木刀が通じず逃げ出した巡。なぜか幼女化したけもみみ幼女の謎を解明することも緊急性を要すると思っているが、まずは武器。カチカチの筋肉にも阻まれず、攻撃の通る武器を求め外に出ることにした。


「習った剣の技を使える得物だったら嬉しいが、剣以外に使える武器ってあるか?」


「剣技は剣を扱う技じゃぞ?剣以外に使えるように出来とるわけないじゃろ」


「応用も出来ないのか?」


「剣に似たものじゃったら出来るかもしれんのー。木刀じゃから剣術を教えたが、斬れないなら棒術みたいなものじゃしの。もっと長いものを使えば、そのまま威力は上がるじゃろ。鉄の棒でも今よりは威力高いしの」


その辺で手に入る切れるもので、チェーンソーを筆頭に、鎌や鋏、カッターなどを思いついたが、武器として使えそうなものだと、チェーンソーか鎌に鎖を括り付ける即席鎖鎌。

変わり種にサンダー。表面を削るだけになりそうだが、斬れないなら削る。これも選択としてありかもしれない。

コードレスがあるなら丸鋸あたりが最強になりそうだが、どれも剣術なんて使えない。

威力だけで見るなら、ハンマーもある。遠心力を使える大型な物もあるので、ただの鉄の棒より力が伝わりやすいだろう。重さに対応できるかはまた別とする。


「ホームセンターなら新しい武器候補が多くありそうだな」


「鉄の棒ならそこらにもありそうじゃがの」


「俺が想像したのが工具ばかりだったんだよ。広い所ならそれだけ種類があるだろ?だから大型のホームセンター行くぞ」


大狐に変身してもらい、大狐の背に乗り少し離れた大型ホームセンターに行ってもらう。


そこは地上の駐車場で数百台車を止めることができ、立体駐車場も含めると、千台届くんじゃないかと思うほどの広さを持つ場所だが、見えるところになにも止まっていないのを見ると、不思議な感じがする。

人の居ないこの世界に来て、駐車場に車が停まって無い所を見ることは幾度かあったが、ここまで衝撃を受けたのは初めてかもしれない。


「ここはいつ来ても車が多く、止めるところを探すのに苦労したんだ。車が無いのなんて休館日くらいじゃないのか?」


一台も止まってない駐車場を横切り、奥の工具売り場近くの自動ドアをこじ開ける。ここまで大きい建物だとどこに警備室があるか分からないから警報は無視する。音で黒い生物が寄ってきたら、新しい武器の試しに丁度良いと思う事にする。

武器の良し悪しは、実際に使ってみたほうが分かるからな。


「ビービービービーうるさいのー。どうにかならんのか」


「入口壊したからな。警備室が分かれば警報を消せるかもしれないが、分からん。音の発生源壊せばいいんじゃないか?」


「わうわう」


「妾がこ奴と!?全然似ておりませぬ!」


(壊せばと言ったからか)


狐が音の発生源に走って行くのを横目に見ながら、新しい武器になりそうなものを見定める。

思いついたようにチェーンソーにサンダー、丸鋸や金属カッターもあった。木材用や金属用、塩化ビニル用と種類ごとにある為、数が多い。

ぱっと見で使いやすいと思ったのは、やはりチェーンソーだ。バッテリー式の物があり、充電が続く限りどこでも使えるのは良い点。大猿の所でも十分に武器となるだろう。だが、連続使用時間内で倒すところまで行けるのか。そういう点で不安があるか。


「木刀と同じ長さならこれか」


木刀と同じくらいの長さのハンマーを手に取り、少し振り回してみる。

両手で扱っているのにもかかわらず振り回される感覚がある。当然ながら木刀と重心が変わり、扱いが難しい。上から振り下ろすのは自重を使ってやり易く木刀よりも威力が出るだろうが、横薙ぎや柱の攻撃を受ける受け流すは出来そうにない。


(相手に攻撃させないって事なら、防御なんて考えないんだけどな)


それも無理だろう。木刀の軽さ、振りやすさで大猿の攻撃より速く出来ていた防御だが、大猿の攻撃と同じか、それよりも遅いハンマーでは挟み込むことすら出来ないだろう。

そう考えるとやはりチェーンソーか。


「やっと静かになったわい。お主は武器を選び終えたか?このハンマーなんて良さそうじゃが」


警報音を止めた狐が戻ってきて、今まさに巡が戻したハンマーを指し示し、勧めてくる。

それを選ばなかった理由を狐に話し、良さそうと思ったチェーンソーの助言を求める。


「これか。この刃が回転して切るんじゃな?」


興味深くチェーンソーを見る狐の為に、試しに動かしてみる。


「確かによく切れそうじゃが、うるさいの。それに、ハンマーほどではないが重さもある。手元に重心が来ていることから、取り回しは良さそうじゃが、良さと悪さ。どちらが上になるかの」


直接ダメとは言ってこないが、狐の言い方的に使って欲しくなさそうだ。

剣術が全く使えそうにないからか、うるさいのがダメなのか。


選択肢として残しておいて、一通り回ってみる。まだ見ぬよさげな武器候補があるかもしれない。

ここに入ってから真っ先にチェーンソーを目指したから、他を余り見ていなかった。


「他に良さそうなものは」


店内を歩いて回り、武器になりそうなものを探す。


釘を足元にばらまくのはどうか。壁用ホッチキスのガンタッカーは大猿に効くか。一点突破にネイルガンもよさそうだ。

店内を見れば見るほど工具は武器になると思いながら、それでも大猿に効きそうなメインになる物は見つからない。


「これとか良さそうじゃ!木刀とも長さが同じ。全体的に重さが同じで重心も中央寄り。長さが欲しければ長いものもあるぞー!」


狐が嬉しそうに呼ぶのは釘抜きコーナー。

見慣れた長さの小さいものから木刀より長いものまであり、大きめの物から手に取り構えをとる。


(重さは増すか。金属製だから当たり前だが。だが、チェーンソーより取り回しは良さげに感じる)


構えからの素振りを何度か試していると、サフィが警戒を促す様に吠える。


「ちょうどいいところに来たようじゃ」


入り口を見ると黒い生物が三体中に入ってきたようだ。どれも鬼型で、筋肉質なのは大猿と共通している。


(大猿ほど硬くはないが)


鬼型がこちらを見つけ走り寄ってきたところを、剣術の型通り斬っていく。金属製の為、上手く平の部分が当たると斬れる。平でなくとも、重さが増し吹き飛ばすことも簡単だ。


(思ったより使い勝手がいい。それに剣術が仕えるのも)


「型通り出来ておるのー!教えたかいがあった!」


巡の新しい武器が決まった。


(飛び道具も新しくするか?)

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