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飛び道具

黒い生物、飛行型に対する攻撃手段を得る修行は行動中に繰り返された。

鳥型が見えたときに、小石を拾い鳥型に向かって投げる。当てられればその感覚を覚え、力を込めての再現性を高めていく。相手が止まっている状況で当てられるようになれば、わざと近づき飛ぶ間際を狙っていく。

そうして難易度を上げて行き、相手が飛んでいる状況でも当てられるようになれば、狐に乗った状態で小石を投げる。


(高さって結構重要なんだな)


止まっている相手に戻ったのにもかかわらず当てられない。

まずは当てる事が先決と、鳥型以外も見つけ次第石を投げる。遠距離攻撃を始めたことで、不意打ち、先制攻撃は出来なくなったが、相手から来てくれることで体力の温存に成功した。

鬼型は当たっても気づかれることが無いため何度も投げられ、猿型は気づかれると石を投げ返される。犬型は風切り音で気づくのか避けられることが多く、鳥型は的が小さいため当てにくい。


鳥型に当てられるのが三割に届きそうな頃、狐が動き出した。途端に当てられなくなったが、要領は同じ。当てられるようになるまでの繰り返し。

同じく鬼型が一番当てやすく、猿型は狐が走ったことでよりこちらに気づきやすくなり、反撃が激しくなった。犬型は追いかけて来て当てやすくなり、鳥型は全く当たらない。

そして、大狐が走り回ることで鼠型が慌てたように走り出してきたが、猫型がそれを追いかけるため、巻き込まれない様にそちらは放置。

いつかは、瞬発力の高い猫型も、鳥型よりも小さい鼠型も倒せるようにならないといけないが、優先順位があるからな。まずは飛ばれると厄介飛行型の為に、遠距離攻撃を覚えなければ。


「どうじゃお主。そろそろ当てられんと、数が増えてくるころじゃが」


「もうそんなとこまで来たのか」


石を投げ過ぎて、肩をあげるのが辛くなってきたころ、何かの領域を超えるそうで、敵が増えると狐の忠告があった。石を投げた後の処理で、剣術の実戦経験が積めたことで二体、三体程度なら何とかなりそうだが、鳥型だけは未だ投石が完成していないため厳しいか。


「肩が上がらん」


ここまで投げてきたことで、感覚を覚えてきたとこだが、肩を犠牲にするような攻撃方法を続けるわけにはいかない。投石は変わらずに、肩を浪費しない方法を考える。


「その領域を超える前に準備したいものがある」


狐に断りを入れ、ディスカウントショップを探す。

前に食材入手のために入ったとき、アウトドア用品売り場にスリングショットがあったはずだ。

物によるだろうが、石は小さくなるかもしれない。しかし、飛距離、威力、再現性は上がるはずだ。

慣れてしまえば、スリングショットと木刀の二刀流が出来るかもしれない。


ついでに今夜の食料調達だ。

今日は久々に焼肉をしても良いかもしれない。各々で焼いてもらった方が楽できるしな。

バーベキューは匂いで寄ってきてしまう可能性があるため出来ないが、三台四台ホットプレートを使えば、狐の食欲にも間に合うんじゃないかと思う。


「いっそのこと、どこか焼き肉屋に入りセットを使わせてもらうか」


高火力で一気に焼きあげる肉は家庭で出せない美味さがある。

それに、業務用の炊飯器があるはずだし、白飯が尽きることも無いだろう。

狐には肉が焼ける前に、白飯を大量に食わせよう。

何なら、別の網で焼きおにぎり作っても良いしな。


(考えてたら食いたくなってきたな)


スリングショットをいくつか手に取り、一番馴染むものを選び、鉄球も二箱ほど持って行く。

肉コーナーに行くも、生鮮に置いてあるものは既に色が悪くなっており、食べられそうにない。

バックヤードに入り、長期保存用に何か残ってないか冷凍庫を漁る。


(でっか)


部位ごとに切られる前の肉塊が鎮座していた。

電動スライサーが近くにあったため、適当な大きさに切っていく。

肉の部位とか分かれば、美味しさが損なわれない切り方が出来るんだが、この肉塊がどこの部分に当たるのか分からない。


(足じゃないことは分かるんだが)


大きく切り分けた後、一口サイズになるように切っていく。こういう時は冷凍だと切りやすい。

包丁だと無理な硬さだが、業務用のスライサーならスパスパ切れる。

切った肉を二つのクーラーボックスに詰める。

バックヤードで肉を切り始めたところで、今夜は焼き肉と分かった狐が大喜びで早くもけもみみ幼女に変化したが、これ以上移動することは無いからとりあえずいいだろう。


「サフィ。後でこの肉付きの骨をあげるから米を運ぶのを手伝ってくれないか?」


「わおん!」


巡の問いかけにしっぽを振りながら元気よく答えるサフィ。

おそらく了承を得られたのだろう。五キロの米をサフィの背中に固定する。


「あー!サフィ様にそんな事させられません!」


慌てたように狐が戻って来た。

主に狐が食べる用の米を、サフィが持っていたらそうなるか。

大狐になり「こちらの背中に!」と言っているところに、三十キロの米を乗せ固定する。

流石にこれを消費するとは思っていないが、万が一がある。


「自分で食べる分は自分で持て」


「こんなに食べんわ!」


狐の声を無視して近くの肉屋に移動する。

米を炊飯器にセットし、肉が解けるのを待つ間、スリングショットの性能を確かめる。


まずは鉄球をセットし、少し離れた場所に置いた空き缶を狙う。

一球目を外し、軌道修正。二球目を放つと甲高い音が響いた。


(動かない的には当てられると)


次に今まで使っていたような小石をセットする。

鉄球ほど丸くないため、まっすぐと飛ばないものの、狙いさえしっかりとすればある程度狙い通りに飛んでいく。


(再現性は高い)


さらに路地の入口でこちらを窺う鼠型が見えたため、鉄球で狙い撃つ。

空き缶の時を見られていたのか、流石に構えた段階で逃げ出し、当たることは無かった。


(一発では無理か)


しかし、予測が出来れば、投石より速い弾速の為、当てる事も可能だろう。

鳥型が飛ぶ前に当てる事も可能かもしれない。仕留めるには頭にでも当てないと駄目だろうが、使い慣れていけば、小さい的に当てる事も不可能ではないはずだ。


「そろそろ焼肉食べんかの?」


周辺の小石が無くなるまで打ち続け、新たに小石を補充しに行こうとした時、けもみみ幼女がそう言ってきた。

いつの間にか辺りは夕暮れになっており、焼き肉を意識した途端お腹から音が鳴った。


「飯にするか」


「妾ではないからの!」


となりで騒ぐ幼女を宥めながら、サフィを伴い焼き肉店に入る。

ご覧いただきありがとうございます。


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