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特訓開始

「いつまで寝とるんじゃ!早く起きんか!」


そう言って巡を起こしてきたのはけもみみ幼女。まさかの狐である。

昨日、一昨日の観察の結果、朝が弱いはずの狐が珍しく早起きしていることに驚く巡。


「朝弱いんじゃないのか?」


「朝?何を言っておるんじゃ。もう日は高いぞ」


それを聞いた巡は、部屋のカーテンを開けた。

街中だけあって、綺麗な眺めとはいかないが、太陽の位置ぐらいは分かる。

どうやら影が短くなる時間帯のようだ。


ここまでぐっすりと寝たのは、昨日の手心ありの初戦闘の疲れが出たのか、ここのベッドが想像以上にふかふかだったからか。


(適当に入ったホテルだったけど、最高だった)


改めて腰を落としたベッドの感触を手で楽しみ、機会があればまたここに来ようと巡は心のメモに書き留めた。


「それで、ご飯か?今から作るとなると、朝と昼が一緒になりそうだが、問題無いか?」


巡が身支度を整えながら問うと、飯と聞いて幼女のテンションが一気に上がる。


「うむ!馳走は大切じゃ!出来れば朝と昼の二食食べたいが、妾は一人。一食分しか食べられないから、それで良い」


初日に比べて少しずつ食べる量は減ってきているとはいえ、いまだに大人三人分はペロリと平らげる狐。

それが、一食分しか食えないと宣う幼女に、冷めた目を向けてしまうのは仕方のない事だろう。

大食漢の奴がいることで、一度に大量に作れる料理ばかりになってしまう、作り手の苦労を分かってもらいたい。


「それはそれはとして。昨日も言ったが、お主の剣術についてじゃ。馳走を頂いた後、早速訓練と行くぞ!」


元気いっぱいの幼女に促され、活力を求めホテルの厨房に向かう。

朝と昼が一緒の為、腹持ちの良いものを作ることにした。飯の後に特訓が待っているから、スタミナの付くものにもしなければ。


冷蔵庫を覗けばホテルという事で、肉の他にも野菜や魚が豊富あった。米も白米のほかに玄米や五穀米などがあり、泊りに来た客のどんな願いにも応えようとする気持ちが伺える。


(ベッドもそうだったが、このホテルって結構良い所だったのか)


まずは狐用に大量のゆで卵を作る。

卵を茹でている間に自分用に、皮をむいた長芋をすりおろし白出しを混ぜ、下処理をしたオクラを刻み、納豆をかき混ぜる。刺身用のマグロも2㎝角に切っておく。めかぶを加えても良いが、見当たらない。醤油とごま油を混ぜたタレを用意し、刻みのりを準備したところで、卵が茹で上がる。


鍋から取り出したゆで卵の殻を全て剥き、ボウルに入れ、少し潰す。マヨネーズを目分量、塩コショウは思った倍を入れ、白身が細かくなり過ぎないように気をつけながら混ぜる。

サンドイッチ用のパンにぬり挟めば、卵サンド出来上がり。

ゆで卵も腹持ちが良いらしい。


先に出来上がった卵サンドを食堂で待っていたけもみみ幼女の前に差し出す。

卵を適当に茹でてしまったせいで、思っていた以上の卵サンドが出来てしまったが、食べきれるだろうか。


「シンプル!匂いからして卵とパンじゃな!」


寝起きという事もあり、今までのように手の込んだものを作る気にならなかったが、満足されるか。


「美味い!ちと胡椒が利きすぎなような気もするが、美味いぞ!」


問題無いようだ。

パクパクと食べ進める幼女を見て、一安心。

自分のねばねばスタミナ丼持ってきて食べ始める。

白米にさきほど準備した食材を盛り付け、中心に卵黄を乗せたねばねばスタミナ丼。

名前の通りスタミナが付き、活力を得られるだろう。


するすると食べていると、いつものごとく対面から視線を浴びる。

一度厨房に戻り、狐用のねばねばスタミナ丼を持ってくる。


「ありがとうのう!」


卵サンドもまだ途中だが、ねばねばスタミナ丼を食べ始め、アッと言う間に器を空にした。

三種のねばねばで食べやすくなっているとはいえ、食べきるの速すぎだろ。


そんな幼女を見て、と言うより、いつまで経っても姿を見せないサフィがどこにいるのか、両頬をいっぱいにした狐に問う。


「サフィが見当たらないが」


「サフィ様は外に出てくると言っておった。お主が気持ちよさそうに寝ているから起こさなくていいと言ってな。昼には戻ると言っておったらから、心配ないじゃろ。まあ、あの方を心配するだけ無駄かもしれぬがの」


昼前に戻って来るなら大丈夫か。三対の黒犬に追われても巻いて逃げるが可能なサフィの事だ、昨日の黒鬼程度なら簡単にあしらえるか。


サフィの心配より、自分の心配。

既に巡は食べ終わっており、幼女が食べ終わったら訓練再開。

剣の振りの修正を見てくれるという話だったが、振る為の基礎体力が自分にあるのか。


「少し体を動かして来る。体を解しておかないと、怪我するからな」


未だ食べ続ける狐にそう告げると、巡は一足先に外に出る。

ホテル周辺は地面が舗装されているので、転がっても体を傷めない場所を探し歩く。


(コンクリよりは砂の方が傷めないか)


少し離れた場所に、遊具の少ない公園を見つけたため、そこで準備運動を始める。

仕事ばかりの今の自分が、どれだけ動けるのかを確かめながら、体を動かしていく。


(少し体が固くなってるな)


柔軟をサボっていたせいで、全体的に柔軟性が下がっていた。

ゆっくりと、しっかりと体を解して行き柔軟性を取り戻していく。

前屈で手が足に付き、股割で上体を地に近づける。ペタッとはいかなかったが、これから意識して柔軟すれば、取り戻せるだろう。


柔軟の確認が済んだ後、数本の短距離ダッシュを繰り返す。

動き出しの確認と、瞬発力の確認をし、少し息上がったころ、けもみみ幼女が歩いて来た。


「やる気は十分のようじゃな。では、早速やって行こうではないか」


けもみみ幼女の最初の指示は、木刀を構えること。


「構えは全ての基本。これがしっかりと出来れば、攻防の移行を綺麗に出来、隙を小さくできる。隙が小さくなれば、相手からの被弾を抑え、優位を取れるというもの」


けもみみ幼女の言う通り、見よう見まねで構えを取る。

剣道で言うところの中段の構えをしてみるも、すぐに指摘が飛んで来る。


「水の構えか。まずは頭を起こせ、胸を張れ。猫背にもほどがあるの、お主。顎も引け、重心を落とせ。お主は右利きじゃろう。なら、左足を少し下げ、すぐに動き出せるようにかかとを浮かせろ。良い握りではないか!」


日のよく当たる公園に、指摘の声が何度も響く。

どこかを褒めるやり方は、やる気の保てるやり方だ。

暑くなる時間帯だが、巡は真剣に特訓を続けた。

ご覧いただきありがとうございます。


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