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かつ丼とフレンチトースト

サフィの目覚めた小さな神社から戻ってきた巡たち。

見覚えのある場所に戻って来たからか、早速とばかりに家の前で伏せをする大狐。

その横を通り抜けていく巡とサフィ。


「どうして乗らない!妾の目覚めた岩場へと行くのではないのか!」


扉の前で後ろを振り返り、あたりを見回す巡。


「周りを見ろ。夕暮れだ」


巡の言葉に首を上げ周りを見る狐。


「今から狐の目覚めた岩場に向かって、二時間程掛かるとしても着く頃には真っ暗だろう。探し物だって見つからない」


「夜目持っておらんのか」


「暗闇になれることはあっても、夜目ほど綺麗には見えないよ」


狐が諦めて、煙に包まれるのを横目に家の中に入る。

夕暮れ時という事は、夕飯の準備をしなければいけないからな。


(昼は簡単にペペロンチーノだったから、夜はガッツリご飯系の気分だ)


いつ止まるとも分からない冷蔵庫の中身を眺め、五枚入りの豚ロースを発見。五枚とも筋切りし、下味をつける。薄力粉をまぶし、溶き卵、パン粉につけてから油に入れる。肉に火が通るまで4~5分かかる為、焦がさないように気をつけながら、玉ねぎを薄切りにしておく。先に二枚揚がったら、酒、みりん、砂糖、白だしを混ぜたに玉ねぎを入れ少し煮て、とんかつと溶き卵を入れ加熱。良いタイミングで火を止め完成。

残り三枚を揚げる前にキャベツを千切りにし、皿に盛ったら準備完了。

昼の狐の様子から、キャベツは多めに用意して、キャベツで腹を満たしてもらわないとな。


夕飯を作り、片づけが終わるころには夕飯に丁度いい時間になっていた。


「夕飯だぞ」


サフィのブレンドご飯をセットしながら、二匹を呼ぶ。

サフィはすぐに来るが、ご飯を食べずにお座りで待ち続ける。

狐は眠っていたのか、眼を擦りながらよたよたとやって来る。岩場に行けないと分かったから、けもみみ幼女になっていたようだ。


「夕飯はかつ丼ととんかつだ。揚げ物は出来たてが美味いからな。寝るなら食べてからにしてくれ」


かつ丼をけもみみ幼女と自分の座る場所に置き、テーブルの中心にとんかつを置く。


大食漢と思われる狐の為に多めに用意したんだ。

眠くても、かつ丼だけは食べてもらわないと困る。とんかつはまた別の料理に使えるが、かつ丼はそれで完成しているからな。食ってくれ。


「んむ。食べるぞー。いい匂いじゃー」


眠気眼で食べ始めた幼女。零さないか心配していたが、一口食べると目を見開いた。


「美味い!」


そう叫ぶと一心不乱に口に頬張るけもみみ幼女。その様はまんま幼女。

ちゃんと食べ始めた姿を見て、自分たちの食事を開始する巡とサフィ。


「我ながら上手くできたな。半熟具合が良い」


卵は火を通し過ぎると硬くなるからな。それでも良いと思うときもあるが、やっぱり出来るなら半熟だよな。


巡は大盛りによそったかつ丼で夕飯を終わりにしたが、狐は案の定かつ丼だけは終わらず、とんかつにキャベツまですべて食べきった。

大狐ならその量も食べられると思うが、幼女がその量を食べることに凄さを感じる。いったいその体のどこに消えるというのか。


「おかわり!」


(まだ食べるのか)


おかずの無くなった皿を眺め、まだ食べることを許すか、終わりと言うか。


「おかわりだ!」


「おかわりを所望する!」


黙っていると、際限なくおかわりを催促してくるけもみみ幼女。


(うん。無しでいいか)


黙って片付け始める巡。それを見て、おかわりが無いと察する幼女。我関せずのサフィ。


「まだ食べ足りないと言っているのじゃ!おかわりを寄こせ!」


「無い。おかずがもうないだろ」


「違うものを作ればよいじゃろが!」


「簡単に言うなよ」


「簡単な物でよいからおかわりをー!」


「それならその簡単なものを自分で作れ!」


「どうして妾がやらないといけないんじゃー!」


けもみみ幼女による簡単クッキングが開催されることになった。


「まず卵と牛乳を混ぜる」


巡が指示したことを、復唱しながら行動に移す幼女。卵を割るとき危なっかしい手つきだったが、何とか割ることに成功。黄身は割れてしまったが、殻は入ってないから問題なし。


「デザートとして食べるなら砂糖を入れると甘くなるぞ」


巡の助言を聞いた途端、砂糖をこれでもかと入れようとする幼女をぎりぎりで止め、スプーンで大盛り二杯で我慢させる。

泡だて器を渡し、溢さないようにかき混ぜるように指示を出す。砂糖のダマが無くなればいいだろう。

出来た卵液をバットに移し、半分に切った食パンを浸す。

しばらく浸した方が美味しいんだが、幼女は速く食べたそうだしな、両面浸したら早速焼いて行くか。


卵液に浸したパンをバターを溶かしたフライパンで焼く。良い焼き色が付いたら裏返し、こちらも焼き色を付けたら完成。両面とも良い焼き色で、美味しそうに出来た。


「美味そうな匂いじゃー!これ妾が作ったのじゃ!妾が作ったんじゃー!」


幼女が喜びはしゃいでる横で、フレンチトーストを作っていく巡。

あとどれくらい食べるか分からないからな。一斤分は作っておくか。


「騒いでないで早く食べろ。料理は作るだけじゃなく片付けもあるんだからな」


皿を掲げていつまでも食べそうに無い幼女を促し、フレンチトーストを食べさせる。

それにしても、どんどん減っていくな。味わって食べているのは分かるが、一枚を焼くと同時に提供していることから、食べる速さも分かるだろう。


(自分で作ったらより美味しく感じるものだが、あれほど嬉しそうに食べたこと俺にはあったか?)


六枚切りの食パンを全て提供した後、ようやく幼女の手が止まった。

昼に三人前食べてたが、夜はそれ以上だ。あれでも遠慮していたとしたら、戦慄する食欲だな。

巡がこれからの食事計画を改めていると、船をこぎ出す幼女の頭。


(腹いっぱいになったから眠くなったのか)


今日初めて会ったし、外で探索して来たから風呂で綺麗にしてもらおうと思っていたが仕方が無い。


「狐。子狐になれ。眠っている間に体洗ってやるから。もちろんサフィもだぞ。神社は綺麗だったが路地裏は汚れてそうだったからな」


狐を抱え、サフィと共に風呂場に移動する。

狐は眠りかけだし、サフィはお湯を嫌がらないし、ずいぶん楽なお風呂になりそうだ。


「ペット用シャンプーが役立つな」


静かながらも賑やかなお風呂タイムとなった。

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