転生
作者の阿華です。小説を投稿したことないどころか、作ったことすら初めての処女作です。
つたない分が多いですが、暖かく応援していただけると幸いです。
※訂正加えました
僕はまだ…生きたかった…
暗闇の中で自身の体が沈んでゆくのを感じながらそう思った。
僕の名前は氷鏡光紀15歳だ。両親と姉の4人家族で、小3に上がってからは一度も家に帰れていない。というのも僕は生まれつき心臓が弱く、小学生の時に医者が「心臓の動きが…」って両親と話しているのを聞いたが、難しすぎて当時の僕ではほとんど理解することができなかったが、長くは生きられない、ってことだけは理解できた。
それでも両親は惜しみなく愛してくれたし、姉も「バカ弟」って口は悪いが愛してくれてたから、苦痛はなかった。
そして、その時が来た…
「コウ、ごめんね。ごめんね。・・・」「コウ、この馬鹿…」「コウ…」
母と姉がベッドの横で僕の右手を握りながら泣いていた。それに仕事場から走ってきたのか、スーツ姿で息を切らした父も立っていた。皆泣いていた。それを見て僕は笑いながらおもむろに口を開いた。「ありがとぅ」言い終えたとき僕の頬はぬれていたが、最後くらいはって、精いっぱい笑った。かすれていたけど、言いたいことは言えた。もういい…
そして僕はゆっくり目を閉じた。
結局、外には出られなかったな。
死ぬ、死ぬか…これまで幾度も考えたがやっぱりこわいなぁ…
何もできなかった、返してあげられなかった僕にしてはかなり恵まれた人生だったと思う。
でも、それでも、本当はまだ死にたくなかった…まだ生きたかった…
友達と一緒に全力で外で遊んでみたかった…
恋をしてみたかった、青春したかった…
そして.........家族で一緒にもう一度だけ遊びに行きたかった…
まだ、まだ…もっと…
僕の意識はそんな声に埋もれて暗闇の中に沈んでいった。
「んっ、ここは…」
光紀は周りに何もない真っ白な空間で目を覚ました。
『やぁ、氷鏡光紀くん。僕はジルファール、君たちの言うところの神ってやつだ。一応生命と風を司っているよ。』
そこには一般的な意見としてイケメン、美少年といわれるだろうきれいな容姿をした金髪碧眼の少年が立っていた。特にその目は透き通るほどの碧眼でとてもきれいだ。
単純にまとめるとすごいイケメン。ってそうじゃなくて、ここどこ?周りなんもないし病院じゃないのは確かだけど……神⁈
『ふふ、いい反応ありがとう。君みたいな純粋な褒め言葉と反応は久しぶりだよ。他のみんなも美形だからさ、あんまりほめてもらえることってないんだよね。君みたいな人間の魂が来ることもほとんどないし。それと、ここわね、神界の一部、君のような魂と話すための応接室とでも言ったらいいかな。』
[神界?って僕しゃべってないですよね!?]
『うん、しゃべってないけど心の声くらい聞こえるさ。何度も言うけど僕は神だからね。』
『さて、今の状況がいまいち飲み込めないようだから説明するよ。
ここは、神が住まう神界といわれる場所のの一角で、君のような魂だけの存在とも話すことのできる場所だ。本来なら死んだら輪廻の輪に戻り、僕たちが干渉することはないんだけど、君の場合はまた特殊でね。君があの世界で死んだ理由にも関連があるんだ。』
[死んだ理由ですか?僕が死んだのは心臓の病気だったはずなのですが、死ぬ前に何かあったんですか?]
『いや、死ぬ前に何かあったわけじゃないよ。君の言うその心臓の病気こそが君が特殊な理由なんだ。
通常、地球の人間には、一部を除いてマナが存在しない。[マナ?]うん、君の世界のラノベや漫画によく出てくるだろう。あれといっしょさ。魔法を使うための根源となる力、それがマナ。それが、なぜか君の心臓には大量に含まれていたんだ。もともとないはずの異物が体の中にあるんだ。体が弱っていくのも理解できる。まぁ、とはいっても、なんでこんなことになったのかは神達でもわかんないんだ。引き続き原因はさがすけどね。でも、君が悪いわけじゃないことは確かだ。なら、君にはもう一度、好きに生きる権利がある。だから、神達は君を、僕らの創った魔法あり、剣ありの第2の世界ガルガンディアに招待する。これが、原因すらわからない神達からのお詫びとおくりものだよ。』
『まぁ、これだけじゃさすが死ぬし、それは無責任すぎるからほかにもいくつか贈り物は用意しておくけど…うーん、何がいいかな…』
「じゃあ、生き返れるってことですか。」
『ん?まぁちょっと違うし、地球には戻れないけど簡単に言えばそうかな』
僕の頬を伝って水が滴り落ちた。「あ、うっ、うぁぁぁあああ」
そして、光紀が泣き止むのをジルファールは優しく笑いながら待っていた。
『っと、できればこのまま説明を続けたかったんだけど、もうあまり時間がなさそうだね。詳しい説明やおくりものは手紙にまとめておくよ。手紙はインベントリに入れておくから確認してね。【インベントリ】って唱えれば使えるから。』
『最後に…《ガルガンディアへようこそ、氷鏡光紀くん。汝がどんな道を進もうとも我らはともにある。ゆえに汝の行く末を我らは見守ろう。汝が旅路に光と幸があらんことを。》 じゃあ、いってらっしゃい! めいいっぱい楽しんでね!もう君を縛るものはないんだから。』
「ありがとうございます、ジルファール様。行ってきます。』僕はできうる限り笑って見せた。
『次からはジルでいいよ。あと言い忘れてたけど、君の姉もそっちにいるから探してみるといいよ』
「え?」そこで僕の意識は途絶えた。
『行ってしまったね。君は本当に会わなくてもよかったのかい、アル。』
『ジル…大丈夫よ。私はあの子に合わせる顔がないから…』
今まで光紀が立っていたところに薄くきれいな青色の長い髪をまとった美女が立っていた。
『それを言ったら、僕だって…いやこの話は辞めよう。いまさら言っても仕方がない。僕らにできるのはあの子がこれ以上苦しまなくて済むようにサポートすること。』
『そうね…』
『今度こそ、新たな世界を楽しんでくるといい、コウ。』
小説って本当に難しいですね…