『赤い螺旋』の出現 (キービジュアル挿絵有)
三人が最初に遭遇したのは、空間の一部が赤く歪み、無限に折りたたまれた「赤い螺旋階段」の出現だった。
触れた瞬間、肉体がねじれ、記憶が断片化する現象。
カンナは冷静に現象を観察し、こう呟いた。
「これ、周期がある。赤い螺旋は『9分33秒ごと』に出現し、その後『4分間』は無害になる。
無害な時間を利用すれば、あの向こう側にある『重力反転装置』にアクセスできるはず。」
ジュードは銃を構えながら言う。
「なら、その4分間で突っ込むしかないな。だが、何が出てくるか分からねぇ。」
サクヤはくるくると回転しながら、微笑んで言った。
「大丈夫だよ、君たちはまだ"この街の法則"をほんの少ししか知らない。知らないからこそ、今は無敵なんだ。」
だが、その時、壁から突然『黒い手』が現れ、カンナの肩を掴んだ。
「触れたら最後、存在がねじれて消える」――そう言われていた黒い手。
カンナは一瞬の躊躇もなく、自ら肩を切り落として脱出した。
血を流しながら、彼女は淡々と告げた。
「合理的に考えて、腕一本で生き延びられるなら、迷う理由はない。」
ジュードが舌打ちし、サクヤが楽しそうに笑った。
「さて、次は誰が無茶をする番かな?」
三人はそれぞれの合理性で、狂気の世界を生き延びるための選択を続けていく。
この世界には、必ずどこかに『出口』があるはずだ――そう信じて。