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12話

「魔眼が分かる魔眼って何?」

 セシリアとローリーの声が揃った。マイケルは迷いもなく話し始めた。あぁ、これもよく聞かれることなんだなと、セシリアは思った。


「僕は視界に入った人が魔眼を持っているか分かるんです。ちなみに魔眼て、一括りで言われていますが、色々あることはご存知ですか。伝記にもある有名なものですと、千里眼と呼ばれる自分が見たいと思った場所をどんなに遠くても見れるものや、未来や過去が見えるもの、目を合わせたら恋が始まるなんてのもあります。つまり、魔眼には無限の可能性が……」

「ちょ、ちょっと待って。ついていけないから」

 セシリアが浮かれたような眼をして語りだしたマイケルを止めた。


「まとめると、魔眼にはたくさん種類がある。そしてマイケルさん、あなたはその魔眼を持っている人が分かる。そこまでは理解できた」

「そのとおりです! 魔眼って、素晴らしい」

 マイケルは拳を握った。今にも絶叫しながら飛び跳ねそうなテンションだ。セシリアは危険を感じた。


「他にマイケルさんの魔眼で分かることって何があるんですか?」

 セシリアは聞いた。マイケルは困った顔をした。

「え、えぇと。僕は魔眼を持っているかが分かるだけです」

「それってなんの役に?」

 ローリーが聞いてはいけないことを聞いた。


「……魔眼の持ち主が分かるんです」

「それは分かった。他には?」

 ローリーは追撃した。容赦無かった。

「泣いてもいいですよね」

「ごめん、悪かった」

 ローリーは謝った。セシリアはマイケルの持つ魔眼が本当に魔眼なのかそもそも分からないと思ったが、それについては横に置いておくことにした。魔眼にもいろいろあるのだろう、きっとそうだ。


 マイケルは俯いていたが、女子二人の同情の視線に気づいたか、顔を上げた。


「今は、魔眼を持つ人が分かるだけなんです! でも魔眼は進化すると云われています。意識して使い続けることで僕の魔眼はきっと進化するんです」

 マイケルは拳を握った。そこに希望を見出しているのだろう。

「マイケルさんの魔眼の話はおいておきましょ。それでセシリアの事なんだけど。魔眼って種類あるんでしょ? 調べる方法はないの?」

 マイケルの決意を流してローリーが言った。セシリアは少しはかまったらどうかと思ったが、食いつき気味のローリーの邪魔をする気もなかった。


「さぁ、僕が今まで勧誘した中に自分が見ている景色が他と変わらないって人がいなかったものですから。どの人も何かしら不思議に思っていました。だからそれを突き詰めれば何の魔眼かはわかったんです」

 マイケルは考え込み腕を組んだ。ローリーも腕を組んだ。

「そっか、せっかくセシリアのスキルが分かるチャンスなのに。セシリアはどうなの?」

 セシリアは考えた。確かに自身のスキルは知りたかった。しかしこのマイケルさんの話によれば眼に関係することまでは分かった。


「私、今はまだわからなくてもいい。眼に関係するとわかっただけ良いことだし、さっきの話だと魔眼は常に発動しているんでしょ? 注意していればきっと何かわかるから」

 セシリアの言葉にマイケルはうなづいた。


「そのとおりです、セシリアさん。必ずしも魔眼が幸せをもたらす素敵スキルではありません。何しろ常に発動していますから。中には苦労している人もたくさんいらっしゃいます。そのための助け合いが大事なんです! ジャポン魔眼連盟なのです! ぜひご加入を!」

 マイケルはぐいっとセシリアに迫った。セシリアはその勢いに後ずさっだ。


「その、加入は考えておくでいい? 魔眼を鑑定する魔眼の持ち主でもいればもっと深く考える」

 セシリアが言ったところ、マイケルは目を輝かせた。


「もちろんおります。僕の師匠なんです。いつか僕もあの様になりたいと日々目を凝らす毎日ですから」

「やったじゃんセシリア、その人のところに行って調べてもらおうよ」

「 ところが、そう簡単ではなくて。師匠はどこに居るのかさっぱりわからない上に、鑑定料が非常にお高くて……。何しろ見たものの正体をすべて見破ってしまう力をお持ちですから」


「何とかならないの? 弟子なんでしょ? 連絡方法くらいあるでしょ?」

 ローリーは粘ったが駄目だった。出し惜しみじゃなくて本当に知らなかった。


「お役に立てず、すみません」

 マイケルは素直に謝った。セシリアはすみませんもやっぱり謝罪だと思いながら言った。

「まぁまぁ、その鑑定の魔眼にお願いをするのは最終手段として、私は一人でも私の力を見つけて見せる!」

 セシリアは決意した。

「と、いうことだから。ひとまず魔眼連盟だっけ? そっちは保留にするね。連絡方法だけ教えて頂戴。私はお使いを終わらせてそろそろ帰らなくちゃ」

 セシリアが言った。マイケルも無理強いするつもりはなかったようだ。素直に連絡方法をセシリアに教えると、困ったら連絡をくださいと念をおしながら去っていった。


「セシリア、よかったの? 師匠とやらが見つかれば苦労せずに分かるんじゃない? セシリアの家ならお金はなんとでもなるでしょ?」

「うん、そうなんだけど。私ね、あの家を出て自立したいの。もちろん今は無理だけど、なるべく頼りたくない。私のババアになる前に達成したい十の野望のためには敷かれたレールの上で暮らすわけにはいかないんだから」

 ローリーはセシリアがそんなこと考えているなんて、と言わんばかりに口をあんぐりと開けた。すぐさま手でその口を覆った。


「セシリアがそんな先のこと考えているの初めて知った。ちょっとうらやましい」

 ローリーが驚いた顔で言ったのをセシリアは可笑しそうにに笑った。

「まぁ、とにかく今は頼まれたお使いを済ましちゃおうかと思って。ローリー、一緒に行こ。すぐそこだから」

「わかった。付き合ってあげようじゃないの」

 セシリアとローリーは笑い合い。並んで歩き始めた。

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