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番仙奇譚  作者: 秋尾 萩
狸の話?
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1

毎日コツコツと投稿は難しそうなので、1話完結ごとにのんびり投稿予定です。

よろしければ登録お願いします。

今回のお話しは9回で完結予定です。

話の区切り上、長さがバラバラですがご容赦ください。


 トントントン。 

 有海が部室のドアをノックする。

「どうぞ」


「失礼します」

 有海が声を掛けて部室の中に入ると、中には人の姿は無かった。

「あれ!?返事があったのに……」

 確かに返事があったのに、誰もいない事に驚く有海。

 そして有海のその姿に楽しそうな声が掛かる。


「ふふ、術の練習でかくれんぼをしているんだよ。今この部室には4人の人間が隠れているよ。見つけられるかな?穂村有海くん」

 どこから話しているのか分からない声とその内容にさらに驚く。


「ボクの事知ってるの?」

 どこにいるか分からない声の主に問いかける。

「もちろん。忍者だからね」

 なんの理由にもなっていない事を自信ありげに答える声の主。

「忍者だから!」

 もちろんそれに興奮する有海。目がキラキラしている。


「さあ、探してごらん。全員見つける事ができたらご褒美をあげよう。制限時間は5分だ。それじゃあスタート」

 

「わ、わ」

 その声に従い、捜索を開始する有海。その部屋はクラスの半分程度の広さがあり色々な物が置いてあるが、人が隠れられそうなのは荷物を入れるロッカーと掃除道具入れくらいしかない。いくらなんでもこの広さならすぐに見つけられるだろう。そう思いまずはロッカーに向かう。

 端から開けて行くが誰もいない。

「あれ?」

 さらに掃除道具入れも開ける。誰もいない。

「え!?」

 キョロキョロと部屋を見回す。人が隠れられそうな物はない。

「ほらほら、相手は忍者だよ?そんな所にいるはずないだろう?周りをよく見てごらん不自然な物はないかな?」

 小さな子供に教えるように優しく声が掛かる。

 初めて入る部室なのだから何が不自然かは分からないが、学校のどこにあっても不自然な大きな狸の置物があり、そこに向かう有海。

 じ~っとその狸を見つめる。そして指でつつくと、

「見つかった!」

 そう叫んで、ポンっと置物から人間に変わった。

「わっ!?」

 驚く有海。


「もう、部長ずるいよ、ヒントだすなんて。じゃあ僕も出そ。壁だよ」

 狸から化けた(?)丸っこい男子生徒がヒントを出す。


「壁?」

 そう言われて壁を見る。特におかしな所はないが、さらによく見ると黒板の下に一か所だけ盛り上がった部分がある。

 そこに行き手を触れると柔らかい。壁ではなく布だった。


「正解」

 布がはらりと落ちると一人の女生徒が。

「すごい!」

 有海の楽しそうなその声ににこりと笑い、 

「小さい箱だよ」

 ヒントをくれる。


「小さい箱?」

 そのヒントに辺りを探す。そうは言っても人が入れそうな箱はない。机の上にいくつか箱はあるが、まさか筆箱に入る訳もない。そう思い机のそばを見ると30センチ四方の段ボールがある。まさかと思いながらもその箱を開けてみると、人間の右腕が突き出てきた。


「わ!?」

 驚き後ろに飛び退く。


 そんな有海の目の前で、その箱から腕、肩、頭、左手、胴体と次々出てきて、両手で箱のふちを持ったと思えば穴から抜け出すように大きな男子生徒が飛び出した。どう見てもあの箱に収まる体積ではない。

 これには驚いて声も出ない有海。


「ふう、見つかった。自信あったんだが。じゃあ最後は影だ」

 大きな男子生徒は有海を見てそう言った。


 その声に少し落ち着いて辺りを見渡す。

「影?」

 そうは言っても影はどこにでもある。いろんな影をペタペタと触ってみるが影は影だ。

 

 そんな有海にどこからともなく声が掛かる。

「残念、時間切れだ」

 その声とともに、窓を背にした有海の影から黒い物が浮き上がる。

 最初は床がふくらんだのかと思った。だが、そのふくらみはすぐに大きくなり人の顔が出てきた。やがて、首、腕を組んだ胸、腹、腰、足が現れる。身動き一つしないのに、まるで舞台装置に持ち上げられるように。


 そして有海の目の前には一人の女生徒が立っていた。

「忍術部へようこそ」

 そう言って女生徒は微笑んだ。




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