↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ではありませんでしたが、聖騎士様に溺愛されそうです  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
85/142

84:感じますか?

 ロキとランスは、不思議な関係だ。

 ただの幼馴染みと言っているが、それ以上であることは間違いない。

 二人の友情は厚い。

 お互いのことを、完璧に信頼し、尊敬しあっている。


「ではアリー様、行きますよ。安全は確認していますが、何せ古いもの。万一に備えて命綱をつけます」


 吊り橋は木でできており、朽ちかけている部分も多い。だからロープを体に結わきつけ、橋の落下に備えたわけだ。


 ランスが私の手を取り、でも問題なく、吊り橋を渡ることができた。


 吊り橋を渡り、城門をくぐると、そこにはベイリー(広場)が広がっている。いくつか建物もあるが、それは屋根が落ち、壁が崩れ、その様子を見ると、ここが廃城であると実感できた。


 振り返ると、吊り橋の向こうで、弓を手にこちらに手を振るロキの姿が見える。


「アリー様こちらへ」


 ペンダントをはずすところをロキに見られないようにするため、少し、右側に寄った。


「では、ペンダントを外しましょう。心の準備は大丈夫ですか?」


 それは四天王(ダークキング)が現れても、大丈夫か――ということだろう。


「ええ、それは勿論」と返事をすると、ガントレットを外したランスの手が、私のケープのリボンを解き、ワンピースの襟元のボタンをはずし始めた。これはペンダントをランスがとろうとしてくれている――とは勿論分かるのだけど。どうしてもドキドキしてしまう。


「ペンダントは自分で外しますよ」


 ランスの手に、まるでその行動を止めるように、触れてしまう。


「これは自分だけではないと思います。でも想う相手の衣服に触れるだけでも、気持ちは高りますので……」


 私はドキドキしていたが、ランスが輝いて見えるのは、満月からの銀色の輝きを受けているからだけではないようだ。


 ワンピースの襟元のボタンを一つ、二つと外される度に、私の心臓は高鳴り、ランスの輝きが増す。


 その細く長い指が素肌に触れた時は、ひんやりとした外気と彼の指の冷たさに、思わず声が出てしまう。それは驚きの意味が強い声だったが、ランスの光が強まり、その光を見た私の心臓がドクドクと鼓動する。


 伸びたランスの手が私の首の後ろに触れ、ペンダントの留め具をはずそうとしていた。探るように首に触れるランスの指に、なんだか不用意に反応しそうになる。思わず視線を伏せるが、ランスの体はキラキラと輝いていた。


 まさにお互いが鏡のようね。


 ペンダントを外そうとしているだけなのに。

 二人とも信じられない程、体が反応している。

 これなら口づけをしなくても、大丈夫そうね。


「アリー様、はずします」

「は、はいっ」

「長時間外し、不要な魔物まで引き寄せるつもりはないので、髪を持ち上げてください」

「そうですね。分かりました」


 両手でおろしていた髪を持ち上げる。


「感じますか?」


 魔物の気配を感じるか――と問われているのに、なんだか別の想像をしてしまうなんて。修道女失格!


「! 感じます! もうペンダントつけてください」

「分かりました」


 素早くペンダントの留め金を元に戻すと、ランスがワンピースの襟元のボタンをとめてくれる。私は髪から手を離す。


「アリー様、震えていますが、大丈夫ですか?」


「とても禍々しい気配を感じました。遠いのですが、近くにも感じます……。方角としては、右手なのですが」


「街道は左手なので、右手は……森ですね。隣街と王都の区切りでもあるミュルークの森が広がっています。レッドウッドの木々が多数見られる森です」


 襟元のボタンを留め終えると、ランスはケープのリボンを結わいてくれている。そして、ふわりと私を抱きしめた。ランスの命の輝きを感じる。


「どんな魔物が出ようと、四天王(ダークキング)であろうと、必ず自分がアリー様を守ります」


 ランスに抱きしめられ、その言葉も聞いているのに。

 不安な気持ちが収まらず、震えも止まらない。

 ビースト・デビルベアの時とは違う、何か足元から這い寄るような恐怖を覚えていた。

 さらに――。


「ランス様、聞こえてきます。地中を進む悪魔の行軍を! これは……」


 地上に存在する場合、地を這い、岩の下に隠れ、草むらに潜む。でも魔物はあくまでこの世界に存在する生物の姿に似ているだけで、実態はその生物とイコールではない。


 本来、地中に潜むことはなかった。

 でも魔物だから関係ない。

 地中にいる……!


 そう。

 魔物は……この一週間。

 姿を現さなかった。聖騎士達は魔物の姿を見なかった。

 でも魔物はいた。

 ずっと。

 足元に。

 地面の下に潜んでいたんだ。


「ランス様、地中です! 私達の真下にいます!」

「!? 分かりました。こちらへ避けましょう!」


 ランスの行動が、あと一瞬遅れていたら。

 私とランスは、地面から這い出る瞬間に魔物に襲われていた。

 二人して同時に、魂を喰われていたかもしれない。


 飛び出したその魔物の大きさは、ビースト・デビルベアよりずっと大きかった。


 王都にある巨大な教会の尖塔ぐらいの大きさだ。


 これは見たロキは今、腰を抜かしていると思う。

 私もランスがいなければ、立っているのは不可能だ。


「ランス様、これは教会の尖塔ぐらいの巨大なムカデの姿をした魔物<セント・ポイズン>です!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。