↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ではありませんでしたが、聖騎士様に溺愛されそうです  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/142

81:冬なのに!?

 23時前に宿のロビーに集合した聖騎士達は、23時と同時に宿を出発した。


 出発するみんなを、私とロキは見送り、部屋に戻り、休むことになった。


「アリー嬢、何かあったら、思いっきり叫ぶんだぞ。隣の部屋に俺はいるから。もし寂しければ、このまま一緒にアリー嬢の部屋で俺も一緒にやす」「結構です」


 部屋に戻り、バスルームで軽く汗を流し、寝間着に着替えた。

 窓は、ランス達が向かった廃城の方角にあった。

 カーテンを開け、窓を少し開け、廃城の方を見てみたが……。

 真っ暗で、そちらの方角に廃城があるなんて分からない。


 見上げた星空は、まさに冬空。

 この季節、星が普段以上によく見える。

 空気がピリッと冷たく、すぐに窓を閉めることになった。


 みんな、大丈夫かな。


 昼食の差し入れに来ただけだったのに。

 夕方には屋敷に戻り、今頃は自分の部屋で休んでいる予定だった。


 まさかみんなが廃城へ向かうのを、見送ることになるなんて……。


 そうなると自然と私も何かできないのかな、と思ってしまう。

 私は、聖女になれなかったただの修道女。

 でも魔物やランスの生命の輝きを見ることができる。

 そして……魔物を引き寄せる体質かもしれない……。

 ただそれだけで、後は非力だ。

 酔っ払いの男に絡まれ、襲われそうになっても、何もできなかった。

 そんな私にできることなんて、何もないのに。


 どうして何かできないのか――なんて思ってしまうのかしら。


 寝よう。


 そう決意して、ベッドに横になる。

 ランスに抱えられ、この宿に戻り、ベッドで横になった時。

 薬を飲んでいたせいもあるが、ぐっすり眠ることができた。しかもランスが添い寝してくれたから、もう幸せいっぱいだった。


 名前を甘い声で呼ばれ、ぎゅっと抱きしめてくれて。

 ランスのつけるグレープフルーツの香水が鼻孔を満たし、心を喜びで満たしてくれた。


 そんな素敵なベッドだったのに。


 今はとても味気ない。


 ……というか、眠気が全然訪れなかった。

 食後、警察官が来て、酔っ払い男に襲われた時の話をして、終わった時は「疲れた」と感じていた。今晩はぐっすり眠れるわね……と思っていたのに。


 その時に感じた眠気は、どこかに行ってしまったようだ。


 それでもベッドに横になり、何度も何度も寝がえりを打ち、そして。


「ダメ! 眠れないわ!」


 そう言って上体を起こした。


 ランスやアンリ、聖騎士達のみんなは、魔物の出現を待っている。四天王(ダークキング)ランクの恐ろしい魔物を、この一週間ずっと。


 今日、出現するのか。今日は、出現しないのか。


 今日、出現しなければ、明日。明日がダメなら……。


 もう団長は宮殿に戻っていると聞いた。

 禁書に描かれているという、両親が残したペンダントの情報だって知りたい。

 でも廃城の魔物を討伐しないと、ランスはこの地から動けなかった。


 これは考えないようにしていた。


 でもどうしたって考えてしまう。

 ほんの一瞬。

 ほんの一瞬だけ、廃城で私がペンダントをはずしたら。

 潜んでいる魔物が現れてくれるのでは……?

 それで討伐すれば、ランスは屋敷に戻れるし、王立図書館に足を運び、禁書の閲覧だってできる。


 明日になったら、ランスに屋敷へ帰るよう言われてしまうだろう。


 そうなると……。


 今しかない。


 ……一人で廃城まで向かうのは、無理だ。

 夜だし、魔物もそうだが、盗賊の不安だってある。

 それに私は酔っ払いに今日、襲われそうになったのだ。

 一人で動き回るのは危険。


 ロキは……今から廃城に行きたいと話したら、協力してくれるかしら?

 呆れられ、今すぐ寝るように、言われるかもしれない。

 それでも……。

 行動しなければ、何も始まらない。

 断られたら、それまでだ。


 意を決し起き上がり、ワンピースに手早く着替える。

 なんだかドキドキしてきたので、深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着けた。

 ブーツを履き、部屋を出る。

 廊下は壁掛けトーチがついているが、薄暗い。

 落ち着けたつもりだが、やはり心臓はドキドキしている。


 ロキは……寝ているかな、と思いながら、扉をノックしてみた。


 返事がない。

 やはり寝ているわよね。


 そう諦めかけたその時。


 扉が細く開き、ロキの赤い髪と栗色の瞳が見えた。

 が!

 今は冬なのに。

 ロキは……上半身裸!?


「アリー嬢、どうしたんだ? こんな時間に。しかも寝間着ではなく、ワンピースを着ている。俺の寝込みを襲いに来たわけではないようだ」


 そう言いながら、扉を勢いよく上げる。

 悲鳴をあげそうになり、慌てて自分の口を両手でおさえ、ロキに背中を向ける。


「え、何!? なんでそっぽを向くの、アリー嬢!?」


 押し殺した声で、私は答える。


「ふ、服を! シャツを着てください!」


 一瞬の沈黙の後、「あ、ああ」と間の抜けた返事があり、「すぐに着るから、部屋に入って」と肩を掴まれ、またも悲鳴を上げそうになる。なるべく床を見るようにしてロキの方を向き、部屋に入った。


「ど、どうして上半身裸なんですか!?」

「どうして。うーん、どうしてだろう? 昔からずっとこれだからな」

「冬なのに!?」

「そうだね。……アリー嬢が温めてくれると、いいのだけど」


 これは完全な不意打ちで、ロキに抱きしめられてしまった。


「ランス様に言いつけますよ」「ごめんなさい」


 すぐに離れたロキは、シャツを着ると、私に声をかけた。


「それで、アリー嬢。こんな時間にどうした?」と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。