↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ではありませんでしたが、聖騎士様に溺愛されそうです  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
68/142

67:鋭いオーラ

 マイと、シャドウマンサー<魔を招く者>に関する書物を書き、自身もその一人と言われたダモクレス伯爵がつながっているって……!


 ジルベールがもたらした衝撃情報に目を丸くし、固まってしまう。それでもなんとか口を開いて尋ねる。


「そ、それはどういうことでしょうか」


「つながっている……という言い方は少し大げさかな」とジルベールは言った上で、ある事実を明かした。


「ダモクレス伯爵はツベルクローシスを患い、サナトリウムに入院していた。自身がそんな病にかかることで信仰を失い、彼はシャドウマンサー<魔を招く者>の思想を信奉するようになったとされている。そしてマイの叔母に当たる女性が、同じサナトリウムに入院していたことが、調査で分かったんだよ」


「つまりその縁で彼の著書『魔こそこの世の美徳なり』が、マイの実家の屋敷の地下倉庫にあった可能性があると?」


「そうだと思うよ。シャドウマンサー<魔を招く者>に関する本は、発禁処分を受けているし、所有していれば罪に問われる。今では閲覧制限がかかり、普通では見ることができない。今回も既に焼却処分しているとはいえ、所持していたことを報告していた形跡はないから、ドラクブラッド男爵は、罪に問われるだろうね。かなり昔の話だから、高額な罰金で済むとは思うけど」


 そこでジルベールの表情が引き締まり、急に立ち上がるので、驚き、そして彼の視線を追い、後ろ振り返る。


 するとそこには、聖騎士の隊服を着たランスが、修道院長と共にいた。慌てて私が立ち上がると、ジルベールが自身の右手を左胸に添え、頭を下げる。


「はじめてお目にかかります、ランス・フォン・エルンスト伯爵子息。僕はジルベール・サンタベリーと申します。サンタベリー子爵家の長男です」


 ジルベールがこんな風に頭を下げるのを、あまり見たことがない。この村は勿論、町でも、サンタベリー子爵家に頭が上がる人間はいないからだ。貴族の爵位について詳しくないけれど、伯爵家の方が子爵よりも上、ということなのね、きっと。


「丁寧な挨拶、ありがとうございます。自分はランス・フォン・エルンスト、エルンスト伯爵家の次男です。……ところでアリー様とは、どのような関係で?」


 ランスの声は耳に心地よいテノールで若々しく、とても美しいはずなのに。今はなんだか低めの声で威圧感がある。しかもターコイズブルーの瞳を細め、秀麗な笑顔を浮かべ、自身もキラキラと輝いているのに……。


 全体的なオーラが鋭い。


 ものすごく、警戒している。腰に帯びた剣を、今にも抜きかねない緊張感を覚えた。


 私がそう感じるぐらいだから、ジルベールもそれを察知したようで、自分が無害であることを示すよう、両手を上げている。それはもう、自然とそうしてしまっているという感じだ。


「アリー……いえ、アリー様とは、幼い頃より親しくしていただいている幼馴染みのような関係です。我が家がこちらの孤児院や修道院に寄付を行っており、アリー様は他の孤児や修道女の皆さんと我が家を訪ね、美味しいお菓子やワインを届けてくれます。そこで知り合い、仲良くしていただき、昨日はナオミ様というもう一人の修道女の方と一緒に、ホリデーマーケットを楽しみました」


 説明を聞いている最中から、ランスのまとうオーラが和らいでいく。私が昨日、ホリデーマーケットに一緒に行っていた相手であると、思い出したようだ。かつナオミと二人きりで過ごすことで、私が一人になったことも思い出したのだろう。


 気づけばいつもの柔和な笑みとなり、ジルベールもあげていた手をおろすことができた。


「失礼しました。ジルベール様。アリー様からあなたのことは聞いています。それで今日はどうされたのですか?」


 ランスはチラッとローテーブルに置かれた羊皮紙を見ながら尋ねる。ジルベールは包み隠すことなく、探偵を使い調査したマイの情報を私に教えていたと話した。


「なるほど。そうでしたか。それはアリー様を心配しての行動ですよね。ありがとうございます。もし差し支えなければ、その調査結果の資料、自分に預けていただいても?」


「ええ、勿論です。丁度、話もひと段落したところ。僕はナオミに挨拶をして、帰らせてもらおうと思います」


 そう言ってジルベールが修道院長を見ると、彼は「ナオミのところへご案内します」と微笑む。ジルベールは私を見て「アリー様、先ほど話したことは、こちらの調査報告書にも記載されています。話した以上の情報はありませんが、気になればご覧ください」と微笑み、そのまま修道院長のところへ向かう。


「ランス様、通常、修道女のお部屋に男性は通していません。ですが、ランス様は聖騎士。特別に入室を許可しますので、アリーの荷物を運ぶ手伝いをしてくださって構いません」


 修道院長の言葉にランスは「ありがとうございます」と微笑み、私を見る。


「アリー様、馬車の手配をしてあります。荷物を積み込み、食堂で昼食をいただいたら、出発しましょう。そこで皆さんへの出発の挨拶もしましょう」


 荷物を運ぶ手伝いができることが、ランスはよほど嬉しいのか、キラキラと輝いている。


 それではなくても、美貌な姿が眩しいのに。


 私はなんとか目を閉じそうになるのを我慢しながら「はい。そうします」と返事をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。