表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/11

森の中でゆっくり眠る

森の中に寝そべっている。ひとりで。

木漏れ日の感じからして、今は多分午後3時くらいで、お昼寝するにはちょうどいい時間だ。

背中で感じる地面は、ふかふかした感触で、鮮やかな緑の柔らかい草が一面に広がっている。

目の前の木の枝には、カラスが止まっていて「カラスだなあ」と思ってみていた。

でも、カラスが飛び立とうとして広げた羽を見ると、それはクロアゲハみたいな羽だったので「カラスじゃないなあ」と思った。

鱗粉がキラキラ輝く柔らい羽をゆっくりと羽ばたかせて、ひらひら舞うようにして、俺の視界から消えていった。

ありえない生き物を見たのに、俺はこれが夢じゃないことをわかっていた。

五感の明晰さが、これが現実の出来事であると教えてくれていた。


夢じゃない。オーケー。

いきなり森の中にいる。オーケー。

わけのわからない生き物がいる。オーケー。

俺は多分、異世界に転移した。オーケー。


オーケー。異世界転移。結構なことである。

テンションが上がるぜ。これから大冒険が待っているのだろう。


嘘。

その時の俺はそんなことどうでもよかった。

いろいろあって疲れたし、ゆっくり休みたい。

知らない森の中にいて、もしかしたら危険な場所かもしれないけど、お昼寝にはぴったりの時間だ。


なので、俺は眠りについた。

起きるころには夕暮れだろう。

夜の森は恐ろしいに違いない。

知らない間に、危険な野獣に食い殺されるかもしれない。

まあでも、異世界転移パワーでうまく切り抜けることができるかもしれない。

あるいは、そんなものはなくて、ただ食い殺されるかもしれない。


まあどちらでもいい。

俺は疲れている。今は眠い。


とにかく俺は眠ることにした。

いい夢を見れることを祈った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ