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魔女

 ーあの人間、また来てる…


 フリーシアは、岩陰からロナウの様子を伺っていた。

 ロナウは、フリーシアと別れてから、何度も海に探しに来ており、その度、何だか偉そうな服を着た人間達に連れ戻されていた。

 フリーシアの血を飲ませたからなのか、ロナウの様子が何となく分かるようになり、フリーシアは気になって仕方なく、海辺まで出て行っては、母親に知られてお小言を言われてしまうのだった。



 「そんなに気になるんなら、人間になって、あの人間に会いに行ってみるかい?」

 ある日、母親にそう言われて、フリーシアは驚いた。 

 「いいの?」

 「何にも知らないから、そうやって夢を見ていられるんだよ。一度、その目で確かめてきたら、目も覚めるだろうさ。」

 母親は、他の者からは、魔女と呼ばれていた。 

 顔には、いつも黒いベールをつけて、表情は窺えない。

 とても美しい顔をしているのだが、その美しさのせいで、昔、人間に酷い目に合わされたせいで、隠しているのだとか。

 「だが、いいかい、フリーシア。人間はすぐ、人魚の美しさに狂ってしまう。だから、醜い顔にしてお行き。王子に真実の愛があれば、結ばれるだろう。」


 そうして、フリーシアは平坦な顔に、小さな目、鼻、ソバカスが散った、アデルという名の人間になって、城の召使いとして、働くことになった。

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