2話
「ううん、僕らこそごめんね!」
『生き返らせるね』
「え……?」
少年が空を見上げて聞き覚えのない言語で話し始めた
ドーンっ!と轟音を響かせながら空からレーザーのような光が降ってきて
光の後から黒竜がぼうぜんと座っていた…
「ガッ!グルル?え?は?」
「え?」
「は?」
「まさか…そんな事が…」
魔の森一同が驚愕を受ける
先程細切れにされた黒竜がなにが起きたかわからずにキョロキョロしていた
完全に元の状態で生き返ってるのだ
この世界に死者蘇生ができる魔法や儀式は存在しない
どんな強者にも死は平等にやってくる
だがしかし、今目の前で細切れにされて死んだ黒竜が生き返ったのだ
そんな奇跡を目の当たりにした一同は言葉を発せられずにいた。
「黒竜くん、ごめんね!ウチのライガか無茶して!」
当の黒竜本人は
「あれ?今死にましたよね?ぼく?」
「うん!ライガがキレちゃって殺しちゃったみたい!ごめんね!だけど生き返らせたから大丈夫だよね!どっか痛いとこない?」
「え?あ、はい、大丈夫です」
まだボーッとする頭で返事をしてるが、この子供には逆らってはいけないと魂がうったえている
「ならよかった!」
「じゃーそろそろ行くね!」
「お、お待ちください!!」
竜族のノワールが走り寄る
「先程は我が同族が大変失礼いたしました!!今後このような事がないよう魔の森に住む全ての魔物、獣人達に伝えておきます!」
「ん」
「もし、許されるならば貴方様のお名前を教えていまだけませんでしょうか?」
ライガから一瞬殺気が漏れるが少年が目で制した
「僕の名は…」
『アデン』
「僕はアデンだよ!よろしくね!」
「アデン様!ありがとうございます!」
「アデン様はこれからどちらへ行かれるのですか?」
「とくに決めてないんだ!世界中を見て回りたいと思ってるんだ!
「なるほど!素晴らしいですね!」
「あっ!そうだ!」
ノワールが手を打った
「ご迷惑をおかけしたお詫びに、我が配下のブラトーニュを足がわりにお使いください!煮るなり焼くなりお好きなようにどうぞ!!」
「うーん、、いらない!気持ちだけで十分だよ!」
「え…ブラトーニュは竜族の中でもTOPクラスのスピードを誇ります。外敵も近寄ってきませんので快適な旅になるかと思いますが…」
「だって、あの子弱いでしょ?僕のライガの方が早くて強いもん!」
「主よ…」ライガが歓喜するなか、黒竜は凹んでいた…
「お、俺が弱い?…おそい……」
SSランクの天災と呼ばれる黒竜も一瞬弱いと言われパニックになるが、目の前のライガを見ればどちらが強者かハッキリとわかる
黒竜は何も言えずに平伏するしかない。
『まずい』
ノワールは焦っていた、この少年との繋がりをきってしまうのは致命的だと、なんとしても配下に加えてもらわなけばいけないと本能で感じとっていた。
「お、お待ちください!」
「ではこれをお持ちください!」
竜族の長ノワールは成龍へとなり、自身の首の下の鱗を剥がした!
『ガャーー!!』
首から血を流し苦しそうにしなが、アデンに金色の鱗を差し出した。
「アデン様、こちらは竜の逆鱗でございます。竜族の弱点であると同時に、忠誠を誓った相手にお渡しして臣下として認めていただきたいと意味もございます!何卒!我を臣下としてお仕えさせてください!!…」
森の住人達がざわつく
「竜族の長の逆鱗だと…」
「世界最強の種族『竜族の長』の逆鱗…世界を手に入れたのと同じではないか!」
「魔王も配下にはいるという事だぞ…」
「この少年は何者なのだ!!」
それを聞いたアデンは
「うーん、別にいらないんだけど痛そうだし、断るとかわいそうだよね!」
「オッケー!もらっとくね!」
「ありがとうございます!!その鱗に魔力を込めていただければ地上全ての竜族が集結いたします!お気軽におつかいください!」
…イヤイヤ…気軽に使うもんじゃねーよ!アルマゲドンかよ!…世界が滅ぶわ!!森の住人が心の中で突っ込む…
「よし、じゃーそろそろいくね!みんなありがとう!また遊ぼうね」
『ハハーッ!!』
全ての生物が跪き臣下の礼をした。
「いこうライガ」
「は!主よ」
そしてアデンは歩き始めた…
その姿が見えなくなると、皆の緊張がとけ口々に叫び始めた
『あーー!死ぬかと思ったぞ!』
『なんだあの化け物は!』
「チビッタヨ(T . T)」
「長よ、あの少年は何者なのでしょうか?」
「…」
「…わからぬ、わからぬが…アデン…アデン…ひょっとしたら」
「我の母から聞いた話しだが、遥か太古では、この世は地上と天空の2つの世界があったそうだ、地上は我ら竜族が統治し天空はある王国が統治していたそうだ、その王国は空全てを領土とし我等とは別の次元に存在する大地を空に浮かべていたらしい、その王国では我等竜族がペットのように飼われ、住人達は神の如き力を持ち、天空と地上を支配していたという、天空の住人3人に地上の半分を燃やされたという話しを聞いた…」
「…御伽噺ですよね?」
「いや…違う史実だ」
「3人に地上を半分燃やされた時に地上を統治していたのが我の母だ」
「マジかよ…なんでもやしたんだよ」
獣人族の長がつぶやく
「何百年に一度、天空の王国から使者がくる、理由は分からん、観光なのか偵察なのかはわからんが定期的にくるらしい」
「使者を歓迎する晩餐会で当時の人間族の王が使者にワインをかけたらしい」
「…」』
「人間って馬鹿なの?なんで??」
「ワシの方が偉いんじゃー!とかなんとか言ってキレたらしい…」
うわー
「でも長?アデン様は人間国側に向かわれましたが大丈夫なのでしょうか?」
「わからん、人間国の今代の王がバカではない事を祈ろう」
「あのーノ」
エルフが手をあげた
「なんじゃ」
「人間国の今代の王はクズでアホな愚王と有名ですよ…」
マジか
オワタ