第4話 現代知識で異世界開拓!!
「お~い~、無視すんなって~」
村からおんぼろ馬車が出て10分ほど経過しただろうか。風紀はいまだに達平からの声を無視し続けていた。達平は内心自分が何かしたのではないだろうかとひやひやしていたが、口ではとりあえず愚痴や怒りをこぼしている。
「もう少し前向きになれないんですかい?」
「あ、喋った。」
そう、喋ったのである。今まで達平を無視し続けていた風紀がついに(と言っても10分程度だが)達平に口をきいたのである。達平は思わず、うれしさ半分怒り半分で風紀を見つめてしまう。本当はかなりうれしさが占めているのだが。
「なんですかい?その飼い主が家に帰ってきたときの犬みたいな目は」
ーん?俺お前の犬違うー
「いやぁ、ともかく会えてよかった。この12時間ぐらいでどうやってこの職見つけたの?あと、なんだそのフウって偽名は」
とりあえず早すぎる就職と謎の偽名フウについて聞いてみる。実際理解ができないのだ、達平って言ってもこの世界では十分に通るし。もしかして本名いうのまずかった?
「ん?自分はこの生活3か月くらいしてますけど。」
「え?」
おかしい、一緒にこの世界に入っていったはずなのになんで、、、
「あれ、もしかして自分とここで過ごした時間が違いますかぃ?」
「ああ、俺はまだ12時間ぐらいしかたってないんだ。」
「じゃあ、将輝はまだ来てないかもしれないんですね」
幸いというべきか不幸というべきか、それぞれがこの世界に入ってくる時間は違うようだ。風紀が基盤を整えていてくれた分幸いというべきか、、
「あと、自分の偽名はこの世界になじむためのものでさぁ、」
「え、もしかして本名いうのまずかった?」
単刀直入に聞いてみる。本当にここが怖いのだ。
「いや、そこまでまずくはないですぜぇ」
ひとまず一安心の達平。これで指名手配とかされたらたまったものじゃない。
「ただ、」
「ん?ただ?」
「いや、なんでもないでさぁ」
風紀が何か思うような顔をするがそれを達平はそれを見ていない。
「なんだよ、驚かせんなよ~、びびった~。 あ、これからどこに何売りに行くの?」
そうだ、これは行商の旅なんだから。
「ここから、4時間ぐらいのとこにある、ゴブハ村にいくんでさぁ。そこで良質な木炭を売って金属加工を受注するんでさぁ」
「なにつくんの?」
ー金属加工?なに作るつもりだこいつー
「ベアリングとタイヤ」
「は?」
まさかの現代の知識をこの世界に持ち込むとは思っていなかった達平は驚きを隠せない。
「なんでさぁ」
「いや。えー、、、ここ異世界だよ?」
いやまぁ、なしとは言わないがありなのだろうかこれ、
「いいんでさぁ、この知識でさらに稼ぐんで」
風紀、現代知識でこの世界を変えていく予定らしい、
「乗った!」
達平は声を上げた。
「俺ら三人でこの世界を開拓していく!!」