第2話 へーたいさん
「う、、ううん、、、」
あの優しいような哀しいような複雑な気持ちの中から抜け出した俺は少しずつ意識が戻ってきていた。
「あれ?二人は」
朦朧とした意識の中、二人がいないことに気づいた俺はあたりを見渡すと、、、
「え、、、ここ、どこ?」
自分が今どこにいるのか分からない。
「え?」
正直自分の今の状況が理解できていない。
少し頭を整理しようとあたりを歩き回ってみるが、ここは森らしく周囲には木しか生えていない。
「将輝が棒切れに触って、その棒が光って、意識を取り戻したら知らない場所で一人って、、、これってもしかしなくとも、異世界転移ってやつ、、、なわけないよな。何言ってんだ俺、ラノベの読みすぎかな。いったんラジオでこのあたりの放送を聞くか、」
森なんてがラジオが入りにくいことなんてわかっていた、でも今はそうしないと動揺と孤独でおかしくなりそうだった。でも、
「やっぱり、 入るわけないか~。いやあ、でも森から抜ければ電波が通るかも。」
ー大丈夫、帰れるはずだ。絶対にー
そんな風に自分を鼓舞しながら森の中を歩いているといつの間にか森を抜けようとしていた
「やっと森から出られるな、これで電波も届くか?」
しかし
「え、、なんだよこれ、、」
そこには山があった、いくつもの小学生が作った砂山程度の大きさの山がいくつも、そして水たまりがあった、だがそれらはいずれも赤黒く染まっていた。
信じたくなかった。これが人だなんて、そして、自分が元居た世界から追い出されただなんて。だが、信じるしかなかった、これらが人であり、少なくともこの世界が自分たちの住んでいた時代ではないということを。。。
「信じるしか、、ないか、、、」
信じるしかなかった。
「でもさ、俺は異世界に来たんだ!ここからラノベの主人公達みたいに仲間を作ってヒロインが出てきて
この世界を満喫していくんだあー!」
開き直るしかなかった、だが今の自分にはそれしか選択肢がなかった。
「さて、これからどうしていこうかなー」
目の前の惨状を考えないように空虚な喜びに身を任せこれからの方針を決めていく、
「まずは、宿舎の確保、それから、、、ってあれ?この世界って日本語通じるのか?」
「おい貴様、ここで何をしている!」
「お、日本語だ、よかったー、通じるんですね日本語!いやー、一瞬詰みかとおもいましたよー。」
いやー、よかった、本当によかった、言葉はどうやら通じるようだ。
「もう一度言うぞ?貴様!何者だ!ここがどこだかわかっているのか!」
「え?俺は達平で、ここは人の死体が、、、」
おかしい、目の前の惨状が普通なんてあり得ない。
となるとここはまさか、、、戦、、、場、、、?
「もしかして、兵隊さん、、、ですか??」
ヤバい、ヤバいヤバいヤバいヤバい
殺される?
なんていえばいい?
なんて言えばたすかる?
え?
俺死ぬ、、、の?
頭に血が上る、鼓動がどんどん早くなる
『死にたくない』
この思いだけが頭に浮かぶ。
プツッと音がした
視界が黒に染まった。。。