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いよっしゃぁぁぁぁぁっ!!!
と、思わず雄叫びを上げなかった私を誰か褒めてほしい。
私はニヤけそうになる口を、何とかひき結びながら、テーブルの下でぐっとガッツポーズをしていた。
どんなに内心は狂喜乱舞していても、深刻な顔で涙を零す彼の前でそれを出来るほど、私は無神経ではない。
だが、それを差し置いても、私、ことエリザベス・ノーブルは、十年来の悲願が達成した喜びに打ち震えていた。
事の始まりは、ある春の日の事。……いや、秋――冬だったかも知れないけれど、まあ、どうでもいいことだわ。
ともかくも。
それは今から十年前。
このエーデルシュタイン王国のノーブル侯爵家に生まれた私が、丁度六歳になった頃くらいの話。
その日は私にとって、大きな転機となる日だった。




