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ープロローグー
ープロローグー
肌を焼くじりじりとした暑さだとか、熱気の篭もった空気だとか、やけに煩く耳に残る蝉の声だとかが全て、一瞬にして感じなくなった。
むせ返るような匂いだとか、目に映る深紅の液体だとか、道端で壊れている自動車だとか、目の前で倒れている君が何なのか、どうしたのかを、頭が、心が、理解することを拒否した。
まるで、白昼夢を見ている気分だった。
けれど、触れた指先から伝う体温が、君にしては酷く似つかわしく、その時僕はようやく理解した。
と同時に、言葉にならない叫びが慟哭が響く。もはや、生命活動を停止してしまった君の体を強く、唯ひたすらに強く抱きしめた。
伝えたいことが、君と見たい景色があったのに……、それはもう二度と叶わない願いだと気づいてしまった。
ーあの日、あの夏の日に。君は死んだー
初めまして、蒼流梨子と申します。この度は目に入れていただきありがとうございます。
連日の暑さでぼーっとしている時この話が浮かんできました。何分小説など初めてですのであたたかい目で見て頂けると幸いです。