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幼少期編第六話

下に降りて豊火おじ様のいると思われる

台所を目指して鵺黒さんに抱えられながら向かっていると

ちょうど行こうとしていた台所から豊火おじ様が出てきた


「お、鵺黒と零お嬢ちゃんじゃねえか、

 おや、零嬢ちゃんは和服を作って貰ったのを着たんだな

 よく似合ってるぞ。

 しかし今からちょうどご飯が出来たぞって

 呼びに行こうとしてた所だったが

 行かなくて済んだな。」


「まあ、台所で作業していた物音が止まれば

 俺も気付くからなそれでご飯が出来たのだろうと思って

 下に降りてきたわけだ。」


「そうか、なら皆でご飯にしようぜ。

 そう言えば、水華は何処に行ったんだ?

 確か最後に話したのは、鵺黒だよな?」


「確かに俺が最後に話したな。

 部屋を決めてくると言ったきり、行方は知らん。」


『どこかに出かけたのかな。』


「まさか、しんd「ただいま~今戻ったわ。」

 (っち、帰ってこなくていいのによ)。」


「水華、どこに行ってたんだ?

 もうこんなに暗くなっているというのに。」


「ごめんなさいね、ちょっとさk、、、散歩に行ってたの。

(危なー、鵺黒の前で酒を取ってきていた、なんて言ったら

 お前はよほど自分から酒にされたいようだな

 なんて言われて酒を取り上げられるところだぜ)

 それより、豊火何か言わなかったかしら?」


「な、何も言ってないぞ。

 よし、皆が揃ったならご飯を食べようじゃないか。

(水華の野郎、酒って言いそうになってたよな。

 もしかして、酒を持ち込んでいたのか?

 、、、酒を持っているのがばれても俺は何も助けてやんねーからな)」


「そうだな、ご飯にしようか。」


『お腹空いたあ。』


気づけばこの家に住む家族だけの初めての食事は和やかに行われた





その日から二日後


昼になる少し前の時間帯に風呂敷を抱えた亜絡さんが

訪ねてきた。

開けた風呂敷の中には、和服や肌着と綺麗な絵柄の着物が入っていた。

それを鵺黒さんが受け取ると亜絡お姉さまは少し疲れた顔でこう言った。


「これで全部よ。我ながらいい仕事が出来たわ。

 ついでに出かけるときやその子のお披露目をする用の

 着物も何着か作っておいたから。」


「あぁ、助かった。それで、このくらいで足りるか?」


そう言うと鵺黒さんは手のひらを出した

よくよく見ると、白色のもやっとしたテニスボールぐらいの

球体が手のひらに乗っていた。


『ねえ、鵺黒。その手のひらの上にあるもやっとしたものって何?』


「ん?これが見えるのか?これは妖力の塊だ。

 それにしても、零が妖力を見えるようになったとは驚きだな。

 初めて会った時よりも零の内側にある妖力も安定している様だ。

 ずいぶんと適応が早いみたいだな。」


「へえ、この鵺黒の妖力の塊が見えるのね。

 なら、私のも見えるのかしら。」


亜絡お姉さまはそう言うと鵺黒さんと同じ様に

手のひらを出した。するとその手のひらの上に

紫色のもやっとしたテニスボールぐらいの球体が乗っていた。

そしてしばらくするとふっと消した。


『亜絡お姉さまの妖力の色は紫色に見えるみたい。

 合ってるかな?』


「えぇ、私の妖力は紫色よ。じゃあ鵺黒、その妖力貰っていい?」


「あぁ、良いぞ。足りなかったら言ってくれ追加で出すぞ。」


「十分この量あれば足りるわ。、、、ふぅ、ご馳走様。」


亜絡お姉さまは鵺黒さんの手のひらに乗っていた妖力を

自分の手のひらを重ねて鵺黒さんの妖力を貰った。


『あれ、お金で取引しないの?

 妖力がお金の代わりなの?』


「そうね、人間に服を売るときはお金で取引をするけど

 妖との取引では妖力を貰うのよ。

 お金じゃなくて妖力をのらうのは、

 私が女郎蜘蛛だからって理由もあるわ。」


『女郎蜘蛛としての理由?』


「私を含めて蜘蛛の妖で、服飾関係の仕事をしている者は

 蜘蛛の糸で布や服を作ることができるの。

 その時に持っている妖力を使って色を付けていくのだけれど

 その持っている妖力の色で布や服の色が変わるの。

 だから妖力を持っている妖からは妖力を、

 妖力を持っていない人間からはお金を貰っているの。」


『へえ、そういう事だったんだ。

 じゃあ二種類以上の妖力を使って途中から色の違う布とかも作れるの?』


「そうね、妖力さえあれば何色でも途中から色の違う布を作れるわ。

 作るのがかなり大変だけどね。

 たまに人間のお客で七色の着物を作ってくれ、

 なんて言われることもあるわね。

 大体が太った威張り散らすお金持ちの人間だから、

 丁重に断るけどね。」


、、、七色の着物かぁ。

どこかのラスボスの衣装にありそう。


「さて、お届け物も済んだことだしこれで私は帰るわ。

 その子が大きくなって服が必要になったら

 また呼んで頂戴。」


「ありがとう、亜絡。その時はぜひ頼む。」


『またね、亜絡お姉さま。』


「別に、無理に呼ばなくたって良いんだから。

 、、、またね。」


すこしだけ、ツンデレのような言葉を残しながら

亜絡お姉さまは帰っていった。

読んで下さりありがとうございました。

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