幼少期編第二十一話
今回の話は割と妖に対する私の考えが入っていたりします。
なので本来の妖にまつわる考えとは、かけ離れているかもしれませんが
優しく見守って読んで下さい。
「まずは簡単な事から学んでいこうか。
と言っても、俺もあまり歴史について確かな事は言えないけどね。」
そう言って少し苦笑いしながら、寿さんは言った。
確かに、歴史と言うのは昔に遡れば遡るほど
分からなくなっていくものだから、寿さんの言っていることは
間違っていないと思う。私も前世では歴史とか苦手だったし。
「だから、俺の知っている限りの妖と人との歴史について教えるよ。
それじゃあ、八重に聞くけど
妖っていつぐらいから居たと思う?」
そう聞かれた八重君はしばらく悩んだ後、
「えーっとな、大昔から居た!
だからすっごい昔から居たんだと思う!」
「、、、聞く相手を間違えたかな。
零ちゃんはいつの頃から妖は居たと思う?」
「そうですね、私は一番最初の妖は八岐大蛇だと考えていたので
神話の時代から居たのではと思います。」
「なるほど、零ちゃんは八岐大蛇が最初の妖だと思うんだね。
実はね、本当にいつの時代からどんな妖が居たかって言うのは
俺も分からないんだ。
ある説では、地下の黄泉の国に居る怪物が最初の妖だって言うし
ある説では、妖と言う考えが定着したころとも言うし
正確な事は正直分からない。」
まあ、神話の時代でも色んな妖がいたって聞くから
当時を知る、それこそ神様ぐらいじゃないと分からないんだろうな。
「そうなんだな。じゃあ零の言う、、、えっとなんだっけ
やまだのおろし?が、さいしょの妖かもしれないんだな!」
やまだのおろしってなんだ。
八岐大蛇だよね。私が言ったのは。
なんか大根おろしみたいになってるんだけど。
「八岐大蛇、だよ八重。
まあでも、確かにそうかもしれないね。
八岐大蛇はどんな妖よりも大きく、強いとされ
今でもどこかで眠っている、と聞くから
妖の中では一番長生きだろうね。」
へえ、八岐大蛇ってまだ生きてるんだ。
、、、あれ?でも確か八岐大蛇って、確か神様のスサノオノミコト
に切り刻まれて、地面に埋められて八本の杉を植えられたから
その八本の杉の栄養になってると思ったんだけどなあ。
「確か八岐大蛇って、スサノオノミコトに切り刻まれて
杉の木を植えられたのでは?それでも今も生きているんですか?」
「生きているとは思うよ。
何せもともと八岐大蛇は神様だって言われているから
切り刻まれて埋められたくらいじゃ消滅しないよ。
まあ、動けるかどうかは別としてね。」
へえ、今も生きているんだ。
そんな八岐大蛇がもし動き出したら、
多分近隣の山とかが消えてしまいそう。
「じゃあ、今も生きているんだな!
やっぱり長生きしている妖はちがうのか。
一度でいいから会ってみたいなあ。」
「八重が言うなら俺は止めたりしないけど、
多分封印されている事になってるから
もし迂闊に近づけば、、、食べられちゃうかもね。」
「そ、そうなのか。お、おれやっぱりいいや。
食われたくはないからな。」
「そう?まあ、その判断が正しいと思うよ。
じゃあ、話を戻して妖は神話の時代ぐらいからも居たわけなんだけど
そもそも妖は何で居るのかって考えたことは有るかな?
よくよく考えてみると、妖は何のために居るのかって思わない?」
「そう言えばそうかもしれません。
ありとあらゆる場所に妖は存在しているけれど
悪さをしたり、人に被害を与えることもありますよね。
そう考えたら何で居るのかって思います。」
「なんのためにって言うのはあんまり分かんねーけど、
何かしらのいみは妖にだってあると思うけどな。」
確かに妖が居るのはなんの為か、と聞かれても答えられないけど
存在する以上は意味はあるんじゃないかな。
「そうだね、何のためかって言われると分からないよね。
でも一つだけ存在する理由はあるんだよね。
それはね、人間のせいなんだ。」
寿さんははっきりと人間のせい、と言った。
聞き間違いかと思い、思わず聞き直した。
「人間のせい?おかげ、ではなく?」
「そうだよ。まあ、こんな考えになったのにはちゃんと理由があるんだ。
そうだなあ、例えば今では病気の原因が分かる病気があるとする。
その病気がもし昔の人には、原因が分からず直し方も分からない物だとして
昔の人がその病気にかかってしまったら
まず初めに思うのは、なんだと思う?」
「原因が分からなくて、直し方も分からない病気ですか。
うーん、自分の行動のどこかに、
その病気の原因となる事があったのではないか
と私は思います。」
「八重だったらなんて思う?」
「おれは、だれかがうつしたんじゃねえかって思う。
あとは、ひごろの行いがわるかったから
とか?」
「うん、君たちはちゃんとそうやって考えるよね。
だけどね、昔の人々は占いや宗教に基づいて考えることが多かったんだ。
例えば占いを信じる人は、これは何か悪い事が起こる前触れだ、とか
もしくは何かの宗教を信じていた人は
これは神が自分に与えた試練なのだ、なんて考える人が多かったんだ。」
「へえ、そうなのか。
もしかして、自分のせいとは考えなかった、ってことか?」
「そう言う事。そう、そういう空想の物を信じることが多かった
昔に妖は数が増えた。さて、なんででしょう?」
「、、、病気になったのは妖のせいだと
考えた人がいるってことですか?
それで色んな妖が居ると考えられて
妖の数が増えたんですね?」
「お見事。流石は零ちゃん、よくわかったね。
なぜ考えたから妖が増えるのかって事だけど、
妖が増えるのは、妖が結ばれて子が生まれるのと
人間が強く信じたり、人間の強い感情から生まれたりするんだ。
人間の感情はとても強くなったりすることがあるから
そういう時にその感情を持った人間から、
妖が魂だけの状態で生まれるんだ。
そのあとに人間が妖の形などを考えて、紙に書いたりして
世間に広めてたくさんの人間がその妖の事を信じると
妖は魂だけだった状態から、肉体を得るんだ。」
なるほど、そういう過程があって人間から妖が生まれるんだ。
だから人間のせいって事なのか。
自分じゃない誰かのせいって考えから妖は生み出されたのか。
「だから人間のせいだって寿はいったんだな。
なかなかふくざつな思いになるはなしだな。」
「まあ、これで合っているのかはちょっとだけ分からないけど
多分こういう感じなんだろうね。
人間が押し付けた考えから生まれるなんて、ちょっと微妙な話かな。」
寿さんは自分で言っておいて言うのも可笑しいけどね、と苦笑いを浮かべて言った。
でも知ることは大切ですから、気にしないで下さいと私が言うと
ありがとう、そういって貰うと助かるよ、
とさっきよりもすっきりした顔で言ってくれた。
こういった感じの話をして授業は進んでいったのだった。
今回も読んでくださりありがとうございました。
11月はちょっと忙しくなるので
もしかしたら更新が予定日とはずれるかもしれませんが
更新は必ずするので、ご了承下さい。




