幼少期編第十一話
最近暑くて溶けてしまいそうです、、、。
7/20 修正しました。
空から降りてきた牛車は、私たちの目の前に到着すると
牛車に取り付けられた簾がすすっと上がった。
そこから降りてきたのは、美形な一組の夫婦だった。
その夫婦は鵺黒さんに近づくと一礼して、挨拶をした。
「こんばんは、鵺黒様。」
「こんばんは、鵺黒様。今日はお招き頂き有難うございます。
そちらが本日お誕生日の零さんですか?」
「あぁ、鬼束夫妻だったか。その通り、この子は零だ。
妻の方も元気そうで何よりだ。零、挨拶できるな。」
「はじめまちて、おにつかさん。ほんじつはわたし、きどうれいの
おひろめかいにきてくださり、ありがとうございます。
じかんとなるまで、どうぞごゆっくり、
このかいをたのしんでください。」
「これはこれは、立派な可愛らしい淑女ですね。
零さん、お誕生日おめでとうございます。
本日は楽しませて頂きますね。」
「まあ、とっても可愛いですね。次男のうちの息子もこのくらい可愛い気が
あれば良いんですけどね。」
「確か、同い年だったか?まあ、男はどうしても生意気に育つだろう
大きくなって落ち着くのを待てばいいさ。」
「そうですね、ではまた後で宴の時に会いましょう。」
「あぁ、ゆっくり楽しんでいってくれ。」
挨拶を終えると、鬼束夫妻は私たちの後ろのお屋敷へと入っていった。
「ねぇやこく、おにつかふさいってどういうひとなの?」
「そうだな、地位は鬼を束ねる長で俺よりは年が若い。
後、八歳になる男の養子と零と同じくらいの息子が一人いるな。」
「へえ、おさってどんなきじゅんできまるの?」
「そうだな、どれだけ老いた鬼たちを纏めれるかだな。
老いた鬼どもはまず一つに酒癖が悪く、常に酔っているような状態で
まともに話をしようとしても出来ないから、酔いを醒ますようなことをして
なおかつ機嫌を良くさせないと話が出来ないから、
鬼束夫妻はそれだけ凄い事をしていると思っていればいい。」
「そうなんだ。あ、まただれか、きたみたいだよ。」
「そうだな、じゃあまた挨拶しに行こうか。」
こうした話をしながら、最後の一人までお出迎えをした。
最後の一人は少し、変わった人だった。
その人は私たちの目の前にふわっと降り立った。
降り立ったその人の服装は、妖にはあまり着る人が居ないと言われている
洋服を着ていて、その格好はシャツもコートもブーツも髪も真っ黒だった。
黒でないのは一つだけ、好奇心に満ちたその両目だけが赤かった。
「こんばんはァ、鵺黒の旦那。ご機嫌いかがかな?」
「そうだな、貴方が来るなんて全く思っていなかったので
機嫌は良くはないな。」
「へェ、随分とこっちを警戒してるみたいだなァ。
それで、そちらが話題の鬼道零、ねェ。
可愛らしい黒を纏った人間の子だなァ。」
その人に向かって、段々と今まで長かった挨拶を
鵺黒さんが短くして良いと教えてくれたもので挨拶をした。
「こんばんは、やたがらすさん。
ほんじつはゆっくりしていってくださいね。」
「ふゥん、俺の事も分かっているみたいだけど
初めましてでは無い事、分かって言ってるのかなァ?」
そう言われて、少し前の時間に吹いたあの風の雰囲気を
この人から感じ取った私は、思わずこう言っていた。
「すこしまえのじかんに、おやしきのちかくに
いましたか?」
「へェ、やっぱり分かってたんだなァ。
ますます気に入った。ねェ、俺と取引しない?
君さえ良ければ————————」
「すまないが、さっさとお披露目会をしたいので
八咫烏、屋敷に入って貰えるか?」
「はァ、もう少しで話が出来たのに邪魔をするなんて
無粋な奴だなァ。しょうがない、後で話すとするかな。
それじゃァ、また後で会おう————————美鈴。」
会おう、と言われた後、八咫烏さんは耳に
口を寄せてそう言って離れて行った。
不意の事で少しびっくりしたけど、
鵺黒さんには聞こえてなかったみたいだった。
「っ!?そうですね、またあとで、はなしましょう。」
「零?どうしたのか、顔色が悪いみたいだが大丈夫か?」
「うん、だいじょうぶ。これでおむかえは、もうないの?」
「あぁ、これで招待状の返信と手紙を送ってきたのは全員のはずだ。
さあ、中に入ろうか。」
「うん。」
さっきの八咫烏さんが言った意味を考えながら、
私は鵺黒さんと一緒にお屋敷へと入って行った。
皆さんもこの暑さに気を付けてお過ごしください。
今回も読んで下さりありがとうございました。




