物語の始まり
皆様、初めまして。
この作品が作者の最初の作品となります。
拙い所もあるでしょうが、ご了承下さい。
5/30始祖の妖→始祖の鬼 に変更しました
そよそよと風が頬を撫でていき草木の匂いが鼻を掠めていく
閉じていた瞼を開けるとそこは、一面森だった
、、、ゑ。
(私は、車にいたはず。それなのに、なんでこんな所にいるんだろう?)
ふかふかの座席のシートから一転、私の背中には固い地面の感触が
今も現在進行形で伝わってくる。
私の車の中は森の中なんかではない。
思わず上に伸ばした手は、小さく赤子のような手で
驚いて出した声は
「ばぶっ!?(なぬっ!?)」
可愛らしい赤子の声そのものだった
なんてこった、大人だったのに赤子になっている。
やったー、なんて思うわけがなくふと考えてみた
これはもしかして、転生した?
そう、ファンタジー小説をよく読み、特に転生物の小説を好んで読んでいた私が
導き出した答えは一つ。
私は、転生してしまったのだろう。異世界に。
私はもともと、普通の会社員だった。
乙女ゲームと声優が好きなちょっとオタクな普通の会社員として
毎日充実して暮らしていた。
その日も会社に行こうと、準備をして家から出て車に乗って道を走らせていた。
「今日は帰ったらどの乙女ゲームをしようかな?
やっぱり、和風系かな、うーんファンタジーも捨てがたいなぁ。
でも、声優さんのドラマCDもいいなぁ。あー迷っちゃうなー」
いい年した大人(28歳)が会社に行く前からそんなことを考えていた時だった
ゴオオオオオオオオオオ!!
とてつもなく大きな音が私の好きな声優さんのいい声を聞き取る、
優秀な耳を襲った
「な、何!?私のお腹の音でもないし、いったい何の音?」
ふと、車のフロントガラスから空を見上げてみると
「あれは、隕石!?何でこんな日に落ちてくるのー!」
巨大な隕石が空から落ちてきていた
「こんなところで、私の充実した人生が終わるなんて!!!
あぁ、こんなことなら最後に好きな声優さんの声を聞きたかったな、、、」
そう言った後、私の記憶は途切れて深い闇に沈んでいった、、、
(そうだ、そう言った後に記憶が途切れて気付いたらここにいたんだっけ
でもどうしてこんな所に、私がいるんだろう?このままだと飢え死んでしまう!
どうにかして、森から移動しないと)
「ばぁっぶっ!(よいしょっと)」
どうやら赤子用の服は着ているみたいだったので、仰向けの状態からうつ伏せに
寝返りをうって、這い這いの状態になって辺りを改めて見渡した。
(本当に森の中なんだなぁ。さて、這い這いで何処までいけるかなっと!)
とりあえず、這い這いをして少し進んでみることにした
一時間後
「ばぁぶっばぶっ(よいせっよいせっと!)」
あれからどの位進んだだろうか。
気づけば辺りは夕焼けの逢魔が時になっていた。
目覚めたときは昼くらいの明るさだったのに、今は夕方。
いつか必ず希望が見えると、考えていた私だったが
進んでも進んでも変わらぬ景色に、ついにか細かった私の心は悲鳴をあげ
「びぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!(もう嫌だーーーーーーー!!!)」
私は泣き始めてしまった
何が悲しくてこんな所に転生させられ、餓死するような目に
合わなければならないのか
そう考えるとどんどん涙が溢れてきた
しかし、その涙は次の瞬間に引っ込んだ。なぜなら、大きな影が私を覆ったのだ
怖くて涙が引っ込んだ私が、恐る恐る顔を上げると
「赤子がこんな所に居ると、悪い妖か獣に襲われてしまうぞ?」
そう言ったその声の主は、しゃがんできて
「俺は別にほっといてもいいが、助けて欲しいか?
助けて欲しいなら、この手を取ると良い。」
そう言いながら私に手を差し出してきた
今の状態のままだと、私は飢えて死んでしまう。
私はとりあえず、その差し出された手を取ることにした
「ばぶっ(そいっ)」
もしかしたら悪い人かもしれないが、その人はとても良い声をしていたから
私の直感的には、大丈夫、、、だと思う。
手を取るとその人は、私を抱き上げた
「よしよし、ずっとこの森で一人だったんだろう。
疲れただろう?眠っていて良いぞ。
目が覚めたら、俺の住居に着いているだろうから。」
優しい声とよしよしと撫でられる手の温かさで、
私はその人の腕の中で、眠ってしまった
「、、、こんなにも量がとても多く、質が良い妖力を持っている赤子は
初めて見たな。始祖の鬼の俺でさえ酔いそうになるくらいだ
低級の妖にはさぞかし、美味そうに映るだろう」
それは赤子を大事そうに抱えながら、歩いていた
「しかし、この子の傍はとても落ち着くなぁ。
ずっと生きてきてこんな事は初めてだ、この俺が誰かの傍で落ち着くなんてな」
時々大事そうに抱えながら頭を撫でて、愛しそうに赤子を見つめていた
「さて、しばらく人間や他の妖と関わっていなかったが
この子を育てるにはやはり他の奴にも手伝って貰うか」
楽しそうにそれは笑いつつ、一陣の風と共に次の瞬間には消えていった
いかがでしょうか。
この作品で楽しんで貰える様に頑張りますので
これからもよろしくお願いします。